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ミニ・クーパー SE:公園で駆け回る子犬 完成度は最高水準:クプラ・ボーン VZ ベスト・ファンEV(2)

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ミニ・クーパー SE:公園で駆け回る子犬 完成度は最高水準:クプラ・ボーン VZ ベスト・ファンEV(2)

3位:ミニ・クーパー SE 公園で駆け回る子犬のよう

今回の5位と4位を知ると、3位は恥じる結果ではない。ミニ・クーパー SEは、小柄なボディと重心の低さで優れた操縦性を叶え、218psと不足ない馬力を発揮する。試乗車はジョン・クーパー・ワークス(JCW)のボディキットをまとい、容姿も凛々しい。

【画像】2025年のベスト・ファンEV アルファ・ロメオ・ジュニアにミニ・クーパー、アルピーヌA290ほか 全161枚

車重は1680kgとミニではないが、5台の中では3番目に軽い。ステアリングはシャープでレスポンシブ。手応えも充分にあり、コーナーへ思い切り飛び込んでいける。グリップ力も高く、シャシーへ信頼感を抱け、より攻めてみたくなる。

ボディロールは最小限。つづら折りの道でも、怯える必要はない。積極的に乗りたいと思わせる、電動のハッチバックだ。

ドライブモードは複数用意されているが、選ぶべきはコアとゴーカート。アクセルとステアリングのマッピングに加えて、スタビリティ・コントロールの制御が変化する。

ゴーカート・モードはステアリングホイールが重くなり、意欲的なコーナリングを楽しめる。一方のコア・モードはデフォルトだが、より直感的。久しぶりの公園に喜び駆け回る子犬のような、活発な雰囲気が好ましい。

0-100km/h加速は6.7秒で、アルピーヌA290には0.3秒遅れる。アルファ・ロメオ・ジュニア・エレットリカ・ヴェローチェとの比では、0.7秒。それでも、比較的軽い車重が功を奏し、数字以上に速く感じられる。

完璧ではない乗り心地 実用性はほどほど

ただし、フル加速を求めるとフロントタイヤがスリップ。トラクション・コントロールが、それを抑え込む。高速域でのパワーオン時はトルクステアが生じ、僅かに操舵感が安定しない。特に登り坂では。

どのモードを選んでも、乗り心地は完璧とはいいにくい。鋪装したてのアスファルトでない限り、細かな揺れが収まらないようだった。減衰特性にも、改善の余地はあるだろう。A290の方が、動力性能と操縦性とのバランスを上手く引き出している。

反面、クーパー SEは安定性の高さが魅力。ブレーキペダルのタッチも、A290ほど漸進的ではないものの、悪くない。回生ブレーキを最強に設定すれば、アクセルペダルだけで意のままに速度管理できる。

航続距離は、普段使いに困らない長さがある。現実的に300km以上は走れるだろう。

総合評価の足を少し引っ張ったのは、主に実用性だった。急速充電は最高95kWで、今回の5台の中では最も遅い。荷室も広いとはいえず、定員は5名ではなく4名だ。

しかし、これらの制限へ目をつぶれるなら、ミニの魅力へ強く惹かれる可能性は高い。個性の濃さはトップクラス。機敏な操縦性も強みといえる。

2位:クプラ・ボーン VZ ゴルフのGTIと同じ位置付け

クプラ・ボーン VZは、それ以外のボーンと殆ど差別化されていない。特別設定のボディカラーを選べるし、スペイン語で高速を意味する「ヴェッロ」の略、VZのロゴも付いている。だが、アップグレードされたクプラだという主張が、控えめなのが好ましい。

駆動用バッテリーは、フォルクスワーゲンID.7譲りの326ps。サスペンションは専用チューニングで、アダプティブダンパーも組まれている。フォルクスワーゲン・ゴルフのGTIと、同じ位置付けといえる。実際に走らせれば、忘れられない体験を享受できる。

それを想起させるアピールは少ないものの、羊の皮を被った狼的な仕立ては、古くから高性能モデルの特長の1つとしてみなされてきた。E28型のBMW M5などは、その好例だろう。視覚的な平凡さこそ魅力の核心だと、AUTOCARは以前に評している。

このボーン VZも、その点では共通している。むしろ、スポーティに着飾りすぎた平凡な性能を持つモデルが、近年は多すぎるように思う。筆者としては、適度に好戦的でやる気を感じさせる、控えめなボディが気に入っている。派手さはなくても、魅力的だ。

総合的な完成度は最高水準 お高めの価格

ステアリングホイールを握れば、そうコレコレ、と思わせる。サベルト社製のシートが身体を受け止め、ステアリングホイールのリムを通じて、指先へフィードバックが届けられる。後輪駆動らしく、コーナリングラインの調整はアクセルの加減で可能だ。

ピーク・ディストリクト国立公園のワインディングでも、思い切り楽しめる。それでいて見た目の威圧感は小さく、市街地や住宅地でも浮かない。実用性も高い。

アダプティブダンパーが組まれ、サスペンションの硬さは状況で選べる。普段はノーマル・モード、気張りたい時はクプラ・モードが、筆者のオススメだ。

タッチモニターの表示は、もう少しシンプルでも良かった。今回の5台の中で、英国価格は1番高い。この辺りが、1位になれなかった主な理由といえる。

加えて、モダンで人目を引くスタイリングを筆者は評価するものの、従来的な美しさまでは備わらないかもしれない。高速なバッテリーEVだという主張は感じられても、エモーショナルな造形ではないだろう。

ミニ・クーパー SとアルピーヌA290は、視覚的な誘引力で優れる。好みの問題もあるが、多くの人が共感できると思う。クルマを好きになる、大きな要素だ。

総合的な完成度で、ボーン VZが最高水準にあることは事実。家族での長距離旅行に使える、広い荷室と航続距離は明らかな強みだ。乗り心地も良い。一緒に生活するうえでは、今回の中で1番のバッテリーEVだといえる。

ミニ・クーパー SE スポーツ(英国仕様)のスペック

英国価格:3万7420ポンド(約730万円)
全長:3858mm
全幅:1756mm
全高:1460mm
最高速度:170km/h
0-100km/h加速:6.7秒
航続距離:397km
電費:6.6-km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1680kg
パワートレイン:同期他励電気モーター
駆動用バッテリー:49.2kWh(実容量)
急速充電能力:95kW
最高出力:218ps
最大トルク:33.5kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)

クプラ・ボーン VZ(英国仕様)のスペック

英国価格:4万4625ポンド(約870万円)
全長:4322mm
全幅:1809mm
全高:1540mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:5.6秒
航続距離:589km
電費:6.6km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:1924kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:79.0kWh
急速充電能力:125kW
最高出力:326ps
最大トルク:55.4kg-m
ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)

この続きは、ベスト・ファンEV(3)にて。

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