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これぞ“最新のアメリカ”だ! 新型キャデラック・エスカレード・スポーツ試乗記

掲載 更新 4
これぞ“最新のアメリカ”だ! 新型キャデラック・エスカレード・スポーツ試乗記

フルモデルチェンジを受けたキャデラックの新型「エスカレード」を小川フミオがテスト。進化したフルサイズSUVの実力とは?

最大級のSUV

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日本で乗れるSUVとしては最大級サイズの1台であり、かつスタイルはモダンで、装備はぜいたくなのが、キャデラック「エスカレード」だ。フルモデルチェンジを受けた新型は、昨年11月13日に日本で発売された。乗れたのは今年の8月の終わりと、ずいぶん長く待った感が強い。洗練の度合いがうんと高まったのが印象的なモデルだ。

エスカレードは、キャデラックのラインナップ中、「XT4」、「XT5」の上に位置する。日本では、もっとも大きなキャデラックのSUVになる。6162ccと、昨今ではまさに稀少価値といえる巨大なV型8気筒OHVエンジンに、「セレクタブル4WD」という2駆と4駆切り替え式(オートモードもあり)の4WDシステムを組み合わせる。

新型は、かなりルックスの雰囲気が変わった。とくに今回試乗した「スポーツ」は、特徴的なブラックグリルとブラックトリムに、ブラックの塗色の車体の組み合わせだったので、LEDライトによる幅の狭いヘッドランプと、四角な印象が強調されたようなボディスタイルが個性的だ。

「プラチナム」では、グリルを含めボディパーツにクロームが多用されるようになるので、従来のイメージがよみがえる。それにしても、金属のかたまりのようなソリッド感は、ほかにない迫力だ。

ドアを開けると、ステップが電動で展開する。着座位置は高いので、これは便利。インテリアもかなり印象的で、とりわけ、38インチという有機LEDによる計器盤とインフォテインメントシステムもモニターをそなえたダッシュボードは、最新の「CT5セダン」にも通じる斬新さで、出来のいいインテリアにおさまった感覚は気分がよい。

乗ると、先代に較べて、かなり洗練の度合いが高まっていると感じられる。今回から後輪サスペンションも独立懸架になり、乗用車的な乗り心地も目指したとは聞いていた。

たしかに快適で、かつ高速などではフラットライド。全高1948mmのキャデラック・セダン、といってもいいぐらいだ。

身軽さにびっくり

さらに印象的なのは、エンジンである。4100rpmで623Nmの最大トルクを発生する。走り出しは、アクセルペダルを軽く踏んだだけで、さっと2641kgの車体が動く。

まるでモーターを併用するハイブリッド車のような身軽さなのに驚く。

北米のメディアでは「加速はまずまず」なんて書かれていることもあるものの、充分に力強い加速が高い速度域にいたるまで、たっぷり堪能できる。高い回転域を楽しむようなエンジンではないものの、太いトルクで重い車体だって不満なく走らせられるのは、エスカレードの大きな魅力だ。

直線で速いだけではない。大きい小さいに関係なくカーブを曲がるのも、得意種目だ。センサーで継続的に路面の変化を読み取ることで、ほぼ瞬時にショックアブソーバーの減衰率を調整する「マグネティックライドコントロール」の恩恵だろう。

新型エスカレードには、従来のものに改良をくわえた最新システムを搭載。「従来のコンピューター制御のものよりもはるかに高速に反応し、車体の上下動やボディロール、大型SUV固有の振動を軽減します」とはキャデラックのリリース内の文言だ。

くわえて、ていねいに路面の状況に反応して、車高の調整をおこなう「アダプティブエアライドサスペンション」も、新型エスカレードのハンドリングと乗り心地の両面で、大きな役割を果たしているようだ。市街地でも高速でも、フラットライド。高級セダンの感覚にちかいと思った。

36スピーカーの醍醐味

ホイールベースが3071mmもあるおかげで、室内は広い。3列目のシートは、おとなも自然に座っていられる。それでいて、荷室もそれなりのスペースが確保されているのは驚くべき。

いっぽう、タイヤの切れ角は期待以上に大きく、かつ電動パワーステアリングの制御が緻密なので、車両とドライバーとの一体感が予想以上に高い。片側1車線幅の場所ならば1回でUターンが出来る。狭いコーナーを曲がるのも、意外なほど、楽なのだ。

ロングツアラーとしておそらくかなりの性能を発揮しそうだ。今回は市街地と高速道路のみの試乗だった。私は本当なら(コロナ禍がなければ)片道300kmぐらいのちょっとしたロングドライブを楽しんでみたい。

上記のように思った、もうひとつの理由はAKG製のオーディオシステムの質の高さゆえだ。

ハーマン傘下(サムスン傘下というべきか)のAKGは私もヘッドフォンを愛用している好きなブランド。エスカレードでは、28チャンネルで36のスピーカーを駆動する「ストゥディオリファレンス」なるシステムを使い、立体的な音場を構成、いわゆる“3Dサウンド”が楽しめる。私がびっくりしたのは、試しにかけてみたグレゴリオ聖歌。高音と中音が深みをもって再生された。

もちろん、故・チャーリーワッツがいいドラムスを聴かせてくれるザローリングストーンズの『シンパシー・フォー・ザ・デビル』のようなオールドロックも、ブラックキーズのブルージーな『デルタクリーム』の低音再生もよかった。でも、米国製の大型SUVのシートに身をあずけ、静かなチャントを聴くのは最高の気分である。

新型エスカレードは、従来型より全長を187mm、ホイールベースを121mmも延長している。北米では全長が384mm長く、ホイールベースも336mm長い「エスカレードESV」なるモデルが追加設定されている。日本では今回の標準ボディで充分だろう。なにしろ前席と後席との乗員はスピーカーを使って会話するのである。

価格は、プラチナムが1490万円、試乗車のスポーツが1520万円。

個人的には、スタイルだけなら、ホワイトに近い塗色のボディのスポーツなんていいかもしれない、と思う。

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)

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みんなのコメント

4件
  • 誰かに運転させて、後ろにふんぞりかえるには、これイイね。

    Sベンツも見下ろせるし、アルファード・エグゼクティブラウンジみたいに貧乏臭いスライドドアから出入りするかも必要もない。
  • 日本国内でアメ車に乗っている人でマナーの良い奴みたことない。
    碌にアメリカのことも知らないくせに憧れて、幅寄せしたり煽ってきたりと勘違い野郎ばかりなのは何故なのか…な。


※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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