F1第4戦スペインGPの予選、ハースのニキータ・マゼピンは最下位の20番手で終えたが、ランド・ノリス(マクラーレン)のアタックを妨害したとして3グリッド降格ペナルティを受けた。なおマゼピンは最下位だったため、グリッドへの直接的な影響はない。
ハース勢はセッション開始直後にコースイン。1発目のアタックを行なった後にピットに戻り、タイヤを履き替えて再度アタックに向かった。この時、コース上はちょうど最初のアタックを終えたマシンと、これからアタックに向かうマシンが混在している状況だった。
■マクラーレンのノリス、F1スペインGP予選Q1で引っかかった渋滞がQ3にも『悪影響』
じっくりとタイヤを温めていたマゼピンは、セクター3ですでにアタックを終えてクールダウンラップを走っていた角田裕毅(アルファタウリ)とキミ・ライコネン(アルファロメオ)に交わされた。するとその後方から、まさにアタック中だったノリスが接近。マゼピンは角田およびライコネンの後ろで待機してノリスを通過させるのは危険だと考え、そのまま速度を上げてアタックを開始した。
しかしノリスはマゼピンに詰まる形でタイムロス。Q2進出を確実にするために、セッション後半に再度アタックをせざるを得なくなってしまった。彼は、Q1で余計にタイヤを使ったことで、予選結果に悪影響が出てしまったとコメントしている。
スチュワードはこの件について、マゼピンはもっとアタック開始を待ち、ノリスの後ろにつくことが出来たと判断。3グリッド降格のペナルティを科した他、ペナルティポイント1点を与えている。
マゼピンは今回の件を振り返り、アタック開始前はお互いを尊重し、隊列を追い越したりせずに順序を守るというF1の紳士協定は機能していないと不満をこぼした。マゼピンは開幕戦バーレーンGPや、第2戦エミリア・ロマーニャGPでもこの紳士協定を守らずに追い越しをしたとして、批判を浴びていたからだ。
メディアのビデオ通話取材で、マゼピンは今回の出来事について次のように語った。
「僕の記憶が間違っていなければ、以前この通話で誰かがバーレーンの最終コーナーでの紳士協定について質問していたはずだ。僕が思うに、今回はそれがF1では機能していないという典型的な例だったと思う」
「僕はそれを守ろうと細心の注意を払っていたけど、とても低速でタイトな最終コーナーで2台に追い抜かれてしまえば、とても難しい事態になる」
しかし前述したように、角田やライコネンはすでにアタックを終え、ピットに戻るところだった。3セットのタイヤを使ってできるだけドライバーに経験を積ませようとしているハースと、Q1の18分間で2セットのタイヤを使って2アタックする他のチームの予選戦略の違いも、このインシデントの遠因となっていると言えるだろう。
マゼピンは、待つという選択肢を採ることはできなかったと説明。アタックを開始するのが唯一の選択肢だったと語った。
「マシンの全長が2.5メートルもあるのだから、そこに3台並ぶのは無理だし、4台目のマシンがフルスピードで走ってきたらなおさらだ」
「僕のマシンのリヤエンドはレーシングラインに乗っていたし、待つというのは選択肢にないと感じたんだ」
「唯一の選択肢は”GO”だった。だから僕はそうしたんだ。だけどそうだね、不運だった。色々なことが重なってしまったんだ」
「このことで動揺はしていない。というのも、僕にできることはほとんどなかったからだ。消えたりできれば別だけど、残念ながら僕にはまだそれが出来ないみたいだ」
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