支持を集めたラリーカーを意識した見た目
フォード・エスコート RS2000が支持を集めた大きな理由は、ワークス風ラリーマシンを意識した見た目。シビエ社製のヘッドライトは4灯化され、目立つスカートとブラックのバンパーがフロントを飾った。リアにも、当然スポイラーが載った。
【画像】ラリーレプリカ エスコート RS2000 シェベット HS サンビーム・ロータス 同時期のハッチバックたち 全116枚
ホイールアーチは僅かに広がり、アルミホイールは13インチのラリー・スポーツ。サイドとリアには、RS2000と記される。キャビンは、ブラック・ファブリックの内装とシェール社製スポーツシートで、通常のエスコート Mk2との違いが主張された。
1978年のカスタム仕様では、レカロ社製シートや専用ホイールなどを獲得。また、ビルシュタイン社製ダンパーにローダウンスプリング、ベンチレーテッドディスク、LSDなどのオプションを組めば、ほぼラリーカーに仕立てることも可能だった。
今回のエスコート RS2000は、フォード・マニアのフィル・ホール氏がオーナー。5速化されたMT以外は純正のままで、1年前に購入したばかりだという。
軽快ながら、落ち着いてもいる身のこなし
個人的に、今回の3台で1番カッコいいのがコレ。Mk2のエスコートは見た目の特徴が薄いものの、専用アイテムが精悍なクーペにまとめ上げている。ステアリングは3スポークのRS仕様だが、標準と殆ど変わらない車内も、人間工学に優れ居心地が良い。
シフトレバーはストロークが長いが、滑らかにゲートを選べる。ギア比が高く、穏やかなクルージングを提供する。2.0Lのピント・ユニットは滑らかに回り、丘陵地帯を飛ばしても、さほど速く感じられないのが惜しい。
ステアリングは軽く、ギア比はスロー。反応はダイレクトで予想しやすく、ボディロールは抑えられ、グリップ力に不足はない。身のこなしは軽快ながら、落ち着いてもいる。
カーブへ飛び込めば、穏やかなアンダーステア。負荷が高まるとオーバーステア。ブレーキの効きは弱めで、高速域での安心感を薄めるものの、挙動は親しみやすい。
ロータスの2.2Lエンジンを得たサンビーム
これら2台と明らかに異なる体験を提供するのが、タルボ・サンビーム・ロータス。オーナーはスティーブン・クロザーズ氏だ。経営危機にあったタルボが、スコットランド工場を活用するべく、落ち着いた3ドア・ハッチバックのサンビームは生み出された。
タルボの親会社だったクライスラーは、フォード・エスコートやヴォグゾール・シェベットのラリーでの活躍へ影響を受け、ラリーカーの開発を決定。仕事はロータスへ託され、技術者は自社の2.0L 16バルブ4気筒、タイプ907ユニットをベースに選んだ。
排気量は2172ccに拡大され、タイプ911と名付けられたエンジンは、最高出力152psを発生。0-97km/h加速7.8秒、最高速度196km/hの充分な速さが与えられた。サスペンションは引き締められ、車高はダウン。車重は960kgと軽かった。
サンビーム・ロータスという名で発表されたのは、1979年。ラリーカーは、1980年の英国RACラリーで優勝し、1981年にマニュファクチャラーズ・タイトルも奪っている。
群を抜いてシャープな回頭性
1981年にサンビーム・ロータスは改良を受け、マーシャル社製スポットライトを獲得。ボディカラーはブラック&シルバーが標準だったが、ムーンストーン・ブルーにシルバー・ストライプで決めることも可能だった。
クロザーズの車両の場合、エンジンにビッグバルブとハイカム、高圧縮ピストンが組まれ、220馬力は出ているとか。5速MTもワークス仕様で、ステアリングは電動アシスト付き。ブレーキはAPレーシング社製、ホイールもコンポモーティブ社製に変えてある。
ヒルクライムでのタイムを狙ったアップグレードで、理に適った内容ながら、本来の体験とは少なからず異なるはず。オリジナルへ戻すことも、考えているらしい。
果たして、発進直後から鮮烈。回頭性は群を抜いてシャープで、姿勢制御は極めてソリッド。積極的に、ヘアピンを攻めようという気にさせる。真新しいタイヤの揺るぎないグリップ力とLSDが、そんな気持ちを増長する。
2台の中間にある、甘辛の理想的な味付け
ロータスのツインカム・ユニットが放つ野性的な咆哮は、回転上昇とともに、デロルト社製キャブレターの吸気音を交えた怒号へ転調。ブレーキは、思い切り蹴飛ばせばシェベット HS凌駕の制動力を得られる。濃密なドラマチックさが、クセになる。
5速MTの変速感は、メカニカルで気持ち良い。トップギアでは1000rpm当たり約39km/hで、高速巡航も苦行ではないが、やはり峠道へ出て積極的に回したくなる。
3台の中で、サンビーム・ロータスはひときわシャープ。しかし、能力を完全に引き出すには、より高い速度域と集中力が求められる。エスコート RS2000は、一般道での絶対的な性能で劣らないものの、マイルドなフィーリングが心象を薄める。
シェベット HSは、丁度その中間。甘辛の、理想的な味付けに思えた。
協力:サンビーム・ロータス・オーナーズクラブ、ペリー・アントニオウ氏、CLSカーズ社、リー・スミス氏、ドループ・スヌート・グループ、サム・グランジ・ベイリー氏
ラリー直系の熱々仕立てなFR 3台のスペック
フォード・エスコート RS2000(1975~1980年/英国仕様)
英国価格:4762ポンド(新車時)/3万5000ポンド(約735万円)以下(現在)
生産数:約1万台
全長:4142mm
全幅:1536mm
全高:1409mm
最高速度:177km/h
0-97km/h加速:8.6秒
燃費:8.7km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:941kg
パワートレイン:直列4気筒1993cc 自然吸気 SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:111ps/5500rpm
最大トルク:16.4kg-m/4000rpm
ギアボックス:4速マニュアル/後輪駆動
ヴォグゾール・シェベット HS(1978~1980年/英国仕様)
英国価格:5939ポンド(新車時)/4万5000ポンド(約945万円)以下(現在)
生産数:約400台
全長:3992mm
全幅:1579mm
全高:1371mm
最高速度:185km/h
0-97km/h加速:8.5秒
燃費:7.5km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1016kg
パワートレイン:直列4気筒2279cc 自然吸気 DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:137ps/5500rpm
最大トルク:18.4kg-m/4500rpm
ギアボックス:5速マニュアル/後輪駆動
タルボ・サンビーム・ロータス(1979~1981年/英国仕様)
英国価格:5939ポンド(新車時)/4万5000ポンド(約945万円)以下(現在)
生産数:2308台
全長:3830mm
全幅:1603mm
全高:1405mm
最高速度:196km/h
0-97km/h加速:7.8秒
燃費:6.0km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:960kg
パワートレイン:直列4気筒2172cc 自然吸気 DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:152ps/5600rpm
最大トルク:20.7kg-m/3800rpm
ギアボックス:5速マニュアル/後輪駆動
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