メルセデスのAMG、BMWのMに相当するアウディのハイパフォーマンスブランドが“アウディスポーツ”である。そのアウディスポーツが開発する最速仕様が「RS」モデルだ。現在、日本国内ではRS4アバント、RS5クーペ、RS5スポーツバックが販売されており、今後はRSモデルを拡充することが予定されている。
あらたに導入されるRS Q3は、RSモデルとしてはもっともコンパクトなクラスに属するとともに、唯一のSUVだ(本国では年内にRS Q8の発売が予定されている)。仮想敵は、こちらもまだ国内未導入だが、新型のメルセデスAMG GLA45 4MATICと目される。
2桁ナンバー物語 Vol.5 三重33のBMWアルピナ 3.0CSL B2S (前編)
2代目へとフルモデルチェンジしたRS Q3は、VWグループのモジュラープラットフォームMQBをベースとする。新型では基準車のQ3に、クーペスタイルのQ3スポーツバック(以下SB)という派生車が設定されたことをうけ、RSモデルにも2つのボディタイプが用意された。
RS Q3&SBの国際試乗会は、スウェーデンのアルヴィッツヤウルという町で開かれた。ストックホルムから北へ約900km、欧州メーカーやサプライヤーの多くが寒冷地テストの場として使っていることでも知られるところで、運がよければオーロラも見ることができる。
北極圏にほど近く、冬はあたり一面が雪と氷で覆われるため、この町ではいま日本では基本的に使用禁止となっているスパイクタイヤの着用が許可されている。今回の試乗車にはミシュランのX-ICE NORTH 4と地元スウェーデンのDäckproffsenという初めて見る銘柄の2種類のスパイクタイヤが装着されていた。
ギャラリー:RS Q3で再び楽しめるクワトロシステム+5気筒エンジンの組み合わせアウディ RS Q3|AUDI RS Q3アウディ RS Q3|AUDI RS Q3アウディ RS Q3|AUDI RS Q3アウディ RS Q3|AUDI RS Q3tobias sageisterSBを真横から見るとルーフラインの傾斜具合やリアウインドウの小ささなど、違いがよく分かる。tobias sageister専用設計のシートやインテリアでスポーツ性と高級感、両方が高められている車内空間。ハニカム柄のデザインなども実にアウディらしい。中央のMMIインフォテインメイントシステム用モニターは10.1インチ。任意でナビ画面なども表示できるメーターパネルは12.2インチとなる。後席の広さもQ3と同じ。大人が窮屈さを感じることなく座ることができる。また荷室の容量もQ3と同じで530~1525ℓ、SBは~1400ℓとなる。アウディ RS Q3|AUDI RS Q3tobias sageisterスチール製の専用サスペンションを装着しているため、Q3よりも約10mmほど車高が低いRS Q3。写真は21インチホイールを履いたスタンダードボディ。tobias sageisterQ3同様、2つのボディバリエーションを設定駐車場に並んだベース車とSBを真正面から見比べると最初は違いがよくわからなかった。ボディサイズは前者が全長4506mm×全幅1851mm×全高1602mmなのに対して、SBは全長4507mm×全幅1851mm×全高1557mm。全長と全幅はほぼ同じで、全高はSBが45mm低い。両者を簡単に見分けるポイントは、ルーフレールの有無だ。そしてサイドから見れば、SBのルーフはCピラーにかけてなだらかに傾斜し、サイドウインドウの後端がキックアップしたデザインになっていることがわかる。またSBにのみリアバンパーに黒の加飾パネルがインサートされている。
エクステリアデザインは、両者ともに黒基調のブラックスタイリングパッケージを標準装備する。グロスブラックのグリルが備わり、その上部にはスポーツクワトロをモチーフにしたスリットが入る。サイドミラー、ウィンドウフレーム、アルミホイール、そしてアウディの4リングズまでブラックアウトされている。RSモデルでは、シルバー基調の仕様はオプションになるという。
tobias sageisterインテリアデザインは基本的に同一だ。フラットボトムのRS専用ステアリングには、新たにRSモードボタンが備わった。これはコンフォートやオート、ダイナミックなど通常のドライブモードに加えてRS1、RS2という2つのモードが追加されたことによるものだ。ドライブシステム、サスペンション、ステアリング、エンジンサウンドなどが調整可能で、あらかじめ任意のモードに設定しておけば、ボタン操作で瞬時に呼び出すことができる。
ベースとSBの機能的な違いをもっとも顕著に感じるのは後席空間だ。身長178cmの大人が着座して、頭上スペースのゆとりは前者がこぶし1つ分、後者は手のひら1枚分といったところ。後席シートの前後スライド量はそれぞれ150mmと130mm。意外にも通常時のラゲッジ容量は530リッターと共通で、後席をフラットにするとそれぞれ1525リッター/1400リッターとなる。
パワートレインは、RS3やTTRSなどにも採用されてきた2.5リッター5気筒直噴ターボに7速Sトロニックを組み合わせる。駆動方式はもちろんクワトロ(フルタイム4WD)だ。必要に応じて駆動力の50~100%をリアに配分する。アウディのアイコンとして長年受け継がれている5気筒エンジンは多くの改良が加えられており、最高出力は、先代比で60psアップの400psに到達、最大トルクは30Nmアップの480Nm、0-100km加速は4.8秒から4.5秒に短縮されている。
SUVであることを忘れる速さと操作性まずはSBで一般道を走る。この5気筒エンジンは、1-2-4-5-3の順でシリンダーが点火し、独特の鼓動を放つことで知られるが、何気なく走っているぶんにはとても静かだ。年々厳しくなる騒音規制に対処すべく通常時は音が抑えられているという。ドライブモードをオートにしておけば、電子制御ダンパーもしなやかに動き、コーナーではほとんどロールすることなくスムーズに曲がっていく。目線の高いSUVを運転している感覚はほとんどない。
試乗プログラムの後半は、凍結した湖の上につくられた特設コースへ向かい、SBからベースへと乗り換えた。ステアリングのボタンでRSモードを選択するとレスポンスやサスペンションやハンドリングなどすべてがダイナミックモードに、排気音も「Pronounced」(強調された)モードになる。ESC(横滑り防止装置)のスイッチを3秒間長押してキャンセルし、100km/hを超えるような高速コーナーと、氷が露出したすべりやすい低速のタイトコーナーなどが組み合わされた1周約2.5kmのトラックへとコースインする。RSスポーツエキゾーストシステムが本領を発揮し、これぞ5気筒という切れ味のいい音を奏でる。慣れてくるとブレーキやアクセルオフでの荷重移動をきっかけにすべてのコーナーを4輪ドリフトの状態でクリアできるようになる。まるで運転がうまくなったかと思わせてくれるくらいバランスのいいクルマだった。
tobias sageister今年はアウディにとって“クワトロ40周年”という記念すべき年だという。1980年、フルタイム4WD“クワトロ”システムと5気筒エンジンを搭載した、アウディクワトロが誕生した。それまでの常識をくつがえし、WRC(世界ラリー選手権)で大活躍を果たし、クワトロはアウディの代名詞になった。RS Q3は、クワトロ+5気筒エンジンのDNAをいまに受け継ぐモデルというわけだ。日本へは年内の導入が予定されている。
文・藤野太一 写真・アウディジャパン 編集・iconic
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