フォード・レーシングが無双を続ける2026年のRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ第8戦『Perth Super 440(パース・スーパー440)』が、7月31日から8月2日に掛けて西オーストラリア州のワネルー・レースウェイで争われ、この週末もGMシボレーやトヨタ陣営を差し置き、第7世代フォード・マスタング“ダークホース”スーパーカーが躍動する展開に。
オープニングヒートと最終ヒートを制覇し、週末2勝を飾ったマット・ペイン(グローブ・レーシング/フォード・マスタング)の手により、フォードが2020年以来のマニュファクチャラーズ・チャンピオンを確定させると、レース2では盟主トリプルエイト・レース・エンジニアリング(T8)のエース、ブロック・フィーニー(レッドブル・アンポル・レーシング/フォード・マスタング)が復活の勝利を遂げ、チームにとって2006年以来となる「表彰台なし」の長い不振に終止符を打っている。
フォード・マスタングの躍進、止まらず。ウォーターズ、ペイン、コステッキが勝利を積算/RSC第7戦
シーズンレギュラーとなるスプリントカップも残すは2戦。終盤には採用2年目となるNASCAR方式のプレーオフが待ち受けるRSCだが、この週末はキャメロン・ウォーターズ(ティックフォード・レーシング/フォード・マスタング)がキャリア通算150戦目を迎え、前戦タウンズヴィルで選手権首位に浮上したグローブ・レーシングには、現地NRL(ナショナル・ラグビー・リーグ)の新チーム『パース・ベアーズ』との新たなパートナーシップが発表されるなど、現在のフォード陣営の勢いを象徴するかのような雰囲気で始まった。
迎えた予選シュートアウトでも、マスタングの性能を誇示したペインがポールポジションを射止め、レース1ではスタート直後からウォーターズと熾烈な首位争いを繰り広げる。その背後では、今季より新規参入を果たしたTOYOTA GAZOO Racing Australia(TGRA)のホモロゲーション登録担当チーム、ウォーキンショーTWGレーシング(WTWGR)の新鋭ライアン・ウッド(WTWGR/トヨタGRスープラ)が3番手に浮上し、虎視眈々と首位2台の背後を伺う。
すると蹴り出しで2番手に後退していたペインは、5周目の最終コーナー進入時にトップを奪う動きを見せ、そこへ首位が入れ替わる隙を突こうとしたウッドが突撃。2号車GRスープラはウォーターズを抜いた直後にグラスエリアへ押し出されながらも、ペインから首位を奪おうと試みる。
ここでなんとか首位をキープしたペインだったが、ウッドとの接触により警告を受け2台はこう着状態に。その背後では、古豪ディック・ジョンソン・レーシング(DJR)のエースを務める2023年王者ブロディ・コステッキ(シェルVパワー・レーシング/フォード・マスタング)が、上位進出の攻防劇でカイ・アレン(グローブ・レーシング/フォード・マスタング)とヒット。競り合いの末、39周目にグラベルへ飛び出しセーフティカー(SC)が導入され、コステッキは選手権の希望が打ち砕かれる最下位へと転落してしまう。
残り6周でレースが再開されると、ペインはウッドとの差を広げ3秒差で勝利。グリッド9番手から粘りのドライブを披露したアントン・デ・パスカーレ(Team 18/シボレー・カマロ)が表彰台の一角(3位)を確保し、参戦全ブランドがポディウムに揃うなか、フォードがシーズン残り14レースもある異例の早さで、GMゼネラルモーターズによる5連覇を阻止するタイトルを確定させた。
「残り8周というところで、またしても(前のクルマに続く)列に並ぶことになるのは決していい気分じゃないね」と終盤のSCで肝を冷やした瞬間を振り返った勝者ペイン。「見てのとおり、今日の19号車ペンライト・レーシング・マスタングは本当に速かった。予選から調子が良く、スタート直後にカム(・ウォーターズ)を攻略して、そのまま勝利に向けてプッシュできたよ」
同じく4番手発進からこの結果を残したウッドは「自分で自分を苦しめてしまったよ。ブレーキにいくつかトラブルを抱えていたし……」と内情を明かした。「でも、あの(ペインの)マスタングは別次元だね。今の彼は本当に速い。全力を尽くしたよ……。僕にとってはマシンを立て直して微調整し、表彰台圏内まで持っていけたことは本当に誇らしい瞬間だ」
続いて連続ポールシッターを務めたペインだったが、レース2のスタートも2速でのホイールスピンが響き、ターン1への進入でふたたび先行を許すことに。ここで首位を奪ったのがフロントロウに並んでいたフィーニーで、早めの義務ピットで1度はポジションを明け渡すものの、周回遅れの集団に捕まったペインを猛追。焦ったポールシッターは無線を通じて「(バックマーカーの)後ろに張り付いていたら、フロントタイヤを使い果たしてしまうよ!」と悲痛な叫びを訴えると、ピットロードエントリーで前方のアーロン・キャメロン(ブランシャード・レーシング/フォード・マスタング)に追突するまさかの失態を犯し、フィーニーに首位を譲る結末となった。
「ここに座ることになるとは思っていなかったよ。マット(・ペイン)は別格だった。特に第1スティントではね」とひさびさの表彰台で勝利の美酒を味わったフィーニー。「最初は本当に苦戦していると感じていたが、ピットストップに入って別のタイヤセットに交換したら、マシンの動きが劇的に良くなった。スピードも格段に上がったし、感触もすごく良くなったんだ」
「ここまでは、かなり何かが欠けているような感覚があり、ほんの少しの差や、ちょっとした変更で解決できるような問題ではないと感じていた。トップ争いに戻るために積極的に意見を伝えてきたが、指摘した点をチームが修正してくれても、それがかえって別の問題を引き起こすこともあった。今日の勝利は、チームの懸命な努力のおかげだよ」
これで完全復活を遂げたフィーニーは、明けた日曜最後のシュートアウトで今季4度目のポールポジションを獲得。現行Gen3規定での予選ラップレコードを更新してみせる。一方で4番手スタート予定だったウッドは、フォーメーションラップ中にGRスープラをコース脇へ止めるドラマも発生するなか、ウォーターズに続く3番グリッドからスタートしたペインが逆襲を開始する。
決勝を通じてコース上はチーム戦略が勝敗を左右する展開となり、2回目のピットを先行したペインが、その1周後にコース復帰したフィーニーの背後へ。ここでインサイドに飛び込んで首位を奪取したペインだったが、両車は接触した際にお互いのホイールとタイヤに損傷を負い、振動に悩まされる状態で最終スティントへ。
フィニッシュ後には、双方でリヤタイヤがビード(ホイールのリムと接するタイヤの特定部分)から1インチ(約2.5cm)以上外れるというトラブルが発生していたことが判明するなか、ペインがフィーニーを抑え切っての週末2勝目となった。
「なんてことだ、どこから話せばいいのか分からないよ……リプレイを見ると、あれほどリムから外れかかっていたのに、よくタイヤが落ちずに持ちこたえたものだと驚かされるよ」と安堵の表情で語ったペイン。
「何が起きているのか、正確には分かっていなかった。デラミネーション(トレッド面の剥離)か何か、とにかく何かがおかしいという感触だった。ブロック(・フィーニー)が速いことは分かっていたし、あの時点でアンダーカットを狙う戦略をとることも分かっていた」
「ホイール同士が接触したとき、何かがおかしいと感じた。マシンの挙動がひどく不安定になり、ドライブが非常に難しくなったんだ。それでコーナーへの進入を慎重にし、スピードを乗せすぎないようにしなければならなかったよ」
「ブロックには敬意を表したい。彼は本当にクリーンなレースをしてくれた。接触して僕の姿勢が乱れたときも、彼は一度引いて仕切り直してくれた。あれは本当に素晴らしい対応だ。それに必要以上にぶつけてくるようなこともなかった。本当に立派な振る舞いだったし、彼には大きな敬意を抱いている」
ポストシーズン“ファイナルズ”進出に向けたランキング争いも佳境を迎えるなか、スプリントカップのタイトルを懸けペイン、フィーニー、そしてウォーターズの3名が激突。2026年レギュラーシーズン最終戦となる第9戦『Ipswich Super 440(イプスウィッチ・スーパー440)』は、8月21~23日にクイーンズランド・レースウェイで決着の刻を迎える。
[オートスポーツweb 2026年08月04日]
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