現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 世界的ブームも日本はミニバン強し!? SUVの意外な弱点とコア層が敬遠する訳

ここから本文です

世界的ブームも日本はミニバン強し!? SUVの意外な弱点とコア層が敬遠する訳

掲載 36
世界的ブームも日本はミニバン強し!?  SUVの意外な弱点とコア層が敬遠する訳

 今や全世界を席巻するようになったSUV。20年前はその名称すら浸透していなかった新ジャンルが自動車業界で圧倒的シェアを獲得するようになるとは、あの頃いったい誰が予想したことだろう。もちろん「売れる=魅力が高い」、ということは言えるだろうが、「デメリットだっていっぱいある!」という意見だってあっていいはずだ。

 そこで今回は、あえて時代の流れに逆らう逆襲のコラムを紹介。清水草一が説得力たっぷりにカーマニアのためのSUV否定論を説きます! SUVファンの皆さまは読まないでください(笑)。

実は86とBRZにそっくり!? スバルに聞く新型ソルテラの「味」と哲学とは??

文/清水草一 写真/フォッケウルフ、いすゞ

[gallink]

■SUVがヒットする理由とは?

 SUVの販売比率が年々高まっている。2017年は登録車の13%に過ぎなかったが、2020年は22%に増加した。わずか3年で1.7倍になったのだから、メーカーが開発に力を入れるのは当然だ。

 しかし、海外ではもっとはるかに凄い。アメリカでは6割、中国で5割、欧州でも4割を超えている。全世界を平均すると、いまや乗用車の約半分はSUV。SUVが最もメジャーなボディタイプなのだ。日本は海外に比べると、まだまだSUV比率が小さいので、今後もっと伸びていくとみるのが自然だろう。

 世界中で、なぜこれほどSUVが受けているのか? 海外の調査機関によると、その理由は、「運転のしやすさ、乗員の視界の高さ、室内空間の広さ、荷物の積み込みやすさ」とされている。通常の乗用車よりも着座位置の高いSUVは、そのぶん見晴らしが良く、遠くまで見通せる。視点が高いので車両感覚も掴みやすい。結果的に運転がしやすいというのは納得だ。

SUVのメリットのひとつが「乗員の視界の高さ」にある。周囲より高い位置で運転していると見晴らしがいい!

 また、SUVは最低地上高が高いので、段差等に気をつかう必要性も薄い。これも運転のしやすさにつながっている。荷物が積み込みやすいのは、最低地上高が高く、そのぶんラゲージの床面が高いから。腰を折らずに荷物を積めるからラク、ということで、これまた一応納得である。

 しかし、室内空間の広さという理由には、納得できない面がある。SUVは、たしかに全高は高いが、最低地上高が高いので床面も高く、室内高はそれほど確保できない。セダンやハッチバックなど通常の乗用車(という言葉は、もう使ってはいけないのですね……涙)よりは有利だが、軽トールワゴンを含むミニバンタイプには、まったくかなわない。

 また、ミニバンであればボディ断面を真四角に近くできるが、それに対してスタイリッシュなSUVは、どうしてもボディ上部を絞ることになるから、トータルの室内容積では、ミニバンタイプの完勝となる。

 この、「SUVは室内が広い」という海外調査機関の分析は、海外ではミニバンのシェアが猛烈に低く、完全にニッチであるがゆえのものだろう。逆に言うと日本では、ミニバンが異常に強いからこそ、SUV比率がまだ低いと言える。

■こんなにあった! SUVの弱点

 しかし、クルマ好きに言わせれば、SUVの弱点はまだまだある。

SUVの弱点その1「重い!」。クルマは軽くすれば動きが良くなる!

弱点その1/重い!
 SUVは車両重量がかさむ。例えばヤリスとヤリスクロスを比べると、SUVのヤリスクロスのほうが約100kg重い。フィット対ヴェゼルだとその差は約150kgになる。
 重さは、軽快なハンドリングの最大の敵。逆に軽さは最大の武器。軽量化はクルマの性能アップの最重要要素であり、本気で追求しようと思ったら一番お金がかかる部分でもある。その「軽さ」をあえて捨てているSUVは、クルマ好きにとって、問題外ということになる。

弱点その2/重心が高い!
 SUVは最低地上高が高く、全高も高い。ヤリス対ヤリスクロスで比較すると、1500mm対1590mm。その差は90mmだ。ヤリスクロスはSUVとしては全高が低い部類で、RAV4は1685mm。SUVは、通常の乗用車より150mmくらい全高が高い。全高が高ければ、当然重心も高くなる。重心が高くなれば操縦性は悪化する。
 近年のSUVは、重心の高さをほとんど感じさせないモデルが増えているが、それでも「SUVとしては」というただし書きが必要だ。わざわざ重心が高いクルマを買うなんて、クルマ好きには考えられない。

弱点その3/空気抵抗が大きい!
 SUVは全高が高いので、前面投影面積もデカい。つまりそれだけ空気抵抗も大きい。ミニバンタイプよりは有利だが、セダンやハッチバックに比べると明らかに不利だ。
 え、空気抵抗が大きいと何か悪いことがあるのかって? そりゃあるさ! 最高速が伸びないじゃないか! 最高速をいつどこで出すのかと言われそうだが、クルマ好きは常に脳内で愛車の可能性を考えるもの。「出そうと思えば〇〇〇km/h出る!」と思うのがウレシイのだ。同じパワーなら、セダンやハッチバックのほうが、SUVより絶対的に最高速は伸びる。その可能性をむざむざ捨てるなんて考えられない!

弱点その4/燃費が悪い!
 重くて空気抵抗の大きいSUVは、当然燃費も悪化する。ヤリスとヤリスクロスを比較すると、WLTC燃費は36.0km/L対30.8km/Lでヤリスの圧勝だ。
 え、クルマ好きは燃費も好きなのかって? もちろん! 低燃費が出るとものすごい達成感がある。最高速は机上の空論だけど、燃費は現実的に叩き出せる栄光のレコード。すさまじく重要だ。わざわざ燃費に劣るSUVを買うなんて考えられん!

弱点その5/ルーフの掃除が大変!
 SUVは全高が高いので、踏み台に乗らないとルーフの掃除ができないし、ルーフ面も見えない。ルーフまでピカピカにして、それを眺めて悦に入りたいクルマ好きとしては、なんだかちょっと物足りない。それができるのは全高1500mmくらいまで!

■メリットをどう捉えるか?

 これら5つの理由により、これまで53台のクルマを買ってきた筆者だが、SUVは1台も買ったことがない。実を言えば、魅力的な新型SUVを見て、「いいなぁ」「欲しいなぁ」と思うことはしょっちゅうある。でも実際に買うところまでは行かない。それは、SUVのメリットよりも、デメリットが大きいと感じるからなのだ!

 では、クルマ好きにとってのSUVのメリットとは何か。

SUV全体の総数が増えていくにつれ、さまざまなタイプのモデルが誕生。現行型RAV4はオフロードもオンロードもどちらもよく似合う!

「世界中のメーカーが最も力を入れて開発しているので、デザイン的にイケててカッコいいモデルが多い」
「SUVというだけで、時流に乗っていてファッショナブルに見える」
「SUVに乗っていると、気取らないアクティブな人間に見てもらえる気がする」
「見晴らしがよくて守られ感も高いので、女性ウケがいい(真実)」

 こんなところです。ガチのクルマ好きに言わせれば、「この軟弱モノ!」と喝を入れたくなるようなものが並ぶ。いや、世間的にSUVがウケるのはよくわかる。やっぱSUVって、なんとなくカッコいいもんね!

 でも、その「なんとなく」に流れられないのが、真性のクルマ好き。車庫に余裕があったら、1台くらい欲しいなぁと思いますが……。

[gallink]

こんな記事も読まれています

次なる中国人F1ドライバーの誕生には時間がかかると考える周冠宇。企業らの関わりが必要だと主張、ホンダの育成にも注目
次なる中国人F1ドライバーの誕生には時間がかかると考える周冠宇。企業らの関わりが必要だと主張、ホンダの育成にも注目
AUTOSPORT web
【中古Eクラス】新車価格の高騰やSUVブームにもかかわらず高人気な優等生メルセデス・ベンツ Eクラスのエステート
【中古Eクラス】新車価格の高騰やSUVブームにもかかわらず高人気な優等生メルセデス・ベンツ Eクラスのエステート
AutoBild Japan
働くクルマもオシャレに特別に ホンダNバン一部改良と特別仕様車 安全性と使い勝手向上へ
働くクルマもオシャレに特別に ホンダNバン一部改良と特別仕様車 安全性と使い勝手向上へ
AUTOCAR JAPAN
WRCに最強の「セリカ」が参戦! ホモロゲーションモデルとして登場したトヨタ「セリカGT-FOUR RC」とは
WRCに最強の「セリカ」が参戦! ホモロゲーションモデルとして登場したトヨタ「セリカGT-FOUR RC」とは
バイクのニュース
SHOEIヘルメットにビルトイン可能! バイク用インカムの新製品
SHOEIヘルメットにビルトイン可能! バイク用インカムの新製品
バイクのニュース
フェルスタッペン、アメリカでの3戦で使用するスペシャルヘルメットを発表。ライトブルー基調に
フェルスタッペン、アメリカでの3戦で使用するスペシャルヘルメットを発表。ライトブルー基調に
AUTOSPORT web
テスラ モデル 3、新グレード「パフォーマンス」を追加…最高速度262km/h
テスラ モデル 3、新グレード「パフォーマンス」を追加…最高速度262km/h
レスポンス
ハコスカなんて偏平率82%よ! 昭和の時代は薄っぺらいタイヤが履けなかったって知ってた?
ハコスカなんて偏平率82%よ! 昭和の時代は薄っぺらいタイヤが履けなかったって知ってた?
ベストカーWeb
10年目にして一新! マツダ「ロードスター」は事実上のモデルチェンジ!? ドライビングファンは現代版ロータス「エラン」でした
10年目にして一新! マツダ「ロードスター」は事実上のモデルチェンジ!? ドライビングファンは現代版ロータス「エラン」でした
Auto Messe Web
フォルクスワーゲン、「Polo GTI」誕生25周年記念限定車「Edition 25」を発売開始
フォルクスワーゲン、「Polo GTI」誕生25周年記念限定車「Edition 25」を発売開始
月刊自家用車WEB
テスラ モデル3に爆速モデルが登場! 0→100km/加速タイムはなんと3.1秒だ!!
テスラ モデル3に爆速モデルが登場! 0→100km/加速タイムはなんと3.1秒だ!!
Webモーターマガジン
トヨタの大きなカクカク「最新SUV」発売! ゴツさ満点&快適車中泊な仕様も登場!? 新250のアイテムとは
トヨタの大きなカクカク「最新SUV」発売! ゴツさ満点&快適車中泊な仕様も登場!? 新250のアイテムとは
くるまのニュース
[カーオーディオ・プロショップに行こう♪]プロなら、使い勝手の良い「サブウーファーボックス」を作れる!
[カーオーディオ・プロショップに行こう♪]プロなら、使い勝手の良い「サブウーファーボックス」を作れる!
レスポンス
新しいマツダのセダン、EZ-6登場!──GQ新着カー
新しいマツダのセダン、EZ-6登場!──GQ新着カー
GQ JAPAN
【ドゥカティ】ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京で開催されたイベント「Ducati Day 2024」のレポートを公開
【ドゥカティ】ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京で開催されたイベント「Ducati Day 2024」のレポートを公開
バイクブロス
ノーマルシビックに羽根を授ける! モデューロが新たな実効空力テールゲートスポイラーを公開!
ノーマルシビックに羽根を授ける! モデューロが新たな実効空力テールゲートスポイラーを公開!
ベストカーWeb
楽天市場お買い物マラソンで MAXWIN のドラレコなどが最大20%OFF!
楽天市場お買い物マラソンで MAXWIN のドラレコなどが最大20%OFF!
バイクブロス
日産自動車、北京モーターショーで4車種の新エネルギー車のコンセプトカーを公開
日産自動車、北京モーターショーで4車種の新エネルギー車のコンセプトカーを公開
月刊自家用車WEB

みんなのコメント

36件
  • SUVの一番悪いところは、無駄に高い。
  • いやミニバンガ室内容積稼いだら自動的に空気抵抗デカイ・背が高くて洗車できないになるんだが
    今時のSUVとやらは悪路やリアル山の中での使い勝手考えてねえから嫌いだけど
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

190.7278.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

149.0370.0万円

中古車を検索
ヤリスクロスの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

190.7278.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

149.0370.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村