「ミシシッピ川沿いで最も美しいドライブコース」を行く
2024年の8月末から、アメリカをミシシッピ川沿いに南北縦断して音楽の歴史をたどる旅に出ることにした筆者。ブルースの故郷である「ミシシッピ・デルタ」を仲間と4人で巡った後は、ひとり旅。ニューオリンズのハーツレンタカーで借りたキア「スポーテージ」を“キムさん”と名づけて相棒とし、ミシシッピ川流域を北上。ルイジアナ州、ミシシッピ州、テネシー州、ケンタッキー州と巡り、ミズーリ州セントルイスへ来ました。
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セントルイスでの宿はAirbnb
セントルイスの宿は住宅街の行き止まりのAirbnb、大きな2階建ての住宅だった。“キムさん”こと、愛車のキア「スポーテージ」を指定された裏の駐車スペースに停めて玄関に回ると、大柄な黒人の青年がポーチの椅子に座ってタバコを吸っていた。
「やあ、調子はどうだい。長く泊まるのかい?」
「いや、1泊だけだよ」
ぼくはちょっと自分の旅の話をした。彼は仕事の関係でセントルイスに来て、しばらく泊まっているとのことだった。
2階には、ぼくの泊まる部屋を含めて3室、1階にもゲスト用の部屋があって計4人が1軒の家に宿泊している。共有の冷蔵庫に自分のものを入れていると、2人目の同宿者に会った。彼もでかい黒人だった。その後、もうひとりとも挨拶をしたが、さらに大きい黒人だった。
彼ら同士も親しく話をしている様子はなく、静かな夜だったが、シャワーやトイレを使う気配はもちろんする。低い緊張感を感じる一夜となった。
ジャズの発展にも影響を与えたスコット・ジョプリン
翌朝、スコット・ジョプリン博物館を訪ねた。ジョプリンは音楽を志して、10代でテキサス州からミズーリ州セダリアへと移り住む。そこで生み出したのがラグタイムという音楽で、活動の拠点にしていたクラブの名前をつけた「メイプル・リーフ・ラグ」は、記念碑的作品として知られる。
特筆すべきは、この曲が書かれたのが1899年ということだ。まだ、ニューオリンズで初期のジャズが演奏されていた頃で、当然ながらジャズの発展にも影響を与えた。もうひとつ驚いたのは、家が立派なレンガ作りだったこと。しかし、これはすぐにぼくの勘違いだとわかった。貧しいジョプリンは、奥さんとともにこの家の一室を間借りしていただけだったのだ。
彼は「ラグタイムはクラシックなのだから、クラブではなくホールで演奏されるべきだ」と主張したが、最期まで日の目を見ることはなかった。突然、スコット・ジョプリンが脚光を浴びたのは、1973年の映画『スティング』の公開だった。テーマ曲に採用された「ジ・エンターテイナー」が、映画とともに世界的大ヒットとなったのだ。曲が書かれてから、70年以上も経っていた。
この旅で初めて、ミシシッピ川を見ながらドライブ
午後、次の目的地、ミズーリ州ハンニバルを目指して北上する。最短距離は州道70号線だが、『ロンリー・プラネット』に気になる記述があった。「イリノイ州アルトンからグラフトンの間は、ミシシッピ川沿いで最も美しいドライブコース」というのである。わずか20kmくらいだが、これは気になる。予定を変更して、左岸を上ることにした。
州道100号を走ると、すぐに記事の意味がわかった。アルトン~グラフトン間は、すぐ横をミシシッピ川が流れているのだ。考えてみれば、これまで川を見ながらのドライブはなかった。その意味で、たしかに貴重な道路ということになる。しかし、残念なことに前日からの雨が降り続いており、絶景とまではいかなかった。
ハンニバルの街はトム・ソーヤー一色
ミシシッピ川を舞台にした文学作品の代表といえば、『トム・ソーヤーの冒険』だろう。マーク・トウェインは47歳のときに、自らの少年時代をモチーフにこの作品を書き上げた。登場人物の多くが実在していたこともよく知られている。その物語の舞台がハンニバルなのだった。
ここで、「あれっ? トム・ソーヤーってもっと河口に近い地域の話だったのでは?」と思った人もいるだろう。筏に乗って冒険をする場面などから、ぼくも同様の勘違いをしていたが、実際はニューオリンズから1000km以上も上流の物語なのだった。
物語の時代は南北戦争以前でミズーリ州は奴隷制を支持していた。マーク・トウェインの育った家にも黒人奴隷がいたという。『ハックルベリー・フィンの冒険』において奴隷のジムが逃亡するシーンは、作家の贖罪ではないかという説もある。
ハンニバルの町はトム・ソーヤー一色で、ウォーキングツアーが楽しい。しかし、次の日も弱い雨は止まず、楽しみにしていたリバー・クルーズはあきらめて次の目的地に向かうことにした。次は、いよいよシカゴだ。
* * *
このミシシッピの旅で筆者が取材した内容を1冊にまとめた本が2025年3月13日に発売となった。アメリカンミュージックのレジェンドたちの逸話とともに各地を紹介しているフォトエッセイ、興味のある方はぜひチェックを。
>>>『アメリカ・ミシシッピリバー 音楽の源流を辿る旅』(産業編集センター)
■「ミシシッピ川ブルース旅」連載記事一覧はこちら
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