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レッドブルF1が”スプリント戦”のマイアミGPに、アップデート版フロアを投入した理由。しかしPUは古い個体に戻す

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レッドブルF1が”スプリント戦”のマイアミGPに、アップデート版フロアを投入した理由。しかしPUは古い個体に戻す

 レッドブルは、F1マイアミGPにアップデート版のフロアを持ち込んだ。この新しいパッケージはフロアフェンスとフロアエッジ、つまりヴェンチュリトンネルの入口と、フロア外側の輪郭によって構成されている。これらは、フロア全体の設計と論理的に結びついているようだ。

 今週末のマイアミGPは、F1スプリントが行なわれるフォーマットであるため、フリー走行が1回しかない。そのため、アップデートパーツを投入するにはリスクが高いように見える。事実、マクラーレンやフェラーリはアップデートパーツを一切投入せず、メルセデスもリヤウイングのフラップの角度を変えたのみである。

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 しかし、レッドブルの考えは異なるようだ。同チームのチーフエンジニアであるポール・モナハンは、motorsport.comの取材に次のように語った。

「我々は、ふたつの問題に対処しようとしている」

 そうモナハンは語った。

「それが今週末に、(フロアのアップデートを)投入した理由だ。アップデートは比較的安定しており、リスクもほとんどない。スプリントのウィークエンドなので、投入するには絶好の機会だ」

 レッドブルが今回のアップデートで目指すのは、ダウンフォースの向上と、コーナリング時のバランス向上というふたつの要素である。現行レギュレーションのマシンは、ダウンフォースのピーク性能が高いと、コーナリング中にそのピーク値を維持するのに苦労し、アンダーステアだったマシンがいきなりオーバーステアになってしまったりと、ドライバーたちを苦しめてきた。ただこれには、重複する部分や妥協点も存在しており、そのための解決策が今回のアップデートなのであろう。

 しかしそれでも、スプリントウィークエンドにアップデートを投入することは「リスクが少ない」と言うモナハンの言葉は矛盾しているようにも聞こえるが、それについて彼は次のように説明する。

「私は純粋に、気流の安定性について言及している。FIAの資料でも、今回の変更が安定性に影響を与えることはないと説明した」

「マシンの空力的な不安定さなどについては心配していない。ダウンフォースは多少増加するだろうし、その恩恵を受けられることを期待している」

 レッドブルのマシンは長年、バランスの問題が課題であるとされてきた。しかしモナハンは、これがチームの開発における主な焦点であるとは明言しなかった。

「課題のひとつだ」

 そうモナハンは言う。

「バーレーンでのレース後の不満を振り返ってみると、いくつかは解決することができた」

「全て解決できたかと言われると、おそらくそうではないだろう。引き続き取り組んでいくことになる。こういう問題には、簡単な解決策などない。マシンを段階的に改良していく必要がある」

「何が悪かったのかは分かっている。しかし解決策を見つけるのは、決して簡単ではない。これらの問題が完全に解決することはできいなかもしれないけど、ラップタイムへの影響を軽減することはできるだろう」

「ミルトンキーンズの多くの人が、この件に懸命に取り組んでいる。着実に改善していくだろう」

 なお今回のアップデートは、フェルスタッペン車にのみ投入されていることを、レッドブルは明らかにしていた。角田裕毅のマシンには、次戦エミリア・ロマーニャGPで投入される予定だ。

 レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコは、金曜日の走行終了後に、新しいフロアの最初のフィーリングは良好であると示唆した。彼によれば、新しいフロアはアンダーステアを軽減するようだが、それでも依然その傾向は残っており、低速コーナーと中速コーナーでは、レッドブルは引き続き苦しむことになりそうである。

 それについてさらにモナハンに尋ねると、「まあ一般的にはコーナーに問題があるね」と笑って答えた。

メルセデス、新品PUを投入。しかしレッドブルは中古に戻す

 マイアミGPのスプリント予選では、フェルスタッペンは新フロアを使ったにも関わらず4番手に終わった。最速だったのは、メルセデスの新人アンドレア・キミ・アントネッリ。両者のアタックラップを比較すると、差がついているのは主にロングストレートでついているように見える。

 アントネッリはわずかに早くアクセルを蹴り込み、ストレート入口での速度が僅かに速かった。ただその後も差が拡大し続けることになった。これには、エンジンパワーの差が現れているようだ。

 その一因は、メルセデスが今週末に向けて新しいパワーユニット(PU)を投入したことにありそうだ。現在はPUの開発は凍結されているが、走行距離が嵩むと徐々にパフォーマンスが落ちていく。そのため新しいPUを投入すると、僅かながらアドバンテージを得られる可能性がある。

 なおレッドブルは前回のサウジアラビアGPで新品のPUを投入。サウジアラビアGPは、今回のマイアミよりもパワーが重要なサーキットであるからだ。しかしレッドブルの関係者によれば、今回のマイアミでチームは、ホンダの要請により古いPUに戻したという。これはシーズン中に使えるPU各コンポーネントの基数に上限が定められている今を戦い抜く上で、必要不可欠なことである。

 PUの差は、金曜日のパフォーマンス差についてのひとつの説明とも言える。しかしレッドブルにとってそれよりも重要なのは、計画されているという3段階のアップデートの第一段階目を通じて、確実に改善がなされていることであろう。

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