9年ぶり減速に映る構造転換
品質・信頼性・燃費性能――かつてホンダを象徴していたこれらのキーワードは、今の中国市場でも通用するのだろうか。
【画像】「えぇぇぇ?」 これがホンダの「平均年収」です! 画像で見る(計12枚)
2024年、ホンダの中国における年間販売台数は、9年ぶりに100万台を下回った。一方で、国産電気自動車(EV)メーカーの勢いは止まらない。比亜迪(BYD)の年間販売は383万台に達している。わずか数年で、中国の自動車市場は大きく姿を変えた。
ホンダは長年にわたり、高品質な日本車として親しまれてきた。しかし今、中国の消費者が求めているのはスマートデバイスとしての自動車である。移動そのものの体験が、再定義されつつある。
その結果、BYDのような新興勢力や、小米(Xiaomi)のような家電メーカーの参入が注目を集めている。伝統的な自動車メーカーには、デジタル化の波に乗り遅れたという印象がつきまとう。
もちろん、ホンダの開発力や品質管理能力は、今も高く評価されている。だが、スマートデバイスとしての自動車体験という新しい価値軸においては、後れを取っている。ホンダがこの変化にどう対応し、巻き返しを図るのか。その戦略が問われている。
NEV市場での苦戦構図
ホンダは長年にわたり、品質・信頼性・燃費性能に優れたブランドとして中国市場で信頼を築いてきた。その評価は今も続いている。
2024年のJ.D. Power中国新車品質調査(IQS)では、広汽ホンダが主流ブランド部門で5年連続1位を獲得。東風ホンダも2位に入った。モデル別では、ホンダ・シビック(思域)が部門賞を受賞している。ホンダの品質と信頼性は、現在も中国市場で高く評価されている。同年3月に発表された「2023年度燃料車ブランド品質ランキング」」(中国自動車品質網)でも、ホンダの評価は際立っていた。東風ホンダは全68ブランド中でトップとなった。この調査では、ホンダが次のように評価されている。
「今回のランキングでは、東風ホンダ、広汽ホンダ、ボルボの3ブランドが比較的高い品質評価を得た。中国自動車品質網が統計した欠陥情報によると、これら3ブランドは2023年において潜在的な欠陥リスクがいずれも低く、信頼性が高く、総合的な品質のパフォーマンスが良好だった」
販売実績では苦戦が続くホンダだが、品質に対する評価は依然として高い。消費者からの信頼が根強いことも、この調査で裏付けられた。つまり、中国の消費者にとって
「ホンダ = 品質と信頼性のあるブランド」
という認識はいまだに根強い。にもかかわらず、新エネルギー車(NEV)メーカーとしては、デザインや価格、性能の面で中国メーカーに埋もれている。
現在の中国市場では、ホンダに対する評価は賛否が分かれている。例えば『小秋汽事』2025年3月19日付の記事では、
「13万元でホンダ・アコードを買って後悔しない? それとも思い切って3万元足して、BYD漢の新エネ車にするべき?」
と問いかけている。この記事は「00后(2000年代生まれの若者)」世代の若者の視点で書かれている。アコードは信頼性の象徴として描かれ、BYDはテクノロジーとトレンドを体現する存在として対比されている。
Z世代が選ぶ新世代車
若者はアコードのスポーティなデザインに惹かれる。一方で、父親世代はハイブリッド技術や低燃費、さらにリセールバリューを理由にBYD漢を勧める。中国社会における世代間の価値観の違いが見える内容になっている。
実際、アコードに対しては「デザインは街中でも目立つ」「走行性能も問題ない」といった肯定的な声がある。その一方で、
・内装がやや安っぽく感じる
・CVTの加速は平凡
といった懸念も記されている。これに対し、BYD漢DM-iは
・豪華な内装
・15.6インチ回転式ディスプレイ
・OTAアップデート対応
・100km超のEV走行距離
など、先進技術を前面に出した未来感のあるモデルとして高く評価されている。その上で、この記事は次のように結論づけている。
「もし予算を16万元まで上げることができ、時代の潮流や新エネルギー技術を取り入れたい、さらにより豪華な装備を求めるなら、迷わずBYD漢を選ぶべきだ。特に今後数年間は、新エネルギー車を優遇する政策の追い風もあり、「国民的神車(国民神車)」と呼ばれるのは伊達ではなく、本当に中身がともなっている」
中国のメディアである以上、国産メーカーに対する一定のバイアスは否定できない。ただ、こうした評価は市場の実態やユーザー意識の変化とも整合している。
実際、中国の自動車情報サイト「汽車之家」の口コミには、CR-V(東風本田)、シビック(東風本田)、アコード(広汽本田)といったモデルに対して、次のような声が挙がっている。
●肯定的な意見
・燃費がよい
・ハンドリングや走行安定性が高い
・加速性能に満足している
●否定的な意見
・内装がチープに感じる
・ナビなどの機能がいまひとつ
・タイヤノイズが大きい
なかでも、内装に対する不満は目立っている。読者自身も一度試乗してみるとよいだろう。中国の自動車メーカー各社は、内装の豪華さを競い合っている。実用性を疑うほどの装備を搭載することも珍しくない。
ホンダが直面するブランドの壁
ホンダはあくまで質実剛健を貫いている。安全性や安定した走行といった本来の機能には応えているものの、見た目や装備面では見劣りするのが現状だ。従来、ホンダは品質や信頼性のブランドイメージを築いてきた。しかし、中国のEV市場では、そうした優位性が十分に通用していない。
例えば主力EVのe:NS1は、発売当初こそ注目されたが、市場の反応は鈍い。調査によると、2025年2月時点で最大6.91万元もの値引き(定価の約6割、約135万円)が行われている(対象は2022年型のe:NS1 e型版)。月間販売台数もわずか220台にとどまると現地メディアが報じている。
『新浪汽車』2025年2月4日付の記事「どの車を買うかまだ迷ってる?それならホンダ e:NS1 をチェックしてみよう、全国で最大6.91万元の値引き中!」では、ユーザーからの評価は高いとしつつも、もっとも突出しているのは
「外観と室内空間」
だと述べている。他の性能面では競合に劣る可能性を示唆している。さらに別の記事(『汽車之家』「比亜迪e1和本田e:NS1推荐那个更好」、2025年1月13日付)では、e:NS1はブランド力、安全性、走行性能では評価が高い一方で、コストパフォーマンスや都市部での使い勝手、維持費ではBYD e1のほうが優れているという見解が示されている。つまり、e:NS1はプレミアム感やデザイン性で勝負しているが、中国市場でEVに求められる
・実用性
・経済性
・先進技術
といった要素への対応が不十分である可能性がある。この結果、ホンダは
「販売不振 → 大幅値引き → 中古市場での評価下落 → ブランド離れ」
という負のスパイラルに陥っていると考えられる。
次世代モビリティ競争のカギ
ホンダは中国市場で品質、信頼性という伝統的な強みを維持しているが、EV化とデジタル化の波に苦しんでいる。e:NS1の販売低迷や価格競争に巻き込まれ、かつてのブランド神話に陰りが見えている。
しかし、巻き返しに向けた動きも本格化している。2025年3月には広汽本田P7の量産が開始され、年産12万台規模の新たなEV専用工場が稼働する。P7はホンダ初の「W架構(後輪・四輪駆動プラットフォーム)」を採用し、次世代EVへの本格的な取り組みが始まっている。
今後の競争を左右するカギは、「電動化 + AI」による次世代モビリティの再定義だ。2025年の中国電動車百人会フォーラムでは、BYDや広汽、吉利、蔚来、小米などの主要メーカーが
・AIによる車載OSの進化
・車内UXの再構築
・フルスタック開発による自律制御の実現
といったテーマを掲げ、自社の取り組みを強調している。特に、
「車は単なる移動手段ではなく、進化する“情感パートナー”であり、スマートデバイスとしての体験設計がコア競争力になる」
という認識が業界内で共有されている。蔚来や理想汽車は、自社開発の車載OS(全域操作系統、星環OS)を通じて、AI大模型との統合やインターフェースの柔軟性、開発者エコシステムの構築に注力しており、ソフトウェア定義型車(SDV)としての完成度で日系メーカーを大きく引き離している。フォーラムで、広汽集団の副総経理・高鋭氏は次のように語っている。
「自動運転の能力がなければ、未来の競争に参加する入場券すらない。それがすでに業界内の一般的な共通認識となっている」
つまり、中国自動車業界は、EVであること以上に、
「スマート化 = AI × 自動運転技術の有無」
が、今後の競争のスタートラインであると認識しているわけだ。
このようななか、ホンダが単にEVのハードを刷新するだけでは不十分であり、スマート化された体験全体をどう設計し直すかが、今後の命運を分けることになるだろう。
ホンダ、EVブランド転換のカギ
ホンダは2035年までに、中国での電動車販売比率100%を目指している。現地開発・生産体制を強化しているのは、ガラパゴス化した輸入技術の押し売りではなく、中国市場に最適化されたEVブランドへの転換を意味する。
したがって、中国市場での再起は、単なる価格競争ではない。現地適応型の価値創出をどこまで進められるかが重要だ。その試金石となるのがP7であり、ホンダの中国EV戦略第2章が始まろうとしている。
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みんなのコメント
そして上記の愛国的なものにこだわっているのは、自分達だと何故気付かないのか?
ここまで馬鹿だと逆に日本衰退の原因を作っている勢力だよ。
ブランドを象徴するような車や高級車で高いけどそれでも欲しいと思われるものでなければ生き残れないだろう。