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初優勝の喜びを語るビンダー「家族が大きな犠牲を払って裏側を支えてくれた」/MotoGP第4戦レビュー

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初優勝の喜びを語るビンダー「家族が大きな犠牲を払って裏側を支えてくれた」/MotoGP第4戦レビュー

 MotoGPクラスルーキーのブラッド・ビンダーが、第4戦チェコGPで初優勝を飾った。最高峰クラス3戦目での初勝利は、KTMにとってMotoGPクラス初優勝であり、南アフリカ人ライダーとしても、最高峰クラスでは初の勝利となった。

 ビンダーは1995年8月11日、南アフリカの首都ヨハネスバーグ近郊の街、ポチェフストルームで生まれた。イギリスの植民地だったという背景を持つ南アフリカは、モータースポーツの盛んな土地柄でもあり、二輪では1970年代後半に250ccクラスと350ccクラスで通算4回タイトルを獲得したコーク・バリントンを輩出しており、かつてはキャラミサーキットやウェルコム(パキサ・フリーウェイ)を舞台に世界グランプリも開催されていた。

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 ビンダーは子供のころから2輪、そして、4輪のレーシングカートでモータースポーツに親しんでいたという。そして、2輪のロードレースに参戦が可能になる年令となると、2輪に専念。16歳になった2011年にはレッドブル・MotoGPルーキーズカップのライダーとして選抜され、ヨーロッパに渡る。

 ルーキーズカップでは初戦のヘレスのレース1で2位表彰台に立ち、2戦目のエストリルのレース1では初優勝を達成。この年には代役ライダーとして、世界グランプリ125ccクラスデビューも果たし、4戦に出場した。

「ルーキーズカップは僕のキャリアが始まった場所。それまでは南アフリカでしかレースをしていなかった。ルーキーズカップに参戦し始めると、すぐに大きなチャンスが訪れた。最初の3年間、間違いなく僕は多くを学んだ。いつでも楽しんでいた。南アフリカから来た僕たちにとって、他に方法はなかったと思う。ルーキーズカップがなかったら、まだ南アフリカでレースをしていたかもしれない」とビンダーは語っている。

 そして、小排気量クラスが4ストローク250ccのMoto3クラスとなった2012年より、世界グランプリにレギュラー参戦。1年目はKTMエンジンをカレックスフレームに積んだマシンで、最終戦バレンシアGPの4位を最高位にランキング21位を獲得。

 2年目の2013年にはチームを移籍し、マシンをマヒンドラに乗り換え、ランキング13位を獲得。2014年にはイタリアGPで2位に入賞し、グランプリ初表彰台に立ち、マレーシアGPでも3位に入賞してランキング11位を獲得した。マヒンドラでの活躍が認められ、2015年にはKTMのMoto3クラスのトップチーム、レッドブル・KTM・アジョに起用されると、ランキング6位とトップライダーの仲間入り。2016年にはスペインGPでグランプリ初優勝を達成、18戦7勝、2位5回、3位1回と通算14回の表彰台獲得、6回ポールポジションを獲得する活躍を収め、Moto3クラスのチャンピオンを獲得した。

 2017年にはレッドブル・KTM・アジョよりMoto2クラスにステップアップ、KTM製オリジナルシャーシのマシンを駆って1年目はランキング8位を獲得。2年目の2018年には3勝を記録してランキング3位、3年目の2019年にはタイトル争いに加わり、19戦で通算5勝、9回表彰台に立ち、ランキング2位を獲得する。

■優勝後は「電話が鳴りっぱなしだった」とビンダー
 そして、2020年より、レッドブル・KTMファクトリーレーシングより、MotoGPクラスにステップアップ。今シーズンは新型コロナウイルス感染拡大の影響でシーズンの開幕が遅れたが、デビュー戦となったスペインGPから予選Q2に進み、11番グリッドからスタートして13位に入賞。

 2戦目のアンダルシアGPでは予選9番手を獲得しながら、決勝はスタート直後の1コーナーで同じKTMを駆るミゲール・オリベイラに接触してしまい、コースオフ。コースに復帰した後、上位陣と同等のペースで追い上げたものの、転倒リタイアに終わった。

 そして、迎えた3戦目のチェコGPでは予選でMotoGPベストグリッドを更新する7番手を獲得。決勝朝のウォームアップセッションでも5番手につけていた。

 決勝はフランコ・モルビデリが先行して始まったが、ビンダーは序盤から上位グループにつけると、レース中盤にモルビデリをパスしてトップに浮上。そこからリードを広げて、MotoGPクラス3戦目で初優勝を飾った。

「僕が南アフリカ人ライダーで初めてMotoGPクラスで優勝したライダーだなんて、信じられないよ。南アフリカには大勢のモータースポーツファンがいる。レースを始めたころから大勢のファンに支えられてきた、初優勝を飾ったことはすばらしいこと。これは僕だけじゃない。この勝利が南アフリカで僕たちのスポーツにとって何かを生み出すことを願っているよ」

「正直、何をどう説明したらいいかわからない。正気ではいられないよ。いつも自分の結果を説明できると思っていたが、多くの人が喜んでくれて、いい影響を与えたようだ。すべてを動かしたことは、それが予想外の結果だったということだと思う」

「電話が鳴りっぱなしだったので、今はフライトモードにしている。メッセージや着信など、とんでもないことになっていたよ。何度も両親に電話したが、いつも話し中だった。この勝利が家族にとってどれだけハッピーなことかが分かった。家族は僕のレース活動に対して、大きな犠牲を払って来た。僕はレースに出かけるだけで、MotoGPのパドックにいるという夢の中に生きている10代の子供だったが、家族はその裏側を支えてくれた。苦労したと思う。初めは困難だったからね」

「KTMファミリーの一員であることを誇りに思う。KTMはどのクラスでも勝利を収めてきた。MotoGPクラスで勝利することは信じられないことであり、夢が実現した。KTMのスタッフのハードワークと献身のおかげだと思う。彼らはすべてに最大の努力をしてきた。僕がこれまで出会って来た人々の中で、彼らは最もクレージーな人たちの集まりだ」

「次のレッドブルリンクではいつもうまくやってきた。ただし、MotoGPのマシンで走ったことはない。MotoGPマシンで新しいコースに臨むたびにすべてが変わる。走行ライン、ブレーキングポイントは異なるからだ」

 今週末はKTMのホームレースとなるオーストリアGPに臨む。KTMはシーズン再スタート前にレッドブルリンクでテストを行ったが、南アフリカに戻っていたビンダーはこのテストに参加できなかった。そのため、金曜日にMotoGPマシンで初めてレッドブルリンクを走る。KTMはチェコGP後にブルノに留まり、テストを行なった。KTMのホームで連勝なるか、注目が集まる。




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