わかる人にはわかる、こだわりの詰まったカスタム・カプチーノ
今回紹介するスズキ・カプチーノは、US系のカスタマイズを得意とするショップ「SOUL ART&ROD」によるもの。同ショップのカスタマイズカーはクルマ雑誌の表紙を何度も飾っている実力派だ。オーナーのSさんはどのようにカプチーノを手に入れ、カスタマイズするに至ったのか? 詳細をお伝えしよう。
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初出:K-STYLE(一部改稿)
通称「フォックスハントカー」その名の由来は?
もともとスズキの軽自動車が好きで、歴代名車と言われるフロンテクーペや30ジムニー、初期型アルトワークスを乗り継いできたSさん。
当時カプチーノも「ULW P-89(※編集部注:1989年東京モーターショーに出展されたカプチーノのコンセプトモデル名)」から目をつけていましたが、当時の価格でも150万円位したので手が出ませんでしたね」
だがそこで諦めず、カプチーノが当たる雑誌の懸賞に手書きで100通ほど書きまくって投函。見事19万通の応募のなかから当選を果たす。
「そのころはお金もなくライトカスタム止まりでしたが、7~8年乗り倒して、家族も増えたので降りました」
その後、10数年の時は流れ「2年くらい前ですね、初代の際にもお世話になっていたクルマ屋さんから、カプチーノを処分したい人がいるよって。はじめは『もういいでしょー』と思いつつも、数日経つうち、どこかで『今逃したらもう乗る機会はないかも』とも思うようになりました」
価格が安かったこともあり、1週間ほど悩んだ末に購入を決意するも「もう転売するためにオールペンに出しちゃったよ」と。すぐに止めにかかり、それまでの費用を負担することで購入へ。納車後は即、旧知の仲であるSOUL ART&RODのIさんに預けた。
「初めは全塗装のみの予定が、缶コーヒー片手に純正の嫌な箇所を挙げながら話すうち、Iさんが“全部わかってるって”とひと言。あとはボディ色からホイール、カスタムプランまで事後報告(笑)」
担当したIさんも、「昔からのお友達だからできる悪ノリなんです」と、最終的には(フロントバンパーの一部を除く)フルメタルワークで欧州の旧車風の純正然としたクールな姿に仕上がったのだ。 ちなみにフォックスハントカーとは、オーナーが働いていたカフェショップに来る乗りの米兵さんに、「Sちゃんのクルマ? かっこいいね、フォックスハントカーだね」と言われたことが由来。意味を米兵さんの彼女に尋ねると、「“ブロンドをなびかせる毛並みのいい女性(フォックス)をハント(ナンパ)するクルマだね”って。向こうのスラングでかっこいいですよね」
メタルワークでボディ各所をカスタマイズ
車高はダウンサスをカットして純正より5~60mm程度のダウン幅。フェンダーはタイヤの肉厚ありきで合わせてワンオフ。シェルビーコブラなどを彷彿とさせる。
タイヤはレース用のイメージを作るために商用タイヤを購入し、ショルダーを手で削ってフライタイヤ風に寄せている。全体的にオーナーのキャラクターを感じながら仕上げているのだ。ホイールもネットで見つけたアルメックス。「ハリブランドをイメージ。マグっぽく塗ったのでUSっぽいですよね。コブラも大好きなので気に入ってます」
リヤセクションはフルメタルワーク。テールはポーター用を使用し、周りはローリングした鉄板を使い成型した。 トランクゲートもその裏もしっかりメタルワーク。元からこの作りだったのでは? と思わせる自然な造形美だ。 フィラーも“やるなら徹底的に”とメタルワーク×溶接で仕上げる。「社外品を付けていたが、ここまでしてそれだとカッコ悪い。理想としている60~70年代のスポーツカーではありがちな白いマフラーエンドがいいなぁと提案したら、こうなりました。白の耐熱スプレーっていまは売ってなくて、偶然ですが購入したクルマ屋さんの近所の塗料屋さんに置いてあった」とのこと。 ステッカーも当時モノを北海道より取り寄せした逸品。 ヘッドライト間の付け根は純正。その下はキャロル用を加工し、長さの合わない部分を延長するなどして成型した。 ステアリングは元は走り屋風が付いていたがモトリタに変更。シフトノブも雰囲気を考え、白丸に変更。こうしてより希少価値を高めたカプチーノが完成したのだ。
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