F1第12戦ポルトガルGPでは、元F1ドライバーのヴィタリー・ペトロフがスチュワードに選出された。しかしながら、彼は予選日に父が亡くなったことを受け、スチュワードを降りることになった。
彼の地元ロシアで報道されているところによると、ペトロフの父アレクサンダーは、ロシア西部のヴィボルグ近郊にある自宅で銃殺された模様。この悲劇により、ペトロフはドライバースチュワードとしてレースに参加することを断念し、すぐさまロシアへと帰国している。
■ハミルトン、”片膝抗議”否定のペトロフをスチュワード選出したFIAの判断を疑問視
24日(土)の夜、FIAは声明を発表し、次のように述べている。
「FIAは、2020年F1ポルトガルGPのドライバースチュワードであるヴィタリー・ペトロフが、近親者との死別により、残りの期間は業務を継続しないことを承認した」
「FIAの想いはヴィタリーとその家族と共にある」
そしてFIAはペトロフの後任として、フォーミュラEやWTCR(世界ツーリングカー・カップ)でセーフティカードライバーを務めるブルーノ・コレイアをスチュワードとして起用することを発表した。
F1のレースディレクターを務めるマイケル・マシは次のようにコメントした。
「まず最も重要なのは、我々の想いがヴィタリーとその家族と共にあるということだ。ドライバースチュワードの後任に関しては、幸いなことに長年FIAのセーフティカードライバーとしてフォーミュラEやWTCRで活躍してくれているブルーノ・コレイアがポルティマオに住んでいるので、彼に明日(日曜)から合流してもらうことになる」
「新型コロナウイルスの検査など、あらゆる手配はしてあるので、日曜朝にはスチュワードとして参加してくれるだろう。ブルーノには大変感謝しているし、先ほども言ったように我々はヴィタリーとその家族のことを想っている」
ペトロフは2010年から3シーズンに渡ってF1で活躍。ロータス・ルノー時代の2011年には、開幕戦オーストラリアGPで3位表彰台も獲得した。現在も続くロシア人F1ドライバーの系譜を築き上げたパイオニアでもある。
ペトロフは今回初めてF1のレーススチュワードに選出されたが、人種差別への抗議活動についての発言が物議を醸していたことから、F1における反人種差別運動の旗頭であるルイス・ハミルトン(メルセデス)などはペトロフ選出に疑問の声を上げていた。しかしながらFIAは、「オフィシャルとして活動する人間を選ぶ際に個人的な意見・信念は考慮されない」と述べ、今回の人選について弁明していた。
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