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なぜ軽じゃなくなった? 普通車になった三菱小型EVは大型化で売れ行きは変化したのか

■前代未聞!? 軽自動車から登録車にサイズが拡大

 クルマを分類する規格には、3ナンバー車と5ナンバー車の区分や、乗用車と商用車の区分などがありますが、それらと並んで普通車(登録車)と軽自動車という区分があります。

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 普通車は、改良によるボディ拡大で5ナンバーから3ナンバーになったり、乗用モデルの派生で商用モデルが誕生したりすることはありますが、ひとつのモデルが軽自動車/普通車で変化することは非常に珍しいことです。

 ところが、2018年に軽自動車から普通車に「変身」したクルマが登場したというのですが、いったいどういうことなのでしょうか。

 日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会のデータによると、2018年の新車販売の総台数は527万2067台を記録し、そのなかで普通車と軽自動車の比率は64%:36%となっています。

 車種ごとで見ると、軽自動車はホンダ「N-BOX」が2015年から2018年まで4年連続で1位を獲得しているほか、2017年と2018年で販売上位5台の顔ぶれが変わらなかったということからもわかるように、人気車種が固定化されつつある状況です。

 普通車においては、2018年の販売台数1位は日産「ノート」が獲得したほか、トヨタ「アクア」「シエンタ」なども人気です。

 そんななか、2018年に軽自動車から普通車になったのが、三菱「i-MiEV」(アイ・ミーブ)というEV(電気自動車)です。2018年4月19日の一部改良で全長が3395mmから3480mmへ変更され、軽自動車は全長3400mm以下と定められているため、ボディ拡大により普通車扱いとなりました。

 i-MiEVはなぜ、軽自動車から普通車に変わったのでしょうか。三菱の広報担当者は、次のように説明します。

「i-MiEVが登録車(普通車)に変更となった理由としては、商品力の強化と歩行者保護法規への対応が挙げられます。

 商品力強化の具体的な内容としては、一部改良後のi-MiEVは前後のフェンダーが大きく張り出したデザインとなっており、低重心で安定感のあるスポーティなスタイリングを実現しました。この外装変更により、前後方向に全長が拡大しています」

 改良前と改良後のi-MiEVを比較すると、つるんと丸みを帯びたフロントデザインの改良前モデルに対し、改良後モデルは前後フェンダーやバンパーが立体的なデザインとなり、より存在感が増しています。

 普通車になったことで、販売状況に変化はあったのでしょうか。前出の三菱の広報担当者は次のようにいいます。

「軽自動車扱いだった2017年度のi-MiEVの販売台数は167台で、4月19日の改良で登録車(普通車)となった2018年度は70台を記録しています。ただし、2018年度は軽自動車版のi-MiEVの在庫があり、そちらを44台販売したため、同年度のi-MiEV全体の販売台数は114台となりました」

※ ※ ※

 2009年に世界初の量産型EVとして市場へ投入されたi-MiEVは、翌2010年度には2542台を販売しました。

 しかし、航続距離の延長など細やかな改良はおこなわれてきたものの、基本設計の変更がなかったこともあり直近の販売台数はもともと多くなく、また2017年度から2018年度にかけても下落しています。

 しかし、三菱は2016年にルノー日産三菱アライアンスのグループ入りをしたことで、日産などとともにEVの開発を進めていると見られています。EV開発において多数派となることによって、i-MiEVの次期型にあたるEVが、市場でより高い競争力を持つクルマとして登場することが期待される状況です。

■じつは登録車が「元祖i-MiEV」だった? ふたつのコンセプトカーの特徴とは

 軽自動車から普通車へ変更されたi-MiEVですが、i-MiEVのルーツとなるモデルを見ると、そのクルマも普通車のサイズを持っていたことがわかります。

 i-MiEVのルーツは、2003年9月のフランクフルトモーターショーで世界初公開されたコンセプトテストカー「i」まで遡ります。

 このクルマは全長3516mm×全幅1505mm×全高1514mmと軽自動車サイズの枠よりひとまわり大きくとられており、2560mmというロングホイールベースがもたらす、高い居住性や優れた走行安定性も特徴となっていました。

 またエンジンも軽自動車規格とは異なる1リッター直列3気筒エンジンが車両後方に搭載されています。

 その後、i-MiEVのベースとなるガソリン版市販モデルのiが、2006年1月に発売されました。このとき、コンセプトモデルから軽自動車規格へと変更され、全長3395mm×全幅1475mm×全高1600mmとなりましたが、市販版でも維持した2550mmというロングホイールベースや、車両後方のエンジン位置はそのままです。

 そして、ガソリン版のiをベースにEV化されたi-MiEVが製作され、市販前の2006年10月に電力会社と共同で実証試験を開始します。テスト走行が重ねられた後に、2009年にi-MiEVが市場投入され、現在に至ります。

 コンセプトカーの段階では普通車だったiですが、じつは軽自動車枠を超えたiがもう1台存在します。それは、2007年の東京モーターショーで世界初公開された「i-MiEVスポーツ」です(正式名はハイフンなしの「i MiEV SPORT」)。

 i-MiEVスポーツは、当時実証試験をおこなっていたi-MiEVを2ドア化して、外装デザインを一新したEVスポーツモデルです。全長3450mm×全幅1600mm×全高1400mmと、軽自動車枠では実現できないワイド&ローなシルエットが実現されていました。ホイールベースはベースモデルと同等の2550mmです。

 メカニカル面では、後輪モーターに加え、前輪に三菱のインホイールモーター技術を組み込むことで、車両運動統合制御システム「S-AWC(Super All Wheel Control)」を構成。高い環境性能はもちろん、優れた走行性能を実現したコンセプトカーとなっていました。

 このように、i-MiEV(およびi)は、軽自動車として市販されていたにも関わらず、軽自動車枠を超えてのびやかにデザインされた、個性豊かなコンセプトモデルが複数存在しました。

 日本市場で軽自動車として販売するために軽規格で設計されたものの、i-MiEVの次期型にあたるモデルが登場するならば、これまで発表されたコンセプトモデルに近いデザインを実現できる普通車で発表される可能性もあるといえます。

 また、軽規格でデザインするとしても、新しいプラットフォームの採用などで開発の自由度が高まり、より走りや外観に磨きのかかった軽EVとして登場するかもしれません。なお、三菱は東京モーターショー2019において、軽自動車のラインナップにおいても電動化を進めることを明らかにしています。

 i-MiEVで培った電動化技術が、三菱の車種ラインナップのなかでどのように花開くのか、今後登場する新型車で大いに期待されるところです。

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