2019年10月13日、F1第17戦日本GPが行われ、ホンダは優勝に手が届かず、アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)の4位が最上位となった。ホンダにとって、今年のF1日本 GPはどんなレースだったのだろうか。(写真は4位に入賞したレッドブル・ホンダのアレクサンダー・アルボン)
スタートの混乱でチャンスを逃す
前戦までに鈴鹿スペシャルのパワーユニットの投入を完了し、新しいエアロパーツや燃料も投入、さらに詳細なデータ取りのために鈴鹿を走り慣れた山本尚貴をフリー走行で起用するなど、万全の体制でのぞんだ日本GPの決勝だったが、優勝を狙っていたホンダにとって、表彰台に届かない厳しい結果になった。それでもレッドブル、トロロッソともにポイントを獲得、なんとか次戦、そして来年につながるレースをすることはできた。
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台風の影響で土曜日のセッションがすべて中止となり、日曜日午前に予選、午後に決勝というスケジュールで行われた日本GP。予選では、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが5番手、アレクサンダー・アルボンがまったく同タイムの6番手(先にタイムを出したドライバーが上位)と3列目グリッドを獲得。トロロッソも、ピエール・ガスリーがQ3へ進出して9番手、ダニール・クビアトがQ2へ進出し14番手となった。
優勝争いのポイントは決勝スタートにあった。予選5位から好スタートを見せたフェルスタッペンは、ターン1で3番手のシャルル・ルクレール(フェラーリ)に外側から並びかけ、ターン2では半車身ほど先行したが、出口でルクレールがアンダーステアを出して接触。フェルスタッペンはコース外に押し出されてスピン、大きく後退して優勝のチャンスを逃してしまう。
その後、レースへ復帰したフェルスタッペンは後方から追い上げを見せたが、マシンへのダメージが大きくリタイア。一方、ルクレールも痛めたフロントウイングのパーツを撒き散らしながら走行したのち、ピットインし上位争いから脱落することになる。
レース後、審査委員会はこの接触に関してルクレールに5秒のタイムペナルティとペナルティポイント2、ダメージを受けたマシンで走り続けたことに関して10秒のタイムペナルティを科している。
6番グリッドのアルボンは、スタートで8番手までポジションを落とし、マクラーレン勢の後方でトップ集団から大きく離されてしまい、優勝争いから脱落。なんとかランド・ノリスをパスし、15周目にミディアムタイヤに履き替えて4番手まで浮上したものの、上位3台から離れた4位でフィニッシュした。
9番グリッドからスタートしたガスリーは、序盤にマクラーレン勢とバトルを展開。1ストップ戦略を採用し、18周目にミディアムタイヤに履き替えるが、ここからロングスティントとなり、タイヤを持たせながらの走行を強いられ、終盤にダニエル・リカルド(ルノー)にパスを許し、8位でチェッカーフラッグを受けた。
クビアトも1ストップ戦略を採り、27周目までソフトタイヤで走行。そこからミディアムタイヤに交換し、タイトな中団の争いの中で、ガスリーと7秒差まで追い上げている。結果は惜しくも入賞を逃し12位だった。
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは「台風の影響により、予選と決勝が同日に行われるという変則的なスケジュールになり、チームメンバーにとっては忙しい一日になりました。午前の予選では4台のうち3台がトップ10に入り、午後の決勝に向けてまずまずの結果を得ることができました。しかし、決勝ではスタート直後の第2コーナーでフェルスタッペン選手が接触によりフロアに大きなダメージを負い、残念ながらリタイアすることとなりました。そのような中でも、アルボン選手が初めて走行する鈴鹿サーキットで素晴らしい走りを見せ、4番手のポジションを確保したこと、また、昨年あと一歩のところで最後に入賞を逃したガスリー選手が、後方から迫るライバルの猛追をしのぎ、8位入賞となったことはよかったと感じています。今年は我々が目指していたような結果を得ることはできませんでしたが、来年はもっと競争力をつけて戻って来られたらと思っています」とコメント。ドライバーは日本GPを振り返って次のように語っている。
マックス・フェルスタッペン
「スタートはとてもよく、3番手まで浮上できたのはよかったです。ターン2ではアウト側にいましたが、シャルルは僕のマシンの側面に当たってきました。シャルルはポジションを取り返そうとしたのだと思いますが、レースは長いので、序盤で過度なリスクを負うべきではありません。僕らはともに順位を落としましたが、彼はフロントウイングを交換して追い上げていきました。僕は最後方からレースへ復帰しましたが、マシンに厳しいダメージを受けて15周目でリタイアせざるを得ませんでした。あの場面で、僕のほうからできることは何もありませんでした 。好スタートを決めて表彰台争いができるチャンスがあったし、この結果にはフラストレーションがたまります。僕らはきちんと向上を果たし、上位との差は詰まっていますが、メキシコまでにまだすべきことは残っています」
アレクサンダー・アルボン
「4位は僕のベストリザルトですし、今週末、このチームに来てから一番うまくいったのではないかと思います。走り始めてすぐにマシンのバランスがいいと感じました。鈴鹿のようなコースで自信を持って走るにはマシンバランスが重要ですし、僕は初めてのコースなのでなおさらでした。レースではスタートもうまくいったと思いましたが、ホイールスピンが多すぎて順位を落とし、マクラーレンの後方につけることになりました。彼らをパスしてポジションを取り返そうとしている間にトップ集団との差が開いてしまいました。4番手に浮上したあとは単独走行になりました。あとは、最後までタイヤマネージメントに気を付けながら走ることになりましたが、今日はマックスがリタイアしていたこともあり、チームのためにもポイントを獲得できてよかったと思いますし、4位は今日なし得る最高の結果でした。ホンダのためにも、もう少しいい結果を目指していましたし、惜しいところまではいけたと思いますが、わずかにペースが足りませんでした」
ピエール・ガスリー
「満足のいく一日でした。午前の予選はうまくいき、Q3へ進出。僕はフリー走行1回目で走らず、フリー走行3回目が中止になったので、準備できる時間が短かったですし、ここまでの成果は予想していませんでした。レース中は7~8位を走行していましたが、後方からルノーとレーシングポイントのマシンが猛プッシュしてきていたので、とても厳しい戦いでした。中盤からはサスペンションに問題を抱えてポジションを守るために全力を尽くしました。チームにポイントをもたらすことができてうれしいですし、ここ日本で成し遂げたというのは特別な気持ちです」
ダニール・クビアト
「午前中は予選最後のラップ以外すべてうまくいっていました。ラストアタックでなぜ遅かったのかわかりません。金曜から大きくコンディションが変化し、マシンのフィーリングが少し異なっていました。14番手スタートと厳しい位置だったので、苦戦を覚悟していましたが、レースでは力強い走りができたと思います。スタートでいくつか順位を落としたものの、すぐに取り返すことができました。ペースはよかったので、ポイントを獲得できなかったのが残念です。予選での改善に向けて取り組まなければなりません」
また、タイヤを供給するピレリは「土曜日の豪雨はラバーグリップ洗い流しただけでなく、チームの走行時間を奪いましたが、予選でセバスチャン・ヴェッテルがレコードタイムを打ち立て、決勝ではルイス・ハミルトンが14年前のレースラップを更新しました。レーススタート前、最速の戦略はソフトタイヤでスタートし24~27周にミディアムタイヤに交換する1ストップと予想していましたが、気温が高いこともあって予想よりも劣化が早く、またライバルの動きに反応したこともあって、2ストッパーが上位を独占しました。それでもトップ6には4つの異なる戦略が見られスリリングな展開となりました」と分析している。
次戦第18戦メキシコGPは、10月27日、メキシコシティのエルマノス・ロドリゲス・サーキットで開催される。2019年シーズンも残り4戦。
2019 F1第17戦日本GP決勝 結果
優勝 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)52周
2位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ)+13.343s
3位 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)+13.858s
4位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)+59.537s
5位 55 C.サインツ(マクラーレン・ルノー)+69.101s
6位 3 D.リカルド(ルノー)+1周
7位16 C.ルクレール(フェラーリ)+1周
8位 10 P.ガスリー (トロロッソ・ホンダ) +1周
9位 11 S.ペレス(レーシングポイント・メルセデス)+1周
10位 27 N.ヒュルケンベルグ(ルノー)+1周
12位 26 D.クビアト(トロロッソ・ホンダ)+1周
リタイア 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
[ アルバム : 2019 F1第17戦日本GP決勝 はオリジナルサイトでご覧ください ]
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