75周年を祝う、世界で75台の特別なモーガン
モーガンの正規輸入代理店であるエスシーアイ株式会社(モーガンカーズ・ジャパン)は2025年10月8日、自動車史にその名を刻む「モーガン・プラス・フォー」の生産75周年を記念した特別限定車「MORGAN PLUS FOUR 75(モーガン・プラス・フォー 75)」を発表した。同日より全国の正規販売代理店にて受注を開始し、全世界でわずか75台のみが生産される。価格はマニュアル(MT)、オートマチック(AT)モデル共に17,556,000円(税込)。日本でのデリバリーは2026年夏以降が予定されている。
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ル・マンを制した英国ライトウェイトスポーツの血統
モーガン・プラス・フォーは、1950年9月29日付の英国『オートカー』誌でその姿を初めて現し、同年10月27日にアールズ・コートで一般公開された、自動車業界で最も長い歴史を持つ車名の一つである。モーガンのラインアップに、よりパワフルで大排気量のエンジンを搭載したモデルとして加わり、その名は軽量で魅力的な走りと、近代的なエンジニアリング、そして英国の伝統が息づくコーチビルド技術との絶妙なバランスの代名詞となった。大きく張り出したフェンダー、手作業でルーバーが刻まれたボンネット、そして折りたたみ式のソフトトップといった時代を超越したデザインは1954年までに確立され、今なおその姿を留めている。
その輝かしい歴史はサーキットでも証明されている。1962年のル・マン24時間レースでは、ファクトリーワークスチームとして参戦した「モーガン・プラス・フォー・スーパースポーツ(登録番号 TOK 258)」が、2.0リッターGTクラスで見事クラス優勝を果たした。この勝利は、プラス・フォーの持つスポーツ性を確固たるものにしたのである。
無償カスタマイズで「自分だけの一台」を
今回発表された75周年記念モデルは、この偉大な歴史への敬意を表し、オーナーが自身の個性をより深く反映できる特別な仕様となっている。最大の特徴は、通常は有償オプションとなる内外装のカスタマイズが無償で選択可能となる点だ。
エクステリアのペイントは、パールやマット、2トーンといった特殊な塗装を除くソリッドカラーやメタリックカラーが無償で選べる。インテリアも同様に、エクステンデッドレザーインテリアを除く各種レザーやカーペット、イージーアップフードの色、さらにはボディサイドを彩るウイングビーディング(パイピング)の色まで、オーナーの好みに合わせて自由に組み合わせることができる。そして、このモデルが特別な一台である証として、リアには75周年を記念した専用バッジが装着される。
受け継がれる伝統と、最新技術の融合
75年の時を経ても、プラス・フォーの「勝利の方程式」は揺らぐことはない。2020年に導入された最新のCX-Generationボンデッド・アルミニウム・プラットフォームと、BMW製の2L直列4気筒ターボエンジンは、伝統のフォルムの中に、より洗練されたパフォーマンスと精緻なドライビングフィールをもたらした。そのドライビング体験は明らかにアナログ的でありながら、ゼンハイザー製オーディオシステムや、走行モードの切り替え、ESC(横滑り防止装置)といった控えめな現代技術によって高められている。2022年、2023年、そして2025年と改良を重ね、常に進化を続けてきた。
モーガンモーター・カンパニーは1909年の創業以来、英国ウスターシャー州マルヴァーンにある歴史的な工場で、一貫してスポーツカーを手作業で製造してきた。アッシュ(木材)、アルミニウム、レザーという3つの核となる要素を用い、世代から世代へと受け継がれた職人の技術によって、すべての車両がオーダーメイドで生み出される。コーチビルドによる生産と、ほぼ無限のカラーバリエーションやオプションの組み合わせは、すべてのモーガンがオーナーと同じように個性的であることを保証するものである。
この「MORGAN PLUS FOUR 75」は、単なる移動手段ではなく、オーナーの人生の物語に織り込まれ、長年にわたって所有する永遠の伴侶となるべくして作られた特別な一台だと言えるだろう。全世界で75名という限られたオーナーの手に渡るこの記念すべきモデルは、モーガンの歴史に新たな1ページを刻むことになる。
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