2022年1月14より開催されている東京オートサロン2022。ホンダブース内では、FL1型シビックをベースとした、次期型「シビックタイプR」のプロトタイプカーに、ひときわ注目が集まっていた。
歴代タイプRのシルエットを模した専用デカールが施されてはいたが、やはりFFスポーツ最高峰の存在感は圧倒的だ。シビックタイプR最新型の実力は!? そしてこの先はどうなるのか!? シビックタイプR開発担当者に伺った話を元に、考察していこう。
文:吉川賢一
写真:エムスリープロダクション
[gallink]
ホンダファンに向けて公開されたプロトタイプ
なぜ、このタイミングで次期型シビックタイプRプロトタイプを公開したのかについて、ホンダ日本本部商品ブランド部商品企画課チーフ佐藤大輔氏に伺ったところ、「開発が順調というメッセージでもあるが、真の目的は、タイプRを待ってくれている日本のファンにいち早くお見せするため」だという。
昨年、ホンダは日本市場において、NSXやS660など、多くのモデルの生産終了を発表した。そのことで、ホンダファンにとって寂しい思いをさせていることを危惧していたという。少しでも、元気にある話題を提供したいと考え、目下開発中のマシンを披露することとしたそうだ。
さらに、シビックタイプRについては、ホンダ英国工場の2021年末閉鎖によって、2020年10月に発表されたFK8型の後期型が発売開始された時点で事前予約がいっぱいとなり、購入できなかった方が多くいた。開発陣としては「非常に申し訳ないことをした」という思いがあったようだ。
発売開始は予定通り、2022年内としているが、半導体や材料不足の状況次第では現時点、何とも言えない状況でもあるという。
東京オートサロン限定展示となる、新型シビックタイプRのプロトタイプ。間近で見ると、迫力あるボディのラインから走りのオーラが漂っている
本格的な走行テストも開始、偉大なる先代を越えられるか!?
新型シビックタイプRの目標はやはり、先代(FK8)を越えることだろう。以前、シビックタイプR開発総責任者の柿沼氏も言及していたように、「進化を止めない」ことがタイプRの使命であり、先代(FK8)を凌駕することは絶対使命であると、前出の佐藤氏もいう。
ホンダブース内では、鈴鹿サーキットでの走行試験の様子が公開されていた。本格的な走行テストは始めたばかりであり、タイムアタックなどはまだこれから実施していくそう。
ちなみに、今回の新型シビックタイプRで、ニュルブルクリンクは走りましたか?? と佐藤氏に尋ねたところ、「2021年秋ごろにタイプRの開発チームはテスト走行に行っている。その内容や成果は公表できませんが、順調に進んでいます。」とのことだった。
後期型FK8は、コロナ禍の影響で、ニュルブルクリンクのアタックを延期していた(現時点のFFニュル最速ホルダーはルノーのルーテシアRS)。昨年末のニュル走行は、後期型FK8のアタックである可能性も高いが、当然、FL型のタイプRも持っていき、比較走行はしてることだろう。
ドラッグをなくし、リフトコントロールメインの設計に
新型シビックタイプRの詳細なスペックに関しては、残念ながら「純ガソリンエンジンでマニュアルミッション」というところまでしか、開示されていない。
だがプロトタイプをよく見ると、タイヤはFK8と同じ20インチのミシュランパイロットスポーツ4Sを装着。ホイールは新デザインとなっていたが、後期型FK8で初採用したBBS製の鍛造ホイールがなかった(リムにFORGEDの刻印がない)。この点は後にオプションで登場するかもしれない。
また、先代は派手なフロントバンパー&リアデフューザーを装備していたが、新型では、無駄な造形を排し、空力的に有効な形状としたエアロパーツが織り込まれている印象だ。ドラッグ(空気抵抗Cd)を減らし、リフトコントロール(Cl)メインの設計としているものと推測される。
リアウイングは、断面の厚みが薄いタイプとなったが、迎角調整でダウンフォースを調整することも可能。ルーフから流れてきた気流と、傾斜の強いリアウィンドウから流れてくる気流を、上手くコントロールするものと考えられる。なおインテリアは濃い色のスモークによって確認ができなかった。
FL型シビックは、全体的に大人しいデザインになった印象だが、タイプRではファンの期待を上回るような、パフォーマンスと、カッコよさで仕上げてくれることだろう。
リアウイングは、厚みの薄いタイプとなったが、迎角調整でダウンフォースを調整することも可能。ルーフから流れてきた気流と、傾斜の強いリアウィンドウから流れてくる気流を、上手くコントロールするものと考えられる
タイプRの生産は日本に戻ってくると予測!!
新型シビックタイプRの生産工場について、佐藤氏に伺ったところ、「ホンダの工場は世界中にありますので、生産需要を考慮した立地の良い工場で行います」とのことだった。
タイプRは、北米市場がもっとも需要が高く、その次に日本市場がくるそうだ。新型シビックの生産は、セダンは、カナダにあるオンタリオ州アリストン工場で行い、ハッチバックは米国のインディアナ州グリーンズバーグ工場で、生産開始となっている。
タイプRについても、そのラインでの製造も考えられるが、タイプRのような少量生産となると、開発チームのある日本で生産する方が、何かと融通が効きやすい。新型シビックタイプRの生産は、日本へ帰ってくるのではないだろうか。日本向けのFL1シビックと同じ、寄居工場での生産が濃厚だと筆者は推測している。
信じて待っていてほしい!!
佐藤氏に、「最後に、日本のファンや日本のメディアに向けてひと言お願いします」と、投げかけたところ、「ホンダスポーツの将来が危惧されると書かれているのをよく目にします。内部にいる我々も、外部からはそう見られているだろうな、という意識はしています。会社的にも、バッテリーEVを重視すると宣言していますので、タイプRのようなクルマはますます存在しづらくなる一台だと思います。
ですが個人的には、こうしたクルマは残していきたい、残さねばならないと思っていますし、そう考える同志は研究所(ホンダ研究所)の中にもたくさんいます。社内にはスポーツカー好きがたくさんいて、みなタイプRのようなクルマの存続を願っている。それだけは信じていただきたいと思います。」と、話してくださった。
バッテリーEVでなければできないことや、ならではの魅力があるのはもちろん承知している。だが、タイプRのようなガソリンくさいスポーツカーだからこそ楽しいところもある。FL型タイプRのさらに次が、どうなるのか、2022年時点では全く予想つかないが、ホンダ内部に熱い思いを持ったエンジニアが多くいると聞いて、ほっと安心した。「ホンダ」というメーカーを信じていてよさそうだ。
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みんなのコメント
現在、奥さんを説得中……
メガーヌだよね
相変わらずのベストカー品質の記事。