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ランボルギーニ ミウラ誕生から半世紀。イタリアでの試乗を通じてヒストリーを振り返る:前編【Playback GENROQ 2016】

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ランボルギーニ ミウラ誕生から半世紀。イタリアでの試乗を通じてヒストリーを振り返る:前編【Playback GENROQ 2016】

Lamborghini Miura

ランボルギーニ ミウラ

ランボルギーニ ミウラ誕生から半世紀。イタリアでの試乗を通じてヒストリーを振り返る:前編【Playback GENROQ 2016】

稀代の名車、ミウラ誕生50周年を祝う

ランボルギーニの歴史を語るうえで必ず名作として挙がる“ミウラ”。そのミウラが今年生誕50周年を迎え、多くのイベントが開催されている。今回レポートするのは、ザ・イタリアン・ジョブ・リローデッドという、劇中でミウラが走行したワインディングを舞台に開催されたもの。ジャーナリストの山崎元裕氏が、ミウラへの想いを抱きドライブする。(前編)

「3名の天才によって生み出された、このミウラこそ今に続く原点である」

ランボルギーニ・ミウラ(正式にはP400ミウラと呼ばれる)が今年で生誕50周年を迎えた。高性能なV型12気筒エンジンをミッドシップするという斬新なメカニズムを採用して誕生したミウラ。それはまさに現在にまで続くスーパーカーの始祖ともいうべき存在だ。

このミウラにとって特別なアニバーサリーイヤーを祝するために今年のランボルギーニはさまざまなイベントをオーガナイズしている。ここでレポートするのは、「ザ・イタリアン・ジョブ・リローデッド」というタイトルが掲げられたメディアのためのイベント。メインプログラムは、1969年に公開された映画、『ザ・イタリアン・ジョブ』の冒頭で、ミウラの走行シーンが撮影された北イタリアのサンベルナール峠とその周辺道路を封鎖し、ムゼオ・ランボルギーニ所有のミウラでドライブするという刺激的なものだった。

「ミウラ誕生の背景には、ランボルギーニに集結した若きエンジニアの野心があった」

そもそもランボルギーニの創始者であるフェルッチオ・ランボルギーニは、そのファーストモデルとして350GTを市場に投じたことからも明らかなように、高性能なGT=グランツーリスモこそがランボルギーニ社の商品としてはベストであると考えていた。しかしながら創立からわずか3年後にミッドシップのスーパーカー、ミウラが誕生した背景には、このランボルギーニという新興勢力に集結した若きエンジニアの野心があったことを忘れてはならない。ジャン・パオロ・ダラーラ、そしてパオロ・スタンツァーニである。今回のイベントには、さらにベルトーネでミウラのデザインを完成させたマルチェロ・ガンディーニといったレジェンド達も姿を現した。

ミウラのプロジェクトは、ダラーラによる机上のプランから始まったという。それはミニのメカニカルコンポーネンツを使用したコンパクトミッドシップスポーツ「プロジェクト・ミニ」で、実際にそれは試作に移行することはなかったが、ダラーラはここから後に誕生するミウラの原案となるV型12気筒エンジンを横置きミッドシップしたベアシャシー、「TP400」を完成させた。

「試作車を見てもなお、フェルッチオはミウラの市場投入を迷っていた」

1965年のトリノ・ショーに出品されたTP400には、プロジェクト・ミニからの関連性を感じさせるエンジニアリングが見られる。それはV型12気筒エンジンと、それに組み合わされる5速MTのレイアウトであり、またそのオイル潤滑を互いに共有するという手法でもある。トリノ・ショーに出品されたTP400は大きな話題を呼び、一部にはランボルギーニはこれをベースに、フェラーリのようにモータースポーツへと進出するのではないかという噂も流れたが、フェルッチオ・ランボルギーニにその意思はなかった。

TP400の発表後、ランボルギーニにはさまざまなカロッツェリアから、それに独自のボディを組み合わせたいという打診があったが、最終的に選択されたのは、新たなチーフスタイリストとしてガンディーニを招いた直後のベルトーネだった。しかしその試作車を見てもなお、フェルッチオはミウラの市場投入を迷っていた。そしてフェルッチオは、ミウラを20台ほどの限定車とすることを前提にその生産にゴーサインを出したのだという。ちなみにミウラのネーミングは、スペインの闘牛界における繁殖牧場のビッグネームに由来するものだ。

「市場からのミウラに対する反響は予想をはるかに超えるものだった」

だが市場からのミウラに対する反響は、フェルッチオの予想をはるかに超えるものだった。ここに至ってフェルッチオは、ミウラを通常のシリーズモデルとして生産することを決断。シャシーは同じモデナのマルケージで、またボディパネルはトリノのシルバーカーで製作された後、ベルトーネでアッセンブリーとペイントを行い、最終的にサンタアガタ・ボロニェーゼのランボルギーニでシャシーやパワーユニットとのアッセンブリーが行われるという生産システムを完成させた。

1966年の年末になって、最初の1台がカスタマーにデリバリーされたとランボルギーニの記録に残るミウラは、1968年には改良型のミウラSに、そして1971年には最終型のミウラSVへと進化する。搭載エンジンはすべて4.0リッターのV型12気筒だが、圧縮比の向上やカムプロフィール、あるいはキャブレターの変更などによってその最高出力はミウラの350psから、Sでは370ps、そしてSVでは385psへと強化されていった。

(後編に続く)

REPORT/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)
PHOTO/Automobili Lamborghini S.p.A.

【SPECIFICATIONS】
ランボルギーニ ミウラ P400

ボディサイズ:全長4390 全幅1780 全高1100mm
ホイールベース:2505mm
車両重量:1317kg
エンジン:V型12気筒DOHC24バルブ
総排気量:3929cc
最高出力:287kW(385ps)/7850rpm
最大トルク:400Nm(40.8kgm)/5750rpm
トランスミッション:5速MT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前後ダブルウイッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後205/70VR15

※GENROQ 2016年 8月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

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みんなのコメント

3件
  • もはやこの時代のデザインの二番煎じ『ではない』クルマが出現することは無いんじゃないか、そう思えます。
  • 発売当時、ミウラが余りにも先進的な設計だったのでさすがのフェラーリも古臭い車に
    見えてしまった。
    室内はラグジュアリーな雰囲気なのに後ろのカウルを開けるとレーシングカーのような
    エンジンと駆動系があるのがミウラの最大の魅力。
    当初はランボルギーニのイメージリーダーとして少量の生産で終わらせようとしたのは
    この先進的な車を量産して品質を維持する事が難しいと考えていたのだろうね。


※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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