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見た目も走りもラグジュアリー ジェネシス・エレクトリファイド G80へ試乗 航続距離519km

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見た目も走りもラグジュアリー ジェネシス・エレクトリファイド G80へ試乗 航続距離519km

5シリーズやEクラスと競合するサルーン

自動車の電動化(エレクトリファイド)技術という言葉は、すっかり一般的なものになった。環境へ優しいというイメージを強調するため、マイルド・ハイブリッドのようなささやかに電動化された例へ、むしろ積極的に用いられているようだが。

【画像】ジェネシス・エレクトリファイド G80 欧州で競合する純EVサルーンと写真で比較 全85枚

しかし、ジェネシスのエレクトリファイド G80の場合は該当しない。駆動用バッテリーとモーターだけで走行する、れっきとした純EVだ。そもそも、ハイブリッドはラインナップしていない。

もし韓国製の上級サルーンを選ぶなら、選択肢はガソリンターボか、ツインモーターのエレクトリファイドという二択になる。2025年までに新モデルを純EVへ絞るという計画を立てているため、数年後にはガソリンターボも選べなくなる。

「ジェネシス・ディファレンス(ジェネシスの違い)」というキャッチコピーで欧州市場でのシェア拡大を目指す同社だが、エレクトリファイド G80の違いはどの程度だろう。実際に確かめてみよう。

全長4995mm、全幅1925mmというサイズを持つ4ドアサルーンのG80は、BMW 5シリーズやメルセデス・ベンツEクラスといった、いわゆるEセグメントに属する。プレミアム・ブランドとして、これらに伍する第三の選択肢に加わりたい狙いがある。

2基の駆動用モーター合計での最高出力は369psで、最大トルクは71.2kg-mある。英国価格は6万5802ポンド(1072万円)からに設定された。テスラ・モデルSより高いものの、7万6450ポンド(1246万円)からのメルセデス・ベンツEQEよりは安い。

航続距離519km 80%充電まで最短21分

ジェネシスを購入する際、ユーザー毎にパーソナル・アシスタントと呼ばれる専任担当者が割り当てられる。だがエレクトリファイド G80の場合は、さほど深く相談することはないだろう。

駆動用バッテリーも駆動用モーターも、選択肢は1つのみ。車両本体価格も、先出のワンプライスとなっている。

とはいえ、ホワイト以外のボディカラーには追加費用が必要で、5種類のパッケージなど幾つかのオプションを選択できる。駆動用バッテリーの電気を家電などに利用できる出力コンセントも追加でき、あれこれ選ぶと8万ポンド(1304万円)に迫ってしまう。

駆動用モーターは1万9000rpmまで回転し、至ってスムーズに加速していく。動力性能と航続距離とのバランスを取るため、シングルモーターの後輪駆動状態から、ツインモーターの四輪駆動へ自動的に切り替わる。

駆動用バッテリーの容量は87.2kWhで、WLTP値での航続距離は519km。電圧800Vの高性能システムを搭載し、急速充電能力は最大240kWまで対応する。10%から80%まで、最短21分で充電可能だという。

欧州のジェネシス・ユーザーの特典となるのが、急速充電ネットワークを展開するアイオニティ社のサブスクリプション・パスが5年間付くこと。欧州全土で30万か所といわれる急速充電器を、期間内は格安に利用できる。

クラシカルな雰囲気に独特の訴求力

エレクトリファイド G80がベースとするのは、ヒョンデのマルチパワートレイン・アーキテクチャ。ジェネシスは、カーボンファイバーなど様々な軽量素材を利用し、46kgの軽量化を果たしている。

内燃エンジンは降ろされるが、駆動用バッテリーとモーターを搭載することで、結果的に内燃エンジン版のG80より400kg増え、車重は2325kgある。ねじり剛性を向上することで、それに対応している。

実車を目の当たりにすると、どこかクラシカルな雰囲気が漂い、独特の訴求力がある。ルックスは、基本的に内燃エンジンで走るG80と大きな違いはない。

観察すると、フロントグリルは格子状のデザインが施されたパネルに置き換わっている。バンパーと19インチのアルミホイールも、エレクトリファイドの専用となる。

洗練された印象のインテリアも、変更点は少ない。掛け心地の良いレザーシートが標準装備で、空間はゆったりしている。小さなスイッチ類まで、操作系は見た目だけでなく触感も良い。

大きなタッチモニターがダッシュボードに載っているが、実際に押せるハードスイッチもしっかり残されている。リアシート側にも、独立したコンソールがある。豪奢な雰囲気が漂い、よほどの目利きでない限り不満は感じないだろう。

ラグジュアリー寄りにあるという違い

発進させてみても、品の良い質感は保たれる。パワートレインは滑らかで静かだし、ノイズキャンセリング機能が備わり、車内空間の静寂性は一層高められている。

サスペンションは、よほど大きな凹みなどを通過しない限り、衝撃を見事に吸収。カメラ映像を利用し、前方の路面を監視してアダプティブダンパーを制御する機能も搭載し、内燃エンジン版のG80より装備も充実している。

そして速い。太いトルクを活かし、スルスルとスピードを乗せていく。追い越し車線を積極的に使うような長時間の高速道路移動も、安楽にこなすことができそうだ。

とはいえエレクトリファイド G80は、どちらかといえばリラックスしてクルージングする方が向いている。ステアリングは程よく重く、操舵感も正確で反応を予測しやすいが、惹き込まれるような楽しさがあるとはいいにくい。

動的能力の仕立ては、スポーティ寄りではなく、ラグジュアリー寄りにある。スタイリングの雰囲気とも一致している。

純EVのエグゼクティブ・サルーンとして、エレクトリファイド G80には褒めるべき点が数多くある。技術的にも豪華さでも、不足を感じる部分はないといえる。

ゆったりとした走り味には、多くがスポーティ方向になびいている時代にあって、ジェネシスとしての違いを感じる。その個性を歓迎したいと思う。

ジェネシス・エレクトリファイド G80 デュアルモーターAWD(欧州仕様)のスペック

英国価格:7万9410ポンド(約1294万円/試乗車)
全長:4995mm
全幅:1925mm
全高:1475mm
最高速度:223km/h
0-100km/h加速:4.9秒
航続距離:519km
電費:5.2km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2325kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
バッテリー:87.2kWhリチウムイオン
最高出力:369ps
最大トルク:71.2kg-m
ギアボックス:−

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