6月13日にポルティマオで8時間の決勝レースが行なわれたWEC世界耐久選手権第2戦。トヨタGAZOO Racingの2台のGR010ハイブリッドには目立ったミスもなく、終盤まで2台でトップ争いをする展開となった。
燃費に関する戦略が分かれた7号車(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス)と8号車(セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー)の戦いはFCY(フルコースイエロー)解除後のラスト25分に『最終局面』を迎えたが、トヨタはここで2回のチームオーダーによる2度のポジションチェンジを行なった末、8号車が優勝。ブエミは「話すと長くなるが、チーム内の決めごとだ」とフィニッシュ直後のインタビューで口にしていたが、チームのテクニカル・ダイレクターを務めるパスカル・バセロンが、レース後に改めてこのポジションチェンジについて説明した。
最終局面の状況を整理すると、残り31分でストップしたLMP2車両の処理のためFCYが導入。フィニッシュまで燃料がもたない1番手走行中の7号車ロペスは、ここで燃料スプラッシュのためのピットインを行なった。これで8号車が首位に浮上する。
残り約25分でFCYが解除されたとき、ロペスはブエミの後方、約4秒のところに位置してたが、みるみるうちに8号車との差を詰めていくと、残り17分で7号車を前に出すというオーダーが発令され、2台はポジションを入れ替えた。
しかし2番手に下がった後も、8号車ブエミはロペスの背後に留まり、8号車の方がラップペースが速いことを伺わせた。
これを受けて残り11分、2度目のポジションチェンジが行なわれ、8号車ブエミが再びトップに。トヨタにとって世界耐久選手権参戦100戦目というメモリアルレースで、8号車の3人が勝利を手にした。
この2度にわたるポジションの入れ替えは、トヨタが今季採用する新しいチームオーダー戦略の結果であった。
以前は、レースの最終ピットストップ後は2台のポジションをキープし、順位を争わないことを、トヨタはチーム内の決まりとしていた。
しかし現在は、後ろのクルマが前のクルマより速いかどうかに応じて、最終スティントでのポジション変更を許可している。この新たなチームオーダーの取り決めでは、トヨタのマシンのペースは、トラフィックのいないセクターによって判断されるという。
「(最終)スティントの最初の部分では、ホセ・マリア(・ロペス)の方が速かったので、彼は(ブエミを)パスした」とバセロンは説明している。
「しかし、残念ながら、彼(ロペス)が前に出たとき、彼はもう速くなかった。したがって、我々はポジションを入れ替えた」
なお、このトヨタの取り決めはル・マン24時間レースには適用されず、レース距離の短い通常のWEC戦のみで採用されるものと、現在のところ理解されている。
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F1だと一時的に入れ替えてもらったのにその後
元に戻さなくてチーム内で険悪になったドライバーいたな…