駅前から海へと続く「0.1kmの国道」
鹿児島県北西部の東シナ海に面した阿久根市。街の玄関口である肥薩おれんじ鉄道の阿久根駅が国道3号に面して立っていますが、そこから真っすぐ海のほうへ続く道には「国道499号」の標識が掲げられています。
【ナニコレ!?】ほとんど「道路がない」ナゾの国道(地図/写真)
しかしこの道路、わずか100mほど進んだ阿久根漁港で唐突に終わります。漁協の建物越しに海が見えており、そのまま真っすぐ進めば“海にドボン”です。なぜこんな短い道が独立した国道なのでしょうか。
実は、国道499号は全く別の場所にも存在します。それは、直線距離で約80kmほど離れた「長崎市」です。
翌日に阿久根からフェリーを使って天草、さらに島原半島へ渡って、そのまま長崎へ向かったところ、昨日見た499号の標識が現れて驚きました。長崎市内では、市街の中心に近い「大波止」交差点から、長崎半島の突端部にあたる野母崎までの道路に国道499号が割り当てられています。
国土交通省のデータによると、国道499号は総延長が「111.2km」なのに対し、実延長が29.2km(長崎県内29.1km、鹿児島県内0.1km)。残り82kmは「海上区間」とされているのです。
国道は「都道府県庁所在地など、特に重要な都市を連絡する道路」などとして指定される条件が法令で定められていますが、そのなかに、たとえばフェリーなど「道路と道路を結ぶ1本の交通系統」があれば、海上でも国道に指定できるとされています。これが海上区間です。
こうした海上区間をフェリーが運航しているケースは全国に多数あり、鹿児島市と沖縄県那覇市を結ぶ国道58号などは、全長881.9kmのうち約7割にあたる609.5kmが海上区間です。国道499号はそれより延長は短いものの、割合としては58号に匹敵する約7割の海上区間を有する点で、異例の存在といえます。
しかも、長崎と阿久根を結ぶフェリーは存在しません。加えて阿久根市の北西の長島町と熊本県天草を結ぶ三和フェリー、天草の西海岸の国道、ならびに天草と長崎県島原半島を結ぶ島鉄フェリーはともに国道389号に指定されているなど、海上区間の並行路線まで存在する状況なのです。
ではなぜ、国道499号が存在するのかといえば、かつてはフェリーで結ばれた“こともあった”からです。
国道499号は1993年に国道の追加路線指定を経て決定した、比較的“新しい”国道です。この当時には長崎-阿久根間でフェリーでの構想があり、臨時航路も開設されたものの、定期化に至らず終わった経緯があります。
ちなみに、国道の新規追加は1993年の49路線を最後に行われていませんが、一般的に、県道などが国道に指定されると、国の予算措置が活用できるため有利になることから、いまでも国道への格上げ要望が各地で見られます。
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みんなのコメント
>そのまま長崎へ
阿久根市にはフェリーは1航路も存在しません。フェリーを使って阿久根市から長崎市に行くには先ず、①阿久根市から長島町へ移動し、そこから②天草に「三和フェリー」で行き、さらに③天草から島原半島に「島鉄フェリー」を使って上陸します。
簡単に「阿久根からフェリーを使って天草、さらに島原半島へ」って書かないで下さい、フェリー利用時間帯によっては長島町や天草で1泊する必要(時間帯によっては九州自動車道の鳥栖JCT経由の長崎自動車道経由が早い場合が有ります)が有ります。また、阿久根市から長崎市までは「6時間以上は掛かる」と思って下さい、文章では3~4時間程度で着くように感じます。
実現してはいないものの、鹿児島県阿久根市と長崎市とを結ぶフェリーの構想があったことが驚きですが、更に驚いたのは阿久根から長崎半島の野母崎までの距離が概算で80キロほどしかないことです。思いの外近い距離感に需要がとぼしいとは言え、フェリーの構想があってもおかしくないのだなぁと納得してしまいました。
海上国道と言えば、静岡県浜松市から渥美半島突端の伊良湖崎〜三重県鳥羽市間の伊勢湾フェリーでの航路を介して、紀伊半島を海沿いにぐるりと周り和歌山県和歌山市までを結ぶ国道42号線を思い出してしまいました。
地元の神奈川県から関西方面にツーリングする際に、よく海上国道となる伊勢湾フェリーを使っています。ちょうど走り疲れた頃にフェリーでワープ出来て、海を眺めながら小一時間ほど優雅な気分でゆっくりできる環境が気に入っています。伊良湖崎に至るまでの遠州灘沿いのワイルドな行程も楽しいです。