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商用車の王者は超多様? トヨタハイエースは何が売れてる? 超マニアック人気解剖

掲載 更新 32
商用車の王者は超多様? トヨタハイエースは何が売れてる? 超マニアック人気解剖

 普段意識することはあまりないと思うが、高速道路などでトヨタのハイエースが「前後左右にいる」という光景を目にすることはないだろうか。

 それは現行型のハイエースが2004年からすでに約17年間販売されているということに加えて、今もなおよく売れているからでもある。

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 ハイエースの正確な販売台数は、商用バンが中心ということもあり、あまり明らかにならないが、トヨタ広報部によると、2021年1~5月までの3つの車型を合計した販売台数は4万1530台とのこと。

 8000台を超える月販台数は、登録車の販売台数ではベスト10は当たり前、ベスト5にも匹敵する数値で、それが登場から17年経ったクルマというのだから、お化けのようである。

 こうした視点でハイエースを見ると、気になるのがグレードに代表される販売比率だ。

 本稿では私事ながら全日本ラリーへハイエースで参戦するチームスタッフをし、父はハイエースの双子車として昨年まで販売されていたレジアスエーススーパーロングバンで毎日仕事に行っているなど、ハイエースにちょっと縁ある筆者が知られざる人気の内訳などを紹介したい。

文/永田恵一、写真/TOYOTA

【画像ギャラリー】商用車の代名詞 ハイエースの内外装をさらに詳しく見る

■ボディは4通りでパワートレーンは7通り? ハイエースの多様過ぎる構成

ハイエースはボディサイズとパワートレーンの組み合わせを基盤に多彩なバリエーションが構成される

 現行ハイエースの販売比率と言われても、モデル構成の基礎知識がないとよく理解できないと思うので、初めに説明したい。

 現行ハイエースは大まかに言えばボディサイズとパワートレーンの組み合わせを基盤に、商用バンや乗用ワゴン、14人乗りコミューター(ミニバス)という車型が構成されている。まず、この2つから見ていくと、

●ボディサイズ

【A】ボディ/標準となる4ナンバーサイズのロング長・標準幅・標準ルーフ
全長4695mm×全幅1695mm×全高1910mm、ホイールベース2570mm

【B】ボディ/Aボディをハイルーフにしたもので1ナンバー登録
全長4695mm×全幅1695mm×全高2240mm、ホイールベース2570mm

【C】ボディ/ミドルボディ的なもので、実質ロング長・ワイド幅・ミドルルーフで、登録は3ナンバーもしくは1ナンバー
全長4840mm×全幅1880mm×全高2105mm、ホイールベース2570mm

【D】ボディ/スーパーロング長・ワイド幅・ハイルーフで、登録は3ナンバーもしくは1ナンバーとなる、ハイエースのボスキャラ的存在
全長5380mm×全幅1880mm×全高2285mm、ホイールベース3110mm

●パワートレーン

 トランスミッション、駆動方式も含めると
【1】2.8Lディーゼルターボ+6速AT/FR
【2】2.8Lディーゼルターボ+6速AT/4WD
【3】2Lガソリン+6速AT/FR
【4】2Lガソリン+6速AT/4WD
【5】2Lガソリン+5速MT/FR
【6】2.7Lガソリン+6速AT/FR
【7】2.7Lガソリン+6速AT/4WD

■グレード構成も複雑怪奇なほどきめ細やか

バンスーパーGL標準ボディ2WDディーゼル車

●10人乗り乗用ワゴン(3ナンバー登録)

・DX(Cボディ、パワートレーンは【6】と【7】)=レンタカーに使われることもよくあるベーシックグレード

・GL(Cボディ、パワートレーンは【6】と【7】)=一般ユース向けの上級グレード

・グランドキャビン(Dボディ、パワートレーンは【6】と【7】)=主にロケバスやレンタカーに使われることが多く、10人+人数分の荷物を運べるというハイエースのボスキャラとなる1台。

●14人乗りコミューター(2ナンバー登録)

・DX(Dボディ、パワートレーンは【1】、【6】、【7】)ベーシックグレード

・GL(Dボディ、パワートレーンは【1】、【6】、【7】)上級グレード

●1ナンバー登録の商用バン

・スーパーGL(Cボディ、パワートレーンは【1】、【6】、【7】)=左右スライドドアとなる5ドアで、乗車定員は5人。充実した装備や商用バンながら立派な2列目シートを持つこともあり、一般ユースに使うユーザーも多い

・DX(Dボディ、パワートレーンは【1】、【2】、【6】、【7】)=左側だけスライドドアが付く4ドア

・DX GLパッケージ(Dボディでパワートレーン、スライドドアはDXと同様)=DXに前後カラードバンパー、メッキグリル、電動格納リモコンドアミラー、プライバシーガラス、ハイグレードホイールキャップなどが加わり、差額は【1】のパワートレーンで10万5000円。

●4ナンバー登録の商用バン

・スーパーGL(Aボディ、パワートレーンは【1】、【2】、【6】)=左右スライドドアとなる5ドアで、乗車定員は5人。1ナンバー登録のスーパーGL同様、ハイエースユーザーの中には憧れの存在としている人も多い。

・DX&DX GLパッケージ(標準的なものとしてはAボディ5ドアの乗車定員6人、パワートレーンは【1】、【2】、【3】、【5】)

 さらにオプションやボディカラーもあるので、ハイエースを買う際には希望のものをちゃんとオーダーしたか、オーダーしたものがちゃんと来るのかが心配になるくらいのワイドバリエーションが設定されているということである。

■意外な傾向も判明!? ハイエースの販売比率は?

バンDXスーパーロングワイドボディ2WDディーゼル車

 ようやく本題となるハイエースの販売比率を見ていくと

【10人乗りワゴン/2021年1-5月販売台数:3900台】
DX/20%、GL/65%、グランドキャビン/15%
●エンジン:2.7Lガソリンのみ
●駆動方式:FR/57%、4WD/43%

 GLの販売比率を見ると、「アルファードなどでもキャビンやラゲッジスペースの広さが足りない」などの理由でハイエースワゴンを選ぶ一般ユーザーも一定数いると思われることがわかる。

【14人乗りコミューター(2021年1-5月販売台数:930台)
DX/28%、GL/72%
●エンジン:2.8Lディーゼルターボ/63%、2.7Lガソリン/37%
●駆動方式:FR/72%、4WD/28%

【商用バン/2021年1-5月販売台数:3万6700台】
DX/51%、DX GLパッケージ/16%、スーパーGL/33%
●エンジン:2.8Lディーゼルターボ/67%、2Lガソリン/28%、2.7Lガソリン/5%
●駆動方式:FR/66%、4WD/34%

 DX GLパッケージの販売比率が意外に低いようにも感じるが、これはプライバシーガラスなど、必要なものを個別のオプションで選んでいるユーザーが多いということなのだろう。また、ディーゼルが3分の2を占めるのは走行距離の多さなど、やはりハイエースバンとディーゼルは費用対効果も含め相性がいいということだろう。

 ちなみにちょっと気になる2LガソリンのFR+5速MTの比率は、非公式な情報ながら1%以下と聞いたことがある。

 ハイエースの4WD比率はどの車型でも意外に高く、ハイエースの全日本ラリー参戦車を製作するなど現行ハイエースに精通するサンコーワークスの喜多見孝弘さんが「ウチのハイエースのお客さんは4WDが多いんですよ」と言っていたことも、なんとなく理解できる。

コミューターDXスーパーロングワイドボディ2WDディーゼル車

 なおハイエースバンの登録ナンバー比率は8ナンバー登録が8.1%含まれているため、正確なものではないが、4ナンバー(Aボディ)/82.9%、1ナンバー(Bボディ、Cボディ、Dボディ)/8.5%と、やはり街で見るハイエースの割合同様、特にDボディはマニアックな存在と思われる。

 また、ハイエースに乗る際の注意としては、1ナンバー、2ナンバー、3ナンバー、4ナンバーがあるので、高速料金は3ナンバーと4ナンバーは普通、1ナンバー&2ナンバーが中型となる。つまりDボディだと同じボディなのに、3ナンバーと1ナンバー、2ナンバーでそれぞれ料金が異なることになる。

 Dボディといえば、1ナンバーと3ナンバーのは普通免許で運転できるが、2ナンバーのコミューターは14人乗りなので中型免許が必要だ。そのためハイエースの14人乗りコミューターは「同じDボディのハイエースバンに乗っているから慣れている」などと、ウッカリ運転してしまうと無免許になるので注意が必要だ。

*   *   *

 個人的にハイエースの原稿はマニアックなところがあることもあり、書いていて楽しい。

 この点はビジネスユース、キャンパーやバイクなどのトランスポーターといったレジャーユース、なかにはドリフトやラリー競技まで、カスタマイズの幅がとてつもなく広い点にも通じるところがあり、ハイエースライフを楽しんでいるユーザーも多いに違いない。

 それだけに200系現行型ハイエースは登場からすでに17年が経ち、いろいろな噂もあるが、ここまで来たら初代センチュリーを超える一世代で30年を目指して、ユーザーのためにも頑張ってほしい!

【画像ギャラリー】商用車の代名詞 ハイエースの内外装をさらに詳しく見る

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みんなのコメント

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  • 4WDの比率が高いのは、キャブオーバー型の特徴でフロントが重く、ディーゼルエンジン車では、尚更ガソリンエンジン車よりもはるかにエンジン単体重量が重い為、2WDの後輪駆動であまり荷物を載せないとバン用タイヤのグリップ力が低いこともあり、リヤタイヤのホイールスピンが多発します。登りのきついカーブでも簡単に内輪がホイールスピンします。雨、雪だと凄い事に。(今どきの型は電子制御により出力制御が掛かります。)
    私は、200系ハイエース4台の乗り継ぎになりますが、最初の1台目だけ2WDで以降4WDに乗っています。
    2WDは軽快感が勝りますし、4WDは安定感が勝りますね。
  • パクられるのが怖くて…
    仕事道具ごとなくなることを想像したら、震える…
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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