フランス、ル・マンのサルト・サーキットで、6月14~15日に決勝レースが行われる『第93回ル・マン24時間レース』。いよいよフリープラクティスが始まり、ハイパーポール進出をかけた予選も行われた水曜日のパドックから、同レースにまつわる最新情報をお届けする。
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予選4番手の6号車ポルシェ963が失格。車検で最低重量違反と判定、ハイパーカー最後尾からのスタートに
12号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・ハーツ・チーム・JOTA)のドライバーであるアレックス・リンは、水曜日に行われたル・マン24時間レース予選1回目で3分22秒847というタイムをマークし、トップタイムを記録した。これは、2024年大会でアントニオ・フォコがハイパーポール獲得時に記録した3分22秒982というハイパーカーのラップレコードを上回るタイムだった。
セッショントップタイムをマークしたリンは、「素晴らしいラップだった! マシンは最高で、正直、不満はなかった。1回目と2回目のアタックでセットアップの調整は一切せず、パフォーマンスを向上させることができた。力強いスタートが切れたから、この調子でいきたいね」とコメントした。
BMW Mモータースポーツのアンドレアス・ルース代表は、ドリス・ファントールが15号車BMW MハイブリッドV8で予選2番手に入ったにもかかわらず、ハイパーポールでのポールポジション獲得の可能性を否定した。
「ハイパーポール1に2台とも出場するのは厳しいかもしれないと思っていたが、2台とも出場できて本当に嬉しい。我々の最大の目標は、2台ともトップ15に入ることだった。そして、目標を達成できたが非常に僅差だった。ただ、ポールポジション獲得はあまり視野に入れていない。というのも結局のところ、我々よりも速いクルマがいたことは皆さんもご存知でしょうから」
LMP2クラスでは、ジェネシス・マグマ・レーシングのバナーを掲げて走る18号車IDECスポーツ・オレカ07が、ハイパーポールを逃した5台のうちの1台となり、ル・マン総合優勝3回を誇るアンドレ・ロッテラーは、同クラス17台中14番手に終わった。
ロッテラーは予選後に「他のドライバーと比べて、どこでタイムを失っているのかを見直す必要がある。課題はストレートスピードのようだ。また、良いラップもあったのだが、妨害を受けてしまってコンマ3~4秒失ってしまった。決勝はロングレースだし、レースカーもかなり良い仕上がりだと思っているが、予選ではその性能を最大限に引き出すのが難しかった」と語っている。
LMGT3の全9メーカーがハイパーポールに進出し、上位8台はそれぞれ異なるメーカーが占めた。
TFスポーツの33号車シボレー・コルベットZ06 LMGT3.Rのドライバーであるベン・キーティングは予選17番手となった後、ライバルと比べてストレートスピードが劣っていることを明かした。
「何よりも腹立たしいのは、21号車フェラーリとフォードの1台を利用してストレートを走り抜け、そのままコーナーに向けて減速した瞬間に赤旗が出たことだ。あれは今週末のベストラップだったはずだ。どうなっていたかは、誰にも分からないけどね」
フリープラクティス1でスティーブン・グローブのクラッシュにより損傷した63号車メルセデスAMG LMGT3(アイアン・リンクス)は、メーカー広報担当者によると、木曜日のフリープラクティス3に間に合うように修理され、コースに戻る予定とのことだ。
183号車オレカ07・ギブソン(AFコルセ)のドライバーであるアントニオ・フェリックス・ダ・コスタは、ポルシェとのフォーミュラEテストに参加したため、火曜日に義務付けられたドライバーズブリーフィングを欠席した。その結果、500ユーロ(約8万2000円)の罰金を科され、フリープラクティス1に出場する前にレースディレクターから特別なドライバーブリーフィングを受けなければならなかった。
Sportscar365は、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのリザーブドライバーであるニコ・ミュラーも木曜日にフォーミュラEテストに参加する予定であることを理解している。
ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのマネージング・ディレクターを務めるジョナサン・ディウグイドは、水曜日のトラックレース開始前に記者団に対し、日曜日のテストデーの結果に基づき、ストレートスピードに関しては「競争力がある」と感じていると語った。
「もちろん、我々が持っているのは自分たちの参考データだけだ。昨年ここでのレースを終え、その点の改善に注力し、伸びしろを改善できたのは大きな成果だ」
ポルシェLMDhのファクトリーディレクターであるウルス・クラトルは先週末、Sportscar365の取材に対し、ポルシェ963はシーズン開幕当初からエボ・ジョーカーを使用してリヤエンドに空力関連の改良を施していることを明らかにしたが、それがストレートスピードの向上につながったことは否定した。さらにディウグイドは次のように付け加えた。
「ACOフランス西部自動車クラブとFIA国際自動車連盟は、BoP(バランス・オブ・パフォーマンス=性能調整)でマシンの最高速度を均一化しようと試みており、確かにその影響は確認している。我々は、自分たちがコントロールできる範囲に集中し、あらゆる可能性を最大限に引き出せるように努めました。それが私たちの仕事であり、ストレートスピードの向上はその結果だと感じている」
ポルシェは、テストデーでは主にミディアムコンパウンドを使用していたことを認めた上で、夜更けの時間帯を除き、レースの大部分でミシュランのミディアムタイヤを使用する予定だと述べた。
ディウグイドは最近、NTTインディカー・シリーズの第6戦インディ500と第7戦デトロイトでウィル・パワーのストラテジーエンジニアに招聘されたが、チーム・ペンスキー内での自身の立場に変更はなく、ポルシェ・ペンスキーのマネージングディレクターとしての役割を維持することを確認した。
第109回インディ500において、チーム・ペンスキーの複数のマシンに技術違反が発覚したことを受けインディカーチームのプレジデントを務めてきたティム・シンドリック氏をはじめとする3名が解雇された。ディウグイドは、インディカーチームに復帰する可能性は依然として示唆しているものの、「今週末を乗り切ることに集中している。それが最大の目標だ」と述べた。
38号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・ハーツ・チーム・JOTA)のドライバー、セバスチャン・ブルデーは、ハイパーカークラスに参戦するキャデラック3チーム間のデータ交換において、アクション・エクスプレス・レーシング(AXR)が運営するキャデラック・ウェーレンの311号車が「基準」とされていると指摘した。過去2年間、単発参戦ではあったものの、Vシリーズ.Rでル・マン24時間レースをもっとも多く経験しているからだ。
ブルデーはSportscar365にこう語った。「今、誰もがAXRに注目している。なぜなら、もっとも安定しているからだ。彼らは同じマシンで同じ道を走っており、彼らのスタンスは『我々は自分たちが何を実行したか、何に満足しているかを知っている。皆も同じようにしていただいて構わない』というもので、ル・マンの知識を持っている唯一のチームだ。AXRは今のところ、キャデラック陣営における基準であり、ベースラインだ。おかげで、他のことに挑戦する余裕が少しできているよ」
トヨタの育成ドライバーである中村仁は、今週、サポートレースのロード・トゥ・ル・マンにR-ace GPから急きょ参戦し、トヨタ製エンジン搭載の86号車のデュケーヌD09でサルト・サーキットを初体験する予定だ。中村は昨年、aprからスーパーGTのGT300クラスに参戦していた。
ル・マンでは木曜日と日曜日に水素自動車のデモンストレーション走行が行われ、アルピーヌ・アルペングローHy6とリジェ・ボッシュJS2 RH2がサルト・サーキットを走行する。木曜日には、ル・マン市長のステファン・ル・フォル氏がテストドライバーのデビッド・プラシュル氏とともにアルピーヌの助手席に、土曜日にはFIA耐久委員会のリシャール・ミル会長が同乗する予定となっている。
35号車アルピーヌA424(アルピーヌ・エンデュランス・チーム)のドライバー、フェルディナンド・ハプスブルクは、国際慈善団体メアリーズ・ミールズと提携し、『レース・フォー・ミールズ』と名付けた募金キャンペーンを開始した。
このキャンペーンでは、35号車がレースで周回を重ねるごとに22ユーロ(約3600円)の募金を約束するもので、スポンサー企業もキャンペーンに協賛することで規模は倍になっている。
22ユーロは、世界の最貧困地域の子ども1人分の1年間分の食事を提供することができる金額であり、ふたつの企業の協賛が加わることで、1ラップごとに3人のこどもが1年間分の食事を受け取ることができるという。「このキャンペーンは、大好きなことをしながら社会貢献できる方法だ」とハプスブルクは語る。「これは単なるレースではなく、1周1周をもっと大きな何かのために役立てるチャンスなのだ」
ル・マン24時間レースの走行は木曜日も続き、現地時間14時45分(日本時間21時45分)にフリープラクティス3がスタートする。続いて、今年は複数のフェーズに分かれ、ハイパーカー専用のセッションが設けられたハイパーポールが20時(日本時間13日3時)に開始となる。
[オートスポーツweb 2025年06月12日]
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みんなのコメント
今のとこなに一つ勝負になる強みが無いぞ
Me*de!