さまざまな部分がブラッシュアップした“ゴルフ8.5”
「あれ? こんなに“いいクルマ”だったっけ?」……久しぶりにVW(フォルクスワーゲン)「ゴルフ」をドライブして、そんな思いを抱きました。
【画像】「えっ!…」世界の定番コンパクトが全方位的に進化! これが8.5世代のVW新型「ゴルフ」です(30枚以上)
ここでいう“いいクルマ”とは、装備が豪華だとか、キャビンが広いといったものではなく、走る・曲がる・止まるというクルマの印象を左右する動的な感覚のこと。試乗車はベーシックなガソリンターボ車とディーゼルターボ車で、同じ「ゴルフ」でも「ゴルフGTI」とか「ゴルフR」といった特別なモデルではなかったのですが、その“動的質感”の高さに驚いたのです。
1974年にコンパクトな実用ハッチバックとしてデビューした「ゴルフ」は、これまで世界累計で3700万台以上をセールスしたベストセラーカー。ここ日本でも、これまで100万台以上が販売されています。
8代目となる現行モデルは、2019年に本国でデビューし、2021年に日本へ上陸。今回の大幅改良によって通称“ゴルフ8.5”と呼ばれる新型へと進化を遂げました。
先のマイナーチェンジの内容は多岐にわたります。まずスタイリングは、ヘッドライト、リアのコンビネーションランプ、そして前後バンパーのデザインをリファイン。ヘッドライトの“涙目”形状がスッキリしたほか、フロントグリルのエンブレム回りに照明が配置され、周囲が暗くなると光って存在をアピールするようになったのも大きなトピックです。
また、上級グレードだけのアイテムとはなりますが、“IQ.LIGHT”と呼ばれるヘッドライトのハイビームはなんと500m先まで光が届くといいますから驚きです。
マイナーチェンジ前との大きな違いは室内にも。ダッシュボードの中央に鎮座するセンターディスプレイの画面サイズが10.25インチから12.9インチへと大型化され、運転していてちょっとした圧迫感を覚えるほどの大きさとなりました。
また、ステアリングスイッチが従来のタッチ式から物理タイプへと“先祖返り”したのもトピックのひとつ。加えて、センターディスプレイ下のスライダーバーに照明がついて夜間でも扱いやすくなったり、ナビゲーションを始めとするインフォテイメント系も“MIB4”システムへと刷新されてエアコンの操作部が画面に常時表示されるようになったりと、操作性がかなり自然な配置となりました。
マイナーチェンジ前の“ゴルフ8”は、思い切ったデジタル化が話題となりましたが、ちょっとやりすぎていて操作性に馴染めなかった人が多かったのも事実。実は筆者(工藤貴宏)もそのひとりでした。今回のマイナーチェンジでは、そうした操作系にもメスが入ったというわけです。
そうしたブラッシュアップは、スタイリングやインテリアだけにとどまりません。最新の「ゴルフ」は、従来モデルにあった1リッター3気筒ガソリンターボエンジンがラインナップからドロップし、1.5リッターの4気筒ガソリンターボと2リッターの4気筒ディーゼルターボの2本立てとなりました。しかも、従来のそれとは型式も異なる新設計ユニットへと載せ替えられています。
ちなみに、1.5リッター4気筒ガソリンターボにはマイルドハイブリッド機構がプラスされており、3気筒エンジンの実質的な後継となる116ps仕様と、150ps仕様の2タイプが用意されるのもポイントです。
ガソリン、ディーゼルともに完成度が高まった新エンジン
そのうち今回は、150ps仕様のガソリンターボを積む「eTSIスタイル」(消費税込443万7000円)と、150psのディーゼルターボを搭載する「TDIスタイル」(同463万8000円)の2台に試乗しました。
ガソリンターボ車をドライブしてひしひしと感じたのは、エンジンの出来のよさ。低回転域からフラットにトルクが発生し、アクセル操作に対してリニアにパワーがわき上がってきます。特別にハイパワーというわけではないものの、運転していて不満は一切なし。なんだか妙に心地いい乗り味なのです。
エンジンには、48Vマイルドハイブリッド機構に加え、気筒休止機構やアクセルオフ時にエンジンを停止させて駆動系と切り離す“コースティング”機能など、効率化のためのさまざまなデバイスが備わっていますが、それらの存在は全く気になりません。それらが働いていることに気づかないほど、違和感がないのです。
ドライバーがその気になればスポーティに走れますし、やや野太いエンジン音も魅力的。おまけにハンドリングも、ステアリングを切っていくと自然に向きを変えてくれるなど正確です。それでいて、日常的なシーンでの乗り心地は良好。弱点が見当たらないほどの完成度と評価していいでしょう。
一方のディーゼルターボはどうでしょう? 乗って驚いたのは、その躍動感でした。
2000回転を超えてからのフィーリングは、お世辞抜きに「これでディーゼルなの?」と思うほど、回していって官能性を語れるエンジンです。新しいディーゼルターボエンジンは、排ガスを浄化する“アドブルー”を2か所で噴射して綿密に制御できるようになったことで、“攻めたセッティング”が可能になったのだとか。それがフィーリングの向上につながったことは間違いなさそうです。
ただし、確かにディーゼルターボの完成度は高まったものの、出来のいいガソリンターボ車と乗り比べると、そのメリットが見えにくくなったのもまた事実。ディーゼルターボはトルクが太くて扱いやすいものの、新しいガソリンターボも低回転域からしっかり働くターボチャージャーのおかげで不満はないため悩ましいところです。
もちろん、ディーゼルターボ車には良好な燃費や燃料コストの安さからくるランニングコストの低さといったメリットもありますが、じゃあガソリンターボ車が悪いのかというと、決してそんなことはありません。実際、カタログに記載されるWLTCモード燃費を見ても、ディーゼルターボ車の20.8km/Lに対し、150ps仕様のガソリンターボ車は18.7km/Lと健闘しています。
加えて、ディーゼルターボ車のハンドリングや乗り心地は決して悪くはありませんが、乗り比べるとガソリンターボ車の方にアドバンテージがあるのは否めません。正直なところ、今回の試乗車どうしの価格差(20万円強)と天秤にかけると、新しい「ゴルフ」の総合的な実力は、ガソリンターボ車の方が上だと確信しました。
* * *
決して特別なメニューではないものの、毎日食べたくなる美味な白米……新しくなったVW「ゴルフ」は、まさにそんなクルマです。
決して派手さはないけれど、基本がよくできていて味わい深く、飽きがこない。毎日をハッピーにしてくれる“幸せの素”のようなエネルギーを秘めたクルマでした。
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みんなのコメント
ということだろう。
物とニーズが乖離している。
大きくて豪華な装備で高価な車なら、他のプレミアムドイツ車を買います。
フォルクスワーゲンゴルフ、つまり大衆車のなかの大衆車。だからそんなに冒険もできないってのもわかるけどトヨタカローラがあれだけ変わってもちゃんと売れ筋で残すことができているのが大きな違いかなと…