この記事をまとめると
■オークションサイト「SBX Cars」にて2024年末に販売されたクルマが話題になった
ウソだろ!? 中身が「ロードスター」って誰が信じる! スペインの魔改造を超えて覇改造するコーチビルダーの正体とは
■ドイツの「AVGオート」とウクライナの「スペクオートチューニング」が手掛けた車両だ
■2代目メルセデス・ベンツ CLクラスの「CL55 AMG」をベースにしている
冗談みたいなクルマの中身はなんとAMG!?
世のなかには星の数ほどカスタムカーが存在するが、これほどまでに正体不明かつ威圧的な1台はなかなかないだろう。その姿はほぼ、映画のスクリーンから飛び出してきたバットマンの愛車「バットモービル」そのもの。だがその漆黒の装甲の下に眠るのは、なんとドイツの至宝、AMGのハイパフォーマンスクーペなのだ
2024年末に海外のオークションサイト「SBX Cars」に登場し、世界中のエンスージアストを驚愕させた「AVG バットモービル・トリビュート」の、常軌を逸したディテールに迫る。
この怪物のベース車両は、2代目メルセデス・ベンツ CLクラス(C215型)にV8スーパーチャージャーを搭載したド級グレードの「CL55 AMG」。C215といえば、流麗なピラーレスクーペのシルエットが特徴となる優雅なクーペだったが、それを「無骨な装甲車」に作り変えるという発想は、並大抵のクリエイティビティではない。
驚くべきことに、この個体は改造前ですでに約15万kmを走破していたそうだが、ベテランのAMGに第2の人生(あるいは闇の人生?)を歩ませるというこのプロジェクトは、ドイツの「AVGオート」とウクライナの「スペクオートチューニング」という、国境を越えたスペシャリストたちの手によって完遂された。
一見して、これがメルセデスだと見抜ける者は皆無だろう。マットブラックに塗装された複合素材製のボディは、もはやもとのパネルを1枚も残していない。そして特筆すべきは、その圧倒的な足まわりだ。フロント400/55R22.5/リヤ500/60R22.5というタイヤサイズは、もはや乗用車のそれではなく、トラクター用あるいは重機用を思わせる。それを「フローティング・ホイールフェンダー」と呼ばれる、まるで浮いているかのような独立したアーチで覆い尽くしているのだ。
細部へのこだわりも執拗である。フロントには「模擬機関銃砲塔」を備え、ドアはバットモービルにふさわしいバタフライドアへと換装。さらに、未来的な輝きを放つアニメーションLEDライトが、夜のストリートでの圧倒的な存在感を決定づけている。
そして見た目的なハッタリだけでは終わっていないのが、このマシンの真骨頂。純正状態では最高出力500馬力となる5.4リッターV8スーパーチャージドエンジンは、メルセデス・チューナーとして名高いデンマークのクリーマン(Kleemann)によってチューンされ、最高出力は約600馬力にまで引き上げられている。
そしてインテリアに目を向ければ、そこにはCL55 AMG のラグジュアリー感も一部に残されているが、カーボン製バケットシートやレーシングハーネスを装備し、なおかつアナログメーターは最高速度320km/hまで刻み直されており、単なる展示車両ではなく、実際に戦えるスペックが与えられていることが伺える。
このプロジェクトに投じられた金額は、ベース車両代を除いて25万ユーロ(日本円で約4500万円以上)に達したという。これだけの巨費を投じ、2024年末には第三者機関による検査もパス。つまり単なる展示品ではなく、公道走行が可能な「リーガル・バットモービル」としてのお墨付きを得ているのだ。
2024年12月のオークション出品時、その開始価格は1万8000ドル(約270万円)という、驚くほど控えめな金額だった。しかし最終的には27万ドル(約4200万円)で落札されたという。
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