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「長く乗るほど損」税金9種が重なる日本のヘンテコ自動車税制! 8割が「理不尽」と回答、自動車税米国の23倍、なぜ世界一高いのか

掲載 更新 81
「長く乗るほど損」税金9種が重なる日本のヘンテコ自動車税制! 8割が「理不尽」と回答、自動車税米国の23倍、なぜ世界一高いのか

多すぎる自動車関連税

 日本で自動車を所有するには、取得・保有・使用の各段階で複数の税が課される。2024年時点で、自動車関連の税目は9種類にのぼる。内訳は、自動車税、軽自動車税、自動車重量税、消費税のほか、燃料にかかる揮発油税(いわゆるガソリン税)、地方揮発油税、軽油引取税、石油ガス税などだ。

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 これらの税は

・国税
・都道府県税
・市町村税

にまたがっており、管轄がわかれている。そのため、ユーザーが全体像を把握するのは容易ではない。

 例えば車両の購入時には、消費税に加えて環境性能割が発生する。2019年10月の消費税率引き上げにともない、自動車取得税は廃止された。一方で、代替措置として環境性能割が導入され、燃費性能に応じて0~3%(軽自動車は0~2%)の税率が適用されている。具体的には、電気自動車や燃料電池車は非課税。プラグインハイブリッド車には1%、それ以外の車種には2~3%の税率がかかる。

 保有段階では、自動車税または軽自動車税が発生する。車検時には自動車重量税が課される。さらに燃料補給のたびに、揮発油税や地方揮発油税といった税金が上乗せされる構造になっている。1台の車に対して複数の税が重なる仕組みだ。

 このように複雑な税体系が維持されている背景には、制度の歴史がある。自動車税は1950(昭和25)年、ぜいたく税として導入された。当時、自動車は一部の富裕層の所有物とされていた。しかし現在では、とくに地方において自動車は生活のインフラとなっている。それにもかかわらず、制度全体の抜本的な見直しは行われていない。

 なぜこの複雑な税制が温存されているのか。国際的に見て日本の自動車税はどの水準にあるのか。次章では、実際のデータやユーザーアンケートをもとに、その実態を詳しく検証する。

長く乗るほど重課税」の理不尽さ

 日本の自動車税制が複雑とされる理由のひとつは、取得・保有・使用の各段階で異なる税目が課される点にある。購入時には環境性能割と消費税が、保有時には自動車税(または軽自動車税)と自動車重量税が課税される。さらに、燃料には揮発油税や地方揮発油税などが上乗せされる。

 これらの税金は国税、地方税、市町村税と管轄がわかれている。そのため、納税者が「何に、いくら払っているのかわからない」と感じるのも無理はない。

 なかでも、批判が集まっているのが

「旧車への重課措置」

だ。車齢が13年(ディーゼル車は11年)を超えると、自動車税と自動車重量税が加算される制度がある。名目上は環境負荷が高い車への対策とされているが、走行距離や整備状況は考慮されない。

 日本自動車連盟(JAF)が2024年に実施した「自動車税制に関するアンケート調査」では、約8割が

「大切に長く乗るほど税負担が増すのは理不尽」

と回答した。制度の簡素化や負担の軽減を求める声が多く寄せられている。また、揮発油税に消費税を課す二重課税の構造も長年の懸案となっている。法的には問題がないとされているが、納税者の不信感は根強い。徴収方法や使途の不透明さに対する疑念が繰り返し指摘されてきた。

 JAFの調査でも、自動車税制のわかりにくさや過重な負担に対する不満が多数を占めた。制度の複雑さや重課の仕組みは、多くのユーザーにとって看過できない負担となっている。

国際比較で見える日本の自動車税の高さ

 日本の自動車税は、国際的に見ても非常に高い。保有にかかる税負担は、米国の約23倍、ドイツの約3.5倍に達するとされる。トヨタ自動車の豊田章男会長も、

「世界基準で見れば軽自動車程度の税額が妥当」

と発言しており、日本の税の高さは業界内外で広く認識されている。

 欧米諸国では、自動車は生活必需品とみなされ、税制もシンプルで負担が軽い。例えばドイツでは、自動車税は排気量とCO2排出量に応じて課税されるが、税額は日本よりも大幅に低い。米国では州ごとに制度が異なるものの、多くの場合、税負担は日本の数分の一にとどまっている。

 日本の課税水準を具体的に見ると、2024年時点での普通・小型乗用車の自動車税は、排気量1000cc未満で約2万9500円、1000~1500ccで約3万4500円、1500~2000ccで約3万9500円となっている。軽自動車税は1万800円だが、車齢13年を超えると1万2900円に引き上げられる。

 これに加えて、自動車重量税や燃料にかかる税金も上乗せされる。「排気量2000cc・重量1.5t以下・13年以上使用」といった条件で比較すると、日本の年間税負担は欧米主要国の2.2~31倍に達するという試算もある。

 このように、日本の自動車税制は国際的に見て高額かつ複雑であり、ユーザーの経済的負担はきわめて大きい。

税制が温存される背景と今後の課題

 複雑な自動車税制が温存されている背景には、いくつかの要因がある。まず挙げられるのは、道路整備やインフラ維持のための財源確保という現実的な理由だ。自動車税、重量税、燃料税などから得られる税収は、国や自治体にとって重要な財源となっている。

 歴史的な文化的背景も影響している。かつてクルマは贅沢品とされ、1940(昭和15)年に導入された物品税では普通乗用車に高率の課税が課されていた。1950年代以降も、自動車税は所有者の担税力を基準にした財産税的な色合いを持ち続けてきた。こうした贅沢品としての税制思想は、いまなお制度の根底に残っている。

 さらに、各税目が異なる行政機関に管轄されており、関係者の利害が複雑に絡む。この構造も、抜本的な税制改革を難しくしている要因のひとつだ。課題の解決には、

・税制の簡素化
・負担の適正化

が不可欠である。環境負荷や利用実態に応じた新たな課税基準の導入も求められる。JAFが実施したアンケートでも、多くの自動車ユーザーが税制の見直しや負担軽減を望んでいることが明らかになった。

 こうした声を受け、自動車関連21団体で構成される「自動車税制改革フォーラム」は、税負担の軽減や制度の再設計を国に働きかけている。

 取得・保有・使用の各段階で重ねて課税される日本の自動車税制は、国際的に見ても突出して高い。今後、制度がユーザーの実態や国際基準に合わせて見直されなければ、“クルマ離れ”はさらに加速していく可能性がある。

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みんなのコメント

81件
  • poy********
    自動車税は本当に高い。
    特に米国車が得意とする大排気量への自動車税は際立って税率が高いという事実。これは事実上の米国車への非関税障壁。
    トランプさん、日本の自動車税をすべて下げるように日本政府に圧力をかけてください。
  • sta********
    消費税増税や法人税の減税は海外の事例を示して日本がスタンダードから外れていると熱弁するが、自動車関連の税金は海外の事例を示さず、増税一本槍のクソ政府。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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