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「電動化の立役者」ボルボのMHEVに、電動化が進む今だからこそ乗っておきたい、いくつかの理由【熟考:XC40 アルティメット B4 AWD / V60 アルティメット B4」

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「電動化の立役者」ボルボのMHEVに、電動化が進む今だからこそ乗っておきたい、いくつかの理由【熟考:XC40 アルティメット B4 AWD / V60 アルティメット B4」

内燃機関に48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせることで、全車電動化をいち早く達成したボルボ。BEVやPHEVと多彩なパワートレーンを用意するボルボの中でMHEVはベーシックな電動化ユニットとなるが、2030年にBEVだけのブランドとなるボルボでは「いま乗っておきたい」パワートレーンである。(Motor Magazine2022年12月号より)

電動化の立役者であり、進化し続けるMHEV
ボルボは古くから独自の個性を持つ自動車メーカーだ。販売台数は多くないが「ブランド力」が高いこと、人間中心の思想で「安全」に対するこだわりが強いこと、そして最近では「大胆な戦略」を素早く決断できることだろう。

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そのひとつがパワートレーン戦略だ。2014年に「100%自社開発」、「4気筒以下」、「排気量2L以下」、「ガソリン/ディーゼル共通の基本構造」という明確なコンセプトで開発された「Drive-E」を投入。短期間ですべてのモデルに搭載を完了した。

その後、新世代ボルボ第一弾となったXC90には、Drive-E(ガソリン)とモーターを組み合わせた「プラグインハイブリッド」を設定。プラグインハイブリッドはすべてのモデルに水平展開されるが、当初はどちらかと言うと上級グレード用で主力は純粋なガソリン/ディーゼルだった。

しかし、15年に起きたフォルクスワーゲンによるディーゼルエンジン制御に関する違法行為、いわゆる「ディーゼルゲート」と呼ばれる問題から状況は一転。多くの欧州メーカーは電動化に舵を切る
戦略を取り始めた。その中でもボルボは短期間にドラスティックな変化を遂げた。

まず、17年に「19年以降に発売されるすべてのモデルを電動化させる」と発表。これは「純粋な内燃機関モデルの終焉」の宣言で、日本市場では20年にすべてのモデルが電動パワートレーン搭載モデルのみの設定となった。要するに「100%電動化」をいち早く達成したと言うわけだ。

ボルボ電動化の流れはさらに勢いを増し、21年には「30年に電気自動車(BEV)だけのブランド
になる」と宣言。つまり、今後ピュアな内燃機関モデルはラインナップから消える方向だ。

と言っても、30年までまだ時間はある。となると、内燃機関を組み合わせた電動化モデル・・・つまりハイブリッドも、より厳しくなる規制に合わせて進化させていく必要もある。ボルボのハイブリッドは「48Vマイルドハイブリッドシステム」、と外部からの充電が可能な「リチャージプラグンハイブリッド」の2タイプだが、ここで紹介するのは48Vマイルドハイブリッドシステムだ。

マイルドハイブリッド化に合わせてエンジンを最適化
現在ボルボの乗用車系のボトムレンジをステーションワゴンの「V60」が、クロスオーバーSUVのボトムレンジを「XC40」が支えている。この2台は7月にフェイスリフト(23年モデル)を実施したが、この最新モデルたちに搭載される48Vマイルドハイブリッドシステムの実力・魅力を東京~伊豆のショートトリップでチェックしてきたので報告したい。

その前に、48Vマイルドハイブリッドシステムについて少しだけ解説しておこう。このシステムは欧州車を中心に16年頃から実用化された簡易型のハイブリッドシステムである。ではなぜ48Vなの
か?それは電気の計算式「電圧(V)×電流(A)=電力(W)」を見るとわかりやすい。

1)高電圧化で出力は上がる、2)同じ出力なら、高電圧化で必要な電流は抑えられる。「それならさらに電圧を上げればいいのでは?」と思う人もいるだろう。ただ、高電圧化は電源システムの大型化や安全対策(60V以上は人体への危険性が高い)などによるコスト増の影響もあるため、性能と費用とのバランスから設定された値となっている。

ボルボのそれはISGM(インテグレーテッドスタータージェネレーターモジュール)と呼ばれるモーター機能付き発電機とリチウムイオンバッテリーで構成されている。ISGMが減速時の回生エネルギーをリチウムイオンバッテリーに充電。その電力でアイドルストップ後の再始動やエンジン駆動のアシストを行っている。

ISGMの出力は10kW(13.6ps)/40Nmと高くなく、モーターのみでの走行(=EV走行)は想定されていない。要するにエンジンが主流でモーターはアシストに徹するユニットなのだ。

組み合わされるエンジンはDrive-Eの2Lターボだが、マイルドハイブリッド化に合わせて最適化。今回のモデルに搭載されるのはその進化版で、実は21年12月にV60 B4モメンタム(22年モデル)に先行投入されていたのだが、今回の改良でV60/XC40共にこのユニットに変更された。

応答性や過渡領域の力強さは、はっきり実感できる
従来モデルと出力(197ps/300Nm)は不変だが、ミラーサイクル化やエンジン構成部品の変更(ピストン、インテーク側VVT、インテークマニホールド)、VNT(バリアブルノイズタービン)ターボチャージャー、電動オイルポンプの採用など効率化が行われている。さらにトランスミッションは従来の8速ATから湿式クラッチ採用の7速DCTへ変更と大きく手が入っている。

その走りはどうか? エンジン/ISGMはスペック的には従来モデルと同じだが、実用域での滑らかなフィーリングやエンジン停止から再始動のスムーズさはそのままに、アクセルペダルを踏んだ時の応答性や過渡領域の力強さは体感レベルでアップしている。

おそらく、トランスミッションがDCTになったことで駆動がダイレクトに伝わるようになった点
が大きいが、それだけでない。これは筆者の推測になってしまうが、制御系のアップデートでバッ
テリーをより効果的に使えるようになったのではないだろうか。BEV開発の知見とノウハウが、この48Vマイルドハイブリッドにも活きているのかもしれない。

フィーリング面ではストレスなく回るエンジンや明らかに雑味が抑えられた澄んだサウンド、DCTのメリットが活きる小気味良さなど、内燃機関としての魅力もより増していると感じた。マニュアルモードを使いながら走らせるとほど良いスポーティさがあり、ベーシックなパワートレーンにしておくのはもったいない。

燃費は一般道~高速道路~ワインディング路を走って12~13km /Lといった感じだが、高速道路のみなら15 km /L以上は楽勝で、少し気を遣えば20km /Lに迫る数値も。ちなみに通常走行では走行中にアクセルペダルオフでもエンジン停止はしないが、ACC使用時は走行中にエンジン停止を積極的に行ってくれる。

走りの深化と同時に機能面も大幅アップデート
フットワークに関するアップデートはアナウンスされていないが走らせると明らかに違う。V60は
フロントまわりが従来モデルよりも若干軽くなったことで、回頭性の良さや前後のグリップバランス
が適正化されており、スポーツワゴンの旨味が増している。

一方、XC40はクルマの動きが従来モデルよりも穏やかで落ちつきが増しており、兄貴分のXC60にキャラクターが近づいた。

これらに加えて、「見た目」の部分もシッカリと手が入る。エクステリアはV60がリアバンパーとアルミホイールのデザイン、XC 40がヘッドライト(上級モデルには84個の光軸を持つピクセルLEDヘッドライトを設定)、フロントバンパー、アルミホイールのデザインを変更。より端正な佇まいにアップデートされている。

インテリアは両モデル共にGoogle インフォテイメントシステムと新デザインのメーターを採用。Google の便利さは言わずもがな、メーターデザインはボルボのインテリアデザインの良さを損なわずに先進性を引き上げている。さらに細かい部分になるがPM2.5センサー付きのエアピュリファイヤーも装着。

その一方で、各種機能設定はユーザーの使用頻度に合わせて集約化。従来モデルにあったドライブモードは廃止(XC40はオフロードモードのみ設定)された。

グレード展開も一新されている。従来はモメンタム/インスクリプション/Rデザインに対して、モメンタム相当の「プラス/プラスプロ(XC40のみ)」、インスクリプション相当の「アルティメット」とシンプルな構成に。個人的にはRデザインが消えたのは残念だが・・・エレガント路線になったということだろう。

そろそろ結論にいこう。48Vマイルドハイブリッドはボルボの中ではもっともベーシックな電動化ユニットとなるが、その本質は「電動化」と「内燃機関」、両方の旨味を味わうことができる、ある意
味「一粒で二度おいしい」パワートレーンと言ってもいい。そして、昨今大きく変わり始めているボルボの中で、少しだけ「昔」を思い出させてくれる存在である。(文:山本シンヤ/写真:井上雅行)

ボルボ V60 アルティメット B4主要諸元
●全長×全幅×全高:4780×1850×1435mm
●ホイールベース:2870mm
●車両重量:1710kg
●エンジン:直4DOHCターボ+モーター
●総排気量:1968cc
●最高出力:145kW(197ps)/4750-5250rpm
●最大トルク:300Nm/1500-4500rpm
●モーター最高出力:10kW(000ps)/3000rpm
●モーター最大トルク:40Nm/2250rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・60L
●WLTCモード燃費:15.4km/L
●タイヤサイズ:235/45R18
●車両価格(税込):639万円

ボルボ XC40 アルティメット B4 AWD主要諸元
要諸元
●全長×全幅×全高:4440×1875×1655mm
●ホイールベース:2700mm
●車両重量:1720kg
●エンジン:直4DOHCターボ+モーター
●総排気量:1968cc
●最高出力:145kW(197ps)/4750-5250rpm
●最大トルク:300Nm/1500-4500rpm
●モーター最高出力:10kW(000ps)/3000rpm
●モーター最大トルク:40Nm/2250rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・53L
●WLTCモード燃費:14.2km/L
●タイヤサイズ:235/50R19
●車両価格(税込):569万円

[ アルバム : ボルボ XC40 アルティメット B4 AWD / V60 アルティメット B4 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

5件
  • 電動化の立役者はさすがに言い過ぎ
    いち早く電動化したという意味なら
    トヨタとホンダだし、BEVを普及させた
    という意味ならテスラ
  • メルセデスやBMWでは、マイルドはICEの効率改善策という位置付けで、電動化には含めてない。

    ちょっとハードル下げ過ぎだろ、ボルボ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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