初の量産EV「タイカン」、そしてピュアスポーツも
ポルシェ初のフルEVがいよいよ発表され、さながら「タイカンイヤー」と言える盛り上がりを見せた2019年。しかし、自動車界を大きく揺るがす電動化の波に乗る一方で、ポルシェはエンスージアストにとって血湧き肉躍るようなスポーツモデルを途切れることなく投入してきた。
ポルシェの2019年を振り返る。タイカンから宇宙船まで、ヴァイザッハの冒険は2020年も続く
今後の同社の方向性を占う重要モデルも数多く登場した2019年。2020年が幕を開けたいま、2019年のポルシェを振り返って整理してみたい。
持続可能性にも注力したサーキットモデル
2019年1月、ポルシェは718ケイマン GT4 クラブスポーツを導入。初代のケイマン GT4 クラブスポーツから3年ぶりの後継モデルとなった。アマチュアレーシングドライバー向けの「トラックデイ」と、国内外レース参戦用の「コンペティション」というふたつの仕様を用意している。
開発に際してヴァイザッハのエンジニアは、ドライビング性能の進化やラップタイム向上だけでなく、「サステナビリティ」にも焦点を当てた。天然繊維複合材パーツを採用した初のプロダクションレーシングカーであり、両ドアおよびリヤウイングには、主に亜麻や麻繊維などの農業副残物から抽出されたオーガニックファイバー混合物で製造。カーボンファイバーと同等の軽量さと剛性をもつと主張する。
パワーユニットは先代比40hpプラスの425hpを発揮する3.8リッター水平対向6気筒。6速デュアルクラッチギヤボックスを介してリヤを駆動する。ロールケージやバケットシート、6点式シートベルトを備え、総重量は1329kgを実現した。
走行会やクラブイベントに参加するアマチュアドライバー向けの「トラックデイ」は13万4000ユーロ(約1614万円)、耐久イベント参戦も見据えた「コンペティション」は15万7000ユーロ(約1891万円)という設定だ。
917の50周年を記念した大レストアプロジェクト
2019年2月にはポルシェ917の50周年を祝った。1969年3月12日にジュネーブ・ショーでデビューした伝説のマシンは、同社にとってのランドマーク的存在。誕生50周年を記念して、ポルシェ ミュージアムは最初の917をオリジナルコンディションにレストアすることを決定した。
917はル・マン23時間レースや国際メーカー選手権の制覇を目して開発された。917-001はホモロゲーション取得のために制作された25台のうちの最初の1台だ。
917-001は長い時を経て様々に変更が加えられてきたため、50年前の状態に戻すのは至難の業とされてきた。1969年のジュネーブでまとっていたホワイトとグリーンのカラーリングは、同年のフランクフルトではホワイトとオレンジに変更されている。ポルシェがレース活動をジョン・ワイヤー率いる「JWオートモーティブ・エンジニアリング」に委託する際には、プレゼンテーション用車両としてガルフカラーにリペイントされた。
レストアには1年以上の時間を要した。かつてツッフェンハウゼンやヴァイザッハで働いた経験をもつミュージアムのメカニックが、当時の設計図や写真と比較しながら、できる限りオリジナルのパーツや素材を再利用。フロントとリヤセクションのボディパーツや、設計図をもとに最先端の3Dプリンタ技術で完全再現した。
新型911カブリオレや伝統の“T”を導入
2019年3月のジュネーブ・ショーでは、新たに3台のスポーツモデルをプレミア。新型911のカブリオレを筆頭に、718Tと現在のポルシェの大黒柱であるマカンのスポーツグレード「S」を披露した。
911カブリオレは伝統にならいソフトトップを採用。50km/hまでなら走行中の操作も可能で、開閉に要する時間は12秒と短い。風の巻き込みを軽減するウィンドディフレクターも電動で可動する。
718ボクスターTおよび718ケイマンTは、1968年にデビューした911Tにルーツをもつ軽量仕様。Tはツーリングを意味し、装備を削ぎ落としながら最大限のドライビングプレジャーを目指すピュアでベーシックな仕立てが特徴だ。300psの4気筒水平対向ターボユニットに可変減衰力ダンパーを備えたPASM(ポルシェ アクティブサスペンション マネージメント システム)シャシー、6速マニュアルトランスミッションを組み合わせる。
軽量化のためにドアパネルにはハンドルの代わりにドアプルを装備。車載インフォテインメント「ポルシェコミュニケーションシステム(PCM)」モジュールもレスオプションとし、収納スペースに供している。
マカンはいまやポルシェの最量販車種として不動の地位にあり、2018年にビッグマイナーチェンジを受けている。スポーティーグレードのSのパワーユニットは、従来のインテグレーテッドドライサンプの3リッターV型6気筒ツインターボに代わり、3リッターV型6気筒のシングルターボに変更。最高出力を340psから354psに向上した。
スポーツクロノパッケージ仕様であれば、0-100km/h加速は5.1秒(先代比マイナス0.1秒)を実現。最高速度は254km/hにまで達する。
991型最終モデル、スピードスターを限定生産
2019年4月に開催されたポルシェ テニス グランプリでは、4400人の観客が見守る中でペトラ・クビトバ選手が見事優勝。991 カレラ 4S カブリオレを獲得した。
2019年5月には911 スピードスターが登場。ベースは2016年型の911 Rと911 GT3であり、つまり事実上の991型最終モデルである。パワーユニットは911 GT3と同じ4リッター水平対向6気筒自然吸気で、510ps/470Nmを発生。6速マニュアルトランスミッションを組み合わせる。
スピードスターの代名詞ともいえるダブルバブルリヤカバーを装備し、コンバーチブルトップの開閉は手動式。初代スピードスターがデビューした年にちなみ、ツッフェンハウゼン工場で1948台のみを限定生産する。
モータースポーツもEVもPHVも順風満帆
2019年6月のル・マンでは、ミカエル・クリステンセンとケヴィン・エストルがFIA WECのドライバーズ選手権で首位を獲得。ポルシェは第7戦のスパで、すでにル・マンでの最終戦を待たずして2018/2019年シーズンのマニュファクチュアラーズタイトルを獲得していた。
2019年7月、伝統のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで初めてフルEVモデルのデモンストレーション走行を実施。英国を象徴するユニオンジャック柄が描かれたルーフを戴くタイカンをドライブしたのはマーク・ウェバー。ポルシェは「トリプルデモラン」と称してグッドウッドを含め、中国・上海、米国NYでタイカンの走行する姿をお披露目した。
2019年8月は、パナメーラに続きカイエンにプラグインハイブリッドモデルを追加。他のポルシェモデル同様、フラッグシップグレードに据えた。
3リッターV型6気筒エンジンに136psのモーターを組み合わせ、システム最高出力462psを実現。発進直後から最大トルクの700Nmが湧き上がる。0-100km/h加速は5秒ジャストで、電気のみでも最長44kmの走行が可能だ。
新世代カイエンファミリーの一員として、「スポーツカーに匹敵するドライビングダイナミクス」も身上とする。PASM(ポルシェ アクティブサスペンション マネージメント システム)を標準装備するとともに、ハイブリッドモデルとしては初めて電子制御アクティブスタビライザーのPDCC(ポルシェ ダイナミック シャシー コントロール)をオプション設定した。
ついにタイカンを3大陸で同時アナウンス
2019年9月はいよいよタイカンをワールドプレミア。北米、中国、欧州の3大陸で同時発表を行った。
2019年10月には、間を置かずして「タイカン 4S」をお披露目。上級グレードの「タイカン ターボS」「タイカン ターボ」に続く3つ目のモデルレンジで、実質タイカンのラインナップにおけるエントリーモデルだ。
航続距離は標準で最大407km、パフォーマンスバッテリープラスを選択した場合は最大463km(いずれもWLTPモード)で、ターボSの412km、ターボの450kmよりも長い。0-100km/h加速は4秒で、ターボSと比較すると+1.2秒となる。
『スターウォーズ』にポルシェ製スターシップが出演
2019年11月はとうとうABB FIA フォーミュラE選手権の2019/2020年シーズンがスタート。今シーズンからアンドレ・ロッテラーをドライバーに擁してワークス参戦するポルシェはサウジアラビア・ディルイーヤの開幕戦で善戦。新規参戦ながら2位を獲得して表彰台にのぼった。
2019年12月。ポルシェはかのルーカス・フィルムとのコラボレーションを実施。史上稀に見るユニークなタッグは、日米同時公開が迫るスター・ウォーズのシリーズ最新作『スカイウォーカーの夜明け(Star Wars : The Rise of Skywalker)』に登場する宇宙船をデザインするために結ばれた。
ヴァイザッハとサンフランシスコ、それぞれのデザインスタジオに設けられたプロジェクトチームは2ヵ月にわたりデザイン案を検討。完成した宇宙船は「トライウィング S-91×ペガサス・スターファイター」と名付けられた。
キャビンの形状やタービンまでのフォルムは911やタイカンに着想を得たもので、全体的にコンパクトにまとめあげたレイアウトにも俊敏性やダイナミズムを大切にするポルシェならではのデザインメソッドが活かされている。
初めての量産EVスポーツカーからフォーミュラEへの参戦、ピュアなツーリングや自然吸気モデルの導入、そして“宇宙船”まで。ありとあらゆる挑戦を厭わないポルシェの冒険は、2020年も続く。
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みんなのコメント
大変な作業だな。