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クルマ業界の「変革請負人」 リビアンとR1Tで垣間見る未来(2) トラックと思えないワープ感

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クルマ業界の「変革請負人」 リビアンとR1Tで垣間見る未来(2) トラックと思えないワープ感

テスラより温かみのある車内の雰囲気

リビアンR1Tの車内の雰囲気は、テスラより温かみがある。アッシュウッド調のダッシュボード・トリムと格子柄のカーペットは、どこかクラシカル。1970年代の、高級ホテル風ともいえる。不透明度を調整できるガラスルーフから、陽光が降り注ぎ明るい。

【画像】無線アプデで乗り心地が変わる リビアンR1T 電動のピックアップトラックたち 全118枚

後席側は、背もたれが置き気味だが、空間自体は広い。エアコンとインフォテインメント用の、タッチモニターが独立して用意されている。

車載機能の殆どは、例によってタッチモニターで操作する。ステアリングホイールの角度調整をトグルスイッチで行うにも、ドライブモードを選ぶにも、タッチモニターをタップすることになる。

システム自体は洗練度が高い。コミック風のグラフィックは新しい。アップル・カープレイとアンドロイド・オートには非対応だが、使いやすいから、基本的には困らない。

オフロード・モードのページを開くと、驚くほど多様な走行データを確認できる。停車中のギアガード・セキュリティ・モードを選ぶと、車内の私物を見守るような、クマのイラストが描かれる。

「タッチモニターの表示には、細心の注意を払っています。そのデメリットも理解していますし、直感的な体験にしたいとも考えています。ドライバーへ楽しんでいただくべく、1ピクセル毎に議論するほどです」。リビアンの、ワシム・ベンサイド氏が話す。

3.2tを蹴散らす トラックとは思えないワープ感

R1Tと1日を過ごすとしたら、どこへ向かうべきだろう。リビアンのサービスセンターからは、ラスベガスに立ち並ぶビルのスカイラインが見える。だが、R1Tのホームタウンだとは感じにくい。少し派手すぎる。サイバートラックの方が似合いそうだ。

柔らかくクラシカルな雰囲気は、アウトドア的。ネバダ州の北西部に広がる、スプリングマウンテンへ走ることにした。小さな市街地を抜け、広々としたハイウェイへ。乗り心地の良さに感心する。

荒涼とした大地へ伸びる車線は広く、フルサイズ・ピックアップでも大きさは気にならない。全長は5514mm、全幅が2078mm、全高が1923mmあり、ホイールは22インチ。極めて安定しているといはいえないが、エアサスは衝撃を見事になだめる。

案の定、抜群に速い。3基の電気モーターが、3.2tを蹴散らす。しばらく走って、彼方まで続く直線を見つけた。周囲にクルマがいないことを確認して、ローンチコントロールを試してみる。ピックアップトラックとは思えない、ワープ感を体験するのは面白い。

とはいえ、R1Tの真骨頂は路面を問わない走行性能と、たくましい牽引能力。ラスベガスの谷を抜けると、ワインディングが始まる。興奮を誘う程ではないが、R1Tはヘアピンカーブを怯むことなく克服していく。連続するカーブでも、非常に速い。

スタートアップの処女作とは思えない熟成

砂漠が広がるネバダ州といえども、冬の山間部は寒い。バッテリーEVには理想的な条件とはいい難く、駆動用バッテリーは予想以上に減っていく。

効率を改めるべく、回生ブレーキとドライブモードの違いを試してみる。R1Tの車重を最大限に活用できそうなモードを選ぶと、遥かにエネルギー効率は良くなった。

サービスセンターへ戻った時の平均電費は、3.2km/kWh。感心するほどではないが、大きさと重さを考えれば、褒められるだろう。

R1Tの完成度は、唸らされるほど高い。とても、スタートアップ企業の処女作だとは思えない。電動パワートレインも運転体験も、熟成されている。同僚のマーク・ティショーは、サイバートラックを試乗して気に入っていたが、筆者はR1Tを気に入った。

「お客様の期待は、望むもので変化します。電動パワートレインを搭載した、従来的なクルマを求める人は多くありません。相互接続されたような、異なるタイプの製品をご希望なのです。それが、従来の自動車メーカーのモデルとの大きな違いでしょう」

自動車業界における「変革請負人」

フォルクスワーゲン・グループがリビアンとの協業を決めた理由も、そこにある。既存のメーカーは、ソフトウエアで性能が左右される「ソフトウエア・ディファインド・ビークル」技術の構築へ巨額を投じつつ、苦戦中。他社との協業が最前な場合もある。

ベンサイドが認める。「(投資は)これまでの成果に対する、素晴らしい評価です。両社は、互いに補完できる強みを保持しています。弊社では、白紙状態から構築できるソフトウエアと電動アーキテクチャ、インパクトを与えたいと願う情熱的なチームです」

「対して、フォルクスワーゲン・グループは経験と規模、幅広いブランド・ポートフォリオをお持ちです。それは、弊社の技術者が更に大きなインパクトを与える、素晴らしい機会へ繋がります」

合弁会社の詳細は、まだ調整段階にある。それでも、リビアンの技術を基礎としたソフトウエア・プラットフォームで、新たなクルマが作られることは間違いない。その最初のモデルは、2027年に発売予定のID.エブリー1の量産版になるだろう。

「フォルクスワーゲン・グループの経営陣は、弊社と同等に機敏に動く社風を維持し、野心的な精神をグループ内へ与える変革の要素として、合弁事業を活用する意志を示してくださいました。これは、弊社にとって非常に重要なことでした」

テスラとリビアンのアプローチは、対照的かもしれない。しかし、流動的な自動車業界の「変革請負人」として機能し得る点で、その核心部分は似ているようだ。

撮影:ジェイミー・リプマ(Jamie Lipma)

リビアンR1T トリ(北米仕様)のスペック

北米価格:10万2400ドル(約1536万円)
全長:5514mm
全幅:2078mm
全高:1923mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:2.9秒
航続距離:597km
電費:−km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:3182kg
パワートレイン:トリプル永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:141.5kWh
急速充電能力:−kW
最高出力:850ps
最大トルク:152.2kg-m
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

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