7月9日、宮城県のスポーツランドSUGOでENEOSスーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIDGESTONEの第3戦『SUGOスーパー耐久3時間レース』の決勝レースが行われ、午前のグループ2(Gr-2)はST-QクラスのTeam SDA Engineering BRZ CNF Concept(廣田光一/山内英輝/井口卓人/伊藤和広)、午後のグループ1(Gr-1)はTKRI松永建設AMG GT3(DAISUKE/元嶋佑弥/中山友貴)がトップチェッカーを受けた。
3月に鈴鹿サーキットで開幕し、5月には富士スピードウェイで第2戦となる24時間レースを終えた2023年のスーパー耐久。シーズン3戦目の舞台はスポーツランドSUGOとなり、今回はコース長や参戦台数の多さから決勝は2グループに分けての3時間レースが行われた。
まず決勝日はST-4、ST-5、ST-Qの28号車と61号車が参加するGr-2のレースが8時45分からスタート。グループポールポジションを獲得したST-QのORC ROOKIE GR86 CNF conceptを先頭に各マシンが1コーナーに飛び込んでいき、接触などは起こらずクリーンな出だしとなる。
スポーツランドSUGOということで荒れ模様のレースになることも予想されたものの、それとは裏腹に3時間レースはフルコースイエロー(FCY)やセーフティカー(SC)が導入されない落ち着いた展開でレースは進んでいくことに。
開幕戦からORC ROOKIE GR86とTeam SDA Engineering BRZの“ライバル対決”が白熱するST-Qは、レーススタートから9分ほどでBRZを駆る井口卓人がバックストレートでGR86をオーバーテイクすると、そのままクラストップと総合トップの座を譲らずにGr-2の先頭でチェッカーフラッグを受けた。
8台が争うST-4はGR86同士のバトルが繰り広げられ、序盤から攻めの走りを披露した王者TOM'S SPIRIT GR86がレース終盤までクラストップを走行するものの、ファイナルラップでクラスポールからスタートしたENDLESS GR86が逆転しクラス優勝を飾っている。
今季最多13台がエントリーしたST-5は、レース序盤はクラスポールのOHLINS Roadster NATSが後退。代わってodula TONE 制動屋ロードスターが隊列をリードするも、最終的には再びOHLINS Roadster NATSがクラストップに立ち優勝、2位にDIXCELアラゴスタNOPROデミオが続き、odula TONE 制動屋ロードスターは3位となった。
■Gr-1はTKRI松永建設AMGがST-X初優勝。ST-2ではエボ10が2019年以来の優勝に
Gr-2に続いて午後14時からはST-X、ST-Z、ST-1、ST-2、ST-Qの32号車と271号車が出走するGr-1の決勝が行われた。その直前には最終コーナー方向から雨粒が落ち始めると、バックストレートでも雨が降り始めるという難しいコンディションで3時間レースの幕が開けた。
FIA-GT3マシン5台が争うST-Xは、Gr-1ポールポジションからスタートを切ったDENSO LEXUS RC F GT3がまず先頭をキープするも、1周目のSPコーナーで4番グリッドから順位を上げてきたTKRI松永建設AMG GT3の元嶋佑弥が首位に躍り出る。
ポジションを落としたDENSO LEXUS RC Fはその後もペースが上がらず、2周目の1コーナーで中升 ROOKIE AMG GT3と争っている間にHELM MOTORSPORTS GTR GT3にも先行を許し4番手に後退してしまう。
午前のGr-2同様にGr-1の決勝も大きなアクシデントなくレースは進み、ST-XトップをいくTKRI松永建設AMGは残り1時間41分でピットインを行う。その直後には最終コーナーのイン側にST-ZのBUZZ KR McLaren570S GT4がストップしてしまったため、この日初めてFCYが導入されたが、4分ほどのマシン回収後に解除となっている。
レースは残り1時間を切ると、首位のTKRI松永建設AMG、DENSO LEXUS RC F、HELM MOTORSPORTS GTRのトップ争いが白熱してくる。そんななか残り40分、トップのTKRI松永建設AMGが最後のピットインを行ったとき、2番手を争っていたDENSO LEXUS RC Fがミッショントラブルからスローダウンを喫してしまう。その後もペースを上げることができないDENSO LEXUS RC Fはマシンをガレージに入れてしまい、ポールスタートから悔しいリタイアとなってしまった。
ST-XのトップにはこれでHELM MOTORSPORTS GTRが立つことになったが、最終ピットインのときに給油中にタイヤ交換を行った作業違反が判定され、ドライブスルーペナルティが科され2番手に後退。これで総合トップにTKRI松永建設AMGが再浮上し、最終スティントを担当した中山は危なげない走りでトップチェッカーを受け、2022年からST-Xに挑戦を開始したTKRIにとってST-X初優勝を挙げることになった。
GT4規定車両が激戦を繰り広げるST-Zは、ポールスタートのraffinee 日産メカニックチャレンジZ GT4をシェイドレーシング GR SUPRA GT4 EVOがオーバーテイクして隊列の先頭に立ってレースを進めていく。
ST-Zは首位のシェイドレーシング GR SUPRAから6番手のPorsche EBI WAIMARAMA Cayman GT4 RS CSまでが一列隊列で争う白熱のバトルが繰り広げられていたが、レース残り1時間12分というところでクラストップのシェイドレーシング GR SUPRAがバックストレート先でコースアウトを喫し脱落となる。
これでST-Zのトップには埼玉トヨペット GB GR Supra GT4が浮上し、60kgのウエイトハンディをものともせず、開幕戦から3連勝のトップチェッカーを受けた。2位にはraffinee 日産メカニックチャレンジZ GT4、3位にはナニワ電装TEAM IMPUL Zという2台のニッサンZ GT4が続いている。
シンティアム アップル KTMとD’station Vantage GT8Rの2台が争うST-1は序盤から一騎打ちが繰り広げられ、最終的にはシンティアム アップル KTMが1周差をつけてクラス優勝を飾った。ST-2はレース序盤からKTMS GR YARISがリードしていたものの、左フロントのハブトラブルに見舞われて修復作業を余儀なくされる事態に。レース終盤は新菱オートDIXCEL夢住まい館エボ10とENDLESS GR YARISが争い、6.374秒差で新菱オートDIXCEL夢住まい館エボ10が2019年以来のクラス優勝を獲得している。
ORC ROOKIE GR YarisとTeam HRCのホンダ・シビック・タイプR CNF-Rの2台が出走したST-Qは、水素GRカローラの代役を務めたORC ROOKIE GR Yarisがほぼノートラブルで3時間レースを走り切り、ST-2に割って入る総合16位でチェッカーを受けた。一方でシビック・タイプR CNF-Rはスタート直前にトラブルが判明しピットからレースに挑んだものの、その後もいくつかのトラブル修復のためピットガレージでの作業が行われた。しかし最終的には総合19位で完走を果たしている。
これで2023年シーズンの3戦目までを終えたスーパー耐久。次戦は7月29~30日に大分県のオートポリスにて5時間レースが開催される。なお、次回の第4戦は台数調整のためにST-1とST-4が不参加クラスになる予定だ。
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