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エポックメイキングな1台──新型ミニ クーパーSE ポール・スミス エディション試乗記

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エポックメイキングな1台──新型ミニ クーパーSE ポール・スミス エディション試乗記

日本に上陸した新型「ミニ クーパーSE ポール・スミス エディション」は、個性あふれる1台だった! 『GQ JAPAN』ライフスタイルエディターのイナガキがリポートする。

新型ミニ クーパーSE ポール・スミス エディションの特徴

共通の価値観によって生まれた1台──新型ミニ クーパーSE ポール・スミス エディション試乗記

1.しっとりとした高級車然とした乗り心地2.ひとつの理想形1.しっとりとした高級車然とした乗り心地

いよいよシステムを起動し、街中へと走り出す。

アクセルペダルを静かに踏み込むと、電気自動車特有のスムーズでシームレスな加速が始まる。内燃機関のような振動やノイズは皆無であり、車内は高い静粛に保たれている。

走り出しの第一印象として強く感じたのは、重厚感だ。フロア下に敷き詰められた大容量のリチウムイオンバッテリーがもたらす低重心化の恩恵は絶大で、路面に吸い付くような安定感をもたらす。

かつてのミニが持っていた、路面のアンジュレーションをダイレクトに伝えるバンピーでヤンチャな乗り味とは違い、しっとりとした高級車然とした乗り心地へと進化を遂げている。

ロンドンや東京といった大都市の洗練された街並みを、静かに、そして優雅に滑るように走る姿がよく似合う。

しかし、ミニの本質であるゴーカート・フィーリングが決して失われたわけではない。速度を上げ、コーナーに差し掛かった際のステアリングの応答性はシャープであり、ドライバーの意図したラインを正確にトレースしていく。

段差を乗り越える時などには、サスペンションのセッティングがやや硬めに引き締められているのを感じ取る場面もあった。しかしこれは、俊敏なハンドリングを実現し、伝統的なゴーカート・フィーリングを現代の電気自動車において作り出すための必然的な味付けであるだろう。不快な突き上げは抑え込まれていて、ボディ剛性の高さが上質な乗り心地を担保している。

新型ミニ クーパーSE ポール・スミス エディションのドライブ体験をさらに特別なものにしているのが、インテリアの中央に鎮座する円形のセンター・ディスプレイと、そこに統合された「エクスペリエンス・モード」だ。

高解像度で見やすく、操作性もスマートフォンライクで非常に直感的である。その下にあるトグルスイッチでドライブモードを変更すれば、クルマの性格は劇的に変化する。

特に印象的であったのが「ゴーカート・モード」。このモードを選択すると、ディスプレイのグラフィックがスポーティな意匠に切り替わると同時に、アクセルペダルに対するモーターのレスポンスが鋭くなる。最高出力160kW、最大トルク330Nmのスペックが牙を剥き、わずかなペダル操作に対して瞬時に強力な加速Gを発生。前輪駆動(FF)レイアウトでありながら、トラクションコントロールが巧みに介入し、フロントタイヤが路面を掻きむしる、刺激的な走りを堪能できる。

車内のスピーカーからエレクトリックサウンドが電子的に合成・増幅されて車内に響き渡るのも良い。

アクセルの開度と同調して「ヒューン」といった近未来的なモーターの駆動音が強調され、まるでSF映画の宇宙船がワープするかのような独特の没入感を生み出す。この音響的演出がドライバーの感情を昂らせてくれる。もちろん、静粛性を好むドライバーのために、このギミック音はオフに設定することも可能だ。

一方で、「タイムレス・モード」を選択すると、ディスプレイにはクラシカルなアナログメーター風のデザインが表示される。先進的な電気自動車のコックピットに、あえてレトロなメーターを映し出す粋な演出は、英国の伝統と現代性を融合させたポール・スミス・エディションのコンセプトと親和性が高く、落ち着いてクルージングを楽しみたい場面に最適だ。

また、パーソナル・モードでは、専用に用意された3種類のポール・スミス・バックグラウンドから好みのデザインを選択でき、インテリアの雰囲気を自分好みにカスタマイズする楽しみも用意されている。

2.ひとつの理想形

新型ミニ クーパーSE ポール・スミス エディションは、その完成度の高さと唯一無二のキャラクターに深く感銘を受ける1台だった。

¥5,980,000の価格は、コンパクトカー・セグメントを考えれば決して安価ではない。かつてのローバー製ミニの時代には、手が届きやすい“小さな高級車”といった側面もあったが、現在のミニはプレミアム・ブランドとしての地位を確固たるものにしている。

しかし、ポール・スミスの哲学がエクステリアからインテリアの細部にいたるまで注ぎ込まれ、高い静粛性と重厚な乗り心地、そしていざとなれば刺激的な走りを披露する電気自動車としてのポテンシャルを考慮すれば、価格に見合う、あるいはそれ以上の価値を十分に備えていると断言できる。

新型ミニ クーパーSE ポール・スミス エディションは、単なる移動の道具ではない。

ドアを開けて「hello」の文字に迎えられ、ポール・スミスのポジティブなメッセージに触れながらステアリングを握る。クリーンな動力で街を駆け抜けながら、時にはゴーカートのように俊敏な走りを楽しむ……すべてが、所有者の日常を彩る豊かなエクスペリエンスとなるのだ。

ファッショナブルでありながら実用性に富み、運転する歓びを純粋に追求した新型ミニ クーパーSE ポール・スミス エディションは、これからの時代におけるプレミアム・コンパクトEVのひとつの理想形である。

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文:GQ JAPAN 稲垣邦康(GQ)
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