新車試乗レポート [2024.01.12 UP]
知っているけど知らないアルファード
文●池田直渡 写真●トヨタ
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トヨタの稼ぎ頭の1台でもあるアルファードはまさに賛否両論が渦巻くクルマ。好きな人にとっては「いつかはクラウン」ならぬ「いつかはアルファード」な憧れの1台である。
筆者は正月休みの間、このアルファードを借りていた。2.5ハイブリッドを搭載したZグレードのE-FOUR。アルファードは大きく分けるとエグゼクティブラウンジと呼ばれる豪華仕様シートか、少しシートが小ぶりな分ウォークスルーができるスタンダード(そういうグレード名はない)に分かれており、パワートレインは前述のA25A-FXSハイブリッド(190ps)の他にガソリンの2AR-FE(182ps)が選べる。それぞれにE-FOURも設定されている。本当は試乗ついでに自転車を積んで、どこかへ走りに行ってやろうと思っていたので、前輪を間に押し込めるウォークスルーを希望したのだが、年末にダイハツの不正問題が発生して、それどころではなくなった。なので長期に借りていた割にはあまり走れなかった。
トヨタ アルファード Z
とは言え、年末年始で実家で過ごしていたこともあり、旧友を乗せて出かける機会が何度かあった。「アルファードって昔運転したことあるんだけど、こういう背の高いクルマってどうも好きじゃないんだよねぇ」とのたまうのは高校の同級生。
あのね、アルファードは新型になってものすごく良くなったって説明をしたばっかでしょうが(笑)。まあジジィになると、一度インプットされた情報が更新できなくなるのはよくあることなんだけど、多分彼の中では、もう未来永劫、昔乗った時の記憶が更新できないのだと思う。という意味では、刷り込みは結構怖い。
筆者も2004年くらいに乗った初代アルファードにはあまり良い印象は残っていない。ジャン・レノがCMをやっていたアレである。とにかく徹頭徹尾アンダーステア。まあこの種のクルマに敏捷性を望んでも仕方ないが、クルマの動きの鈍さに真面目に運転する気が失せ、ステアリングを通して対話する気が起きなくなる。「これじゃ運転が雑になるよなぁ」と。しかしながらアレの印象で今のアルファードを語られても、それは違うとしか言いようがない。
2列目にウォークスルー機能を備えたスタンダードモデル
今世代で、圧倒的に良くなったのは2列目シートの乗り心地だ。サイドシルの構造を大幅に見直し、床の高さを35mm上げることと引き換えにボディの剛性を大幅に引き上げた。ここは書くと長くなりがちなので端折って説明すると、スライドドアのためにどうしても極太のスライドレールを敷居の部分に仕込まなくてはならない。結果前後輪を結ぶシャシーメンバーが犠牲になり、内側に屈曲して、なおかつ大きな断面積が取れなかった。
そのシワ寄せは2列目シートが据え付けられる床板の剛性不足に現れ、本来「王様のシート」であるべき2列目シートが、アイドリングの振動ですらブルブルと震えるという不始末になった。「お年寄りでも乗降しやすいために床板は低く」という販売サイドの強い要望を、蹴ってでも長らく課題だったボディ剛性を高めた英断によって、アルファードは激変したのだ。
剛性を高めるため床板は高くなったが、メーカーオプションとしてドアに連動する「ユニバーサルステップ」を設定した
ただし乗降性も捨ておけないので、電動スライドドアに連動するからくり仕掛けの収納式ステップを導入。このステップで救済することと引き換えに床板を35mm高くし、それによってボディ剛性が格段に上がったことは大きい。
そもそも新型はカムリでデビューし、その後クラウンにも採用されたGA-Kプラットフォームをベースに、環状構造を強化した新型ボディを与えられた。2代目からだいぶよくなっていたステアリングフィールもさらに向上した。
とは言え、いわゆるドイツ車みたいなガチっとしたクルマになったわけではなく、方向性としてはアメ車的な鷹揚さは備えており、クルマの性格としては納得感のあるものになっている。
何がどうアメ車的なのかと言えば、主に高速道路での振る舞いである。ステアリング操作に反応してゆっくりした周期のロールを伴う感じはちょっと船っぽい。だからと言ってエスティマのようにロールを御しきれないスリコギ運動をしたりせず、姿勢そのものは安定していて疲れない。長距離移動を得意とする走りである。その辺りはやはりノア/ヴォクシーとはクラスが違うなぁという走りは見せてくれる。
一般道での足捌きも決して硬くはなく、路面の良くないところでも、トラック的な突き上げはない。元よりアジリティを求める人に勧めるクルマではないが、エアボリュームを求め、かつ安楽志向の人には色々良く考えられた出来の良いクルマだと言える。「GA-Kすげぇ」というのが率直な感想だ。
さて、ネガティブなところはないのかと言われれば、言っても詮無いことながらやっぱりデカい。住宅地の路地とかに入ると、それはもう気を使う。トヨタで言うパノラミックビューモニターには鼻先の様子だけでなく、ボディを上方から俯瞰した画像が表示されるので、それにだいぶ助けられるが、狭いところでは手間を惜しまずサイドミラーの調整をして、路面近くの確認をするのは必須である。
駐車場の枠線に対しては、狭めの駐車場だとほぼいっぱいいっぱい。後輪が輪止めに当たっても少し鼻先がはみ出す感じで、そういうシチュエーションではボディサイズを持て余すところはあるだろう。そういう場所での取り回しは運転に自信がある人向けと言っておかないと嘘になる。
進化した「アドバンストパーク」は、従来のバック駐車に加え、前向き、バック出庫、前向き出庫が可能に。写真のようにスマホからのリモート操作にも対応する
ただ、トヨタがアドバンストパークと呼ぶ、オプションの駐車支援システムが付いていた。現行ヤリスから搭載されたこのシステムが一段と進化しており、相当に良くなった。おそらく今市中に出まわっている同種のシステムの中で、使い勝手でも駐車の上手さでも最良の1台だろう。ただしそれを持ってしても、厳しいところではギブアップする。なのでホントにヤバい狭いところでは自分で駐車するしかない。
ということで、デカいことが価値であるアルファードは長所がそのまま短所というクルマ。そのサイズはメリットもデメリットもある。どちらを選ぶかは買う人が決めることだろう。
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みんなのコメント
アルファードでもNVHと安全性は悲惨だろw