■「へたくそ棒」需要のピークは2000年代
車体前方の隅に、「コーナーポール」あるいは「フェンダーポール」などといわれる棒を立てたクルマがあります。このポールは伸縮したり、夜間に光ったりするものもあり、メーカーによっては「フェンダーランプ」といった呼称も見られます。
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このようなコーナーポールは純正アクセサリーとして装着、あるいは社外品を後付けすることも可能ですが、いずれにおいても数を減らしているようです。
カー用品店「オートバックス」を運営するオートバックスセブン(東京都江東区)によると、その需要のピークは2000年代だったといいます。ホンダ車の純正アクセサリーを販売するホンダアクセスも、2017年時点で、たとえば「フィット」における直近の装着率は3%程度だと話していました。
そもそも、コーナーポールは運転席から見えづらい左前端(右ハンドル車の場合)の位置を視覚的に示すことで、車幅などの運転感覚を補助する役割があります。インターネット上では、「へたくそ棒」なる不名誉な呼称も見られますが、安全性を高める装備といえるでしょう。
装着が減っているとはいえ、純正アクセサリーとして用意されているクルマは決して少なくはありません。たとえばトヨタの乗用車系ではほとんどの車種で、ホンダ車でも軽自動車からコンパクト、ミニバン、セダン、SUVまで、ひととおりの車種にコーナーポールのオプションが用意されています。
■視界や技術も向上 いまコーナーポールを付ける必要性とは?
一方で、コーナーポールが装着される車種にはある傾向が見られるといいます。オートバックスセブン、ホンダアクセスの話を総合すると、やはりボンネットの長いセダンで比較的多く装着されているようです。
逆に、車体が小さい軽自動車や、ボンネットも短いコンパクトカーなどでは装着率が低いとのこと。全体的に運転席の位置が高くなり、前方の視界がよくなっているほか、たとえば「ステップワゴン」などでは、合わせ鏡の要領で車体左側前方を映す助手席ドアミラー前面の「サイドビューサポートミラー」があるなど、コーナーポールの役割を代替する装備も出てきています。
そもそも現在はカメラやセンサーの技術も進んでいます。車体の左前方に限らず障害物への接近を知らせたり、車体の真上からの視点をモニターに映すカメラシステムがあるなど、死角を克服という意味では、わざわざコーナーポールを選ぶ必要がなくなっているのかもしれません。
とはいえ、高齢ドライバーを中心に、コーナーポールに親しんできた人からの需要があるからこそ、オートバックスではいまも一定の種類を販売しているといいます。そのような人がクルマを乗り替えた際、再び装着する傾向もあるそうです。死角を減らす技術は進んでも、コーナーポールを愛用してきた人にとっては、染みついた運転感覚があるのかもしれません。
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