トヨタの新型「RAV4」に追加された「GR SPORT」は、意外なほど本格的なスポーツSUVだった! 『GQ JAPAN』ライフスタイルエディターのイナガキがリポートする。
新型トヨタRAV4 GR SPORTの特徴
時代は変わった──新型トヨタRAV4 GR SPORT試乗記
1.GRの名に恥じないチューニング2.電動駆動がもたらす気持ちよさ3.スポーツグレードゆえに生じる妥協点4.総評1.GRの名に恥じないチューニング
(前のページから続く)走り出して3分も経たないうちに、RAV4 GR SPORTが持つ素性の良さが伝わってきた。
ドライブモードをスポーツモードに切り替えると、メーターパネルの表示は専用のグラフィックへ。この状態でアクセルペダルを踏み込むと、電動車特有のタイムラグのない強烈なトルクレスポンスが立ち上がり、軽々と前方に押し出していく。
鍛え上げられたシャシーと足回りの完成度は高い。ステアリングを切った瞬間の足捌きがしなやかであることが感じ取れる。
コーナリング時の振る舞いは良い。背の高いSUVでありながら、車体が傾くようなロール感がよく排除されており、安定した旋回姿勢を保つ。ベースとなる車体に対して適切な補強材が追加され、ボディ剛性が高められている証左だ。ステアリングからの入力に対して車体がぶれることなく、ドライバーの意図したラインを正確にトレースしていく。パワーステアリング(EPS)のチューニングも専用化。ステアリング操作に対するハンドリングの応答性は精緻であり、少しの舵角でも確かな手応えとともにノーズが向きを変える気持ち良さを味わえた。
GR SPORTの名を与えられていることから、乗り心地については硬められたハードなものを想像しがちだろう。
実際はそのようなことはない。乗り心地はマイルドに保たれており、足回りが硬すぎて不快感を覚えるような場面は無し。サスペンションのストロークはしなやかに路面を捉え、気持ちの良い足捌きを実現しており、スポーツと快適性のバランスが図られている。
2.電動駆動がもたらす気持ちよさ
さらに試乗を進め、ワインディングを模したような少し曲がりくねった道路環境に持ち込んでみると、RAV4 GR SPORTの奥深さがさらにわかる。
スポーツモードを選択してコーナーに進入すると、よりより鋭い走りを存分に楽しめる。アクセル開度に対するモーターのピックアップが鋭く、脱出時の加速においても俊敏な身のこなしを見せるため、重量級のSUVを操っていることを忘れさせるほどのキビキビとした走りをもたらす。
一方で、ノーマルモードを選択していても、十分にスポーティな味付けがなされているため、日常の運転でも楽しさを享受可能だ。
パワートレイン全体が元来スポーティな出力特性を持っていることに加え、トルクフルなモーターが常に強力な推進力を生み出しているため、どのモードを選んでもレスポンスの良い加速が得られる。ただし、ステアリングの応答性については、スポーツモードに切り替えた際の方が明らかにシャープに反応する印象を受けた。
金属製のペダル類は操作感が良好であり、特にアクセルペダルがオルガン式であるため、繊細なアクセルワークが要求されるコーナリング中の姿勢制御が容易だ。
3.スポーツグレードゆえに生じる妥協点
RAV4 GR SPORTを評価する上で留意すべきは、スポーツ志向のチューニングがもたらす、ノーマルグレードとのキャラクターの違いである。
まず挙げられる懸念点、あるいは好みの分かれる点として、路面からの入力に対する反応の違いがある。
速度域を上げ、高速道路のようなシチュエーションを走行する場面においては、フラットで引き締まった乗り味を提供する一方で、やや路面の凹凸を拾い上げやすい傾向が顔を覗かせる。
ノーマルのRAV4がゆったりとしたストローク感のある、いわゆる「SUVらしい」リラックスした乗り心地を提供するのに対して、GR SPORTは路面の状況をよりダイレクトにキャビンへと伝達してしまう。そのため、快適なクルージングや柔らかい乗り心地を求めるユーザーにとっては、このセンシティブな特性が若干の不満として映る可能性も否定できない。速度域が上がった際にわずかに感じられる路面追従性のシビアさは、正確なハンドリングを追求した結果生じるトレードオフであるだろう。
価格設定も気になる。専用のエクステリアパーツ、インテリア装備、さらにはシャシーチューニングや大容量バッテリーを搭載するPHEVシステムを組み合わせた結果、総額で700万円に迫る価格帯に到達。ミドルクラスの和製SUVとしては高価な部類に入る。標準車との価格差に見合うだけの価値を見出せるかどうかが、購入を検討する上での障壁となるのは間違いないだろう。
4.総評
走り出す前の予想を、RAV4 GR SPORTはいい意味で裏切ってくれる。内外装のいたるところに配された専用装備が所有欲を満たし、走り出せば、頑強なボディと緻密なサスペンションがオンザレール感覚をもたらす。ノーマルグレードとは一線を画す引き締まった乗り味と鋭いステアリング応答性は、日常の移動すらエキサイティングな体験に変えてくれる。
電気のみで100km以上を走る環境性能と急速充電への対応によって、スポーツ走行を罪悪感なく楽しめるうえ、実用的なエコカーとしても成立している。
価格の高さや、スポーツモデルならではのわずかな硬さは、たしかに気になるかもしれない。
それでもなお、ここまで走りに振り切ったRAV4をトヨタが本気で作り込んだという事実は、価格表だけでは測れない満足感を与えてくれる。
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