雨の日は交通事故が多い。首都高速道路株式会社のデータによると、雨の日の高速道路での事故リスクは晴れている日の4倍にも跳ね上がる、と報告されている。
秋は太平洋高気圧が南に下がり、本州に近づく台風が増え、気候が不安定になりがち。ゲリラ豪雨など、突然の大雨にも注意が必要な時期だ。その昔、太田裕美の「九月の雨」という唄があったほどで(若い世代はご存じないか?)、9月~10月は雨が多い。
そこで今回は、雨の日の運転に関する注意喚起がお題。レーシングドライバーであり、自動車評論家でもある筆者が、雨の日に気を付けるポイントや、上手な走り方を伝授する。
文/松田秀士
写真/編集部
■大雨のなかでは、水たまりに要注意!
筆者自身、長くレース活動を行ってきて、さまざまなレースで雨を経験してきた。そんななかで一番印象に残っているサーキットといえば、ベルギーのスパ・フランコルシャン(通称スパ)だ。
スパは山のなかにあるのサーキットで、雨の日が多く、1周7kmもあるのでコースの端と端で雨・晴と両極端な天候になっていることもよくある。
「オールージュ」と呼ばれる坂を下りきって急激に登る名物コーナーでは、坂の下がレース中突然の豪雨でプールのようになっていたこともあった。
日本でも、道路のアンダーパスが浸水するなど、豪雨時はドライバー自身がしっかりと判断しないと取り返しのつかない事態に陥ることもある。
道路情報も重要だが雨はドライバーの判断が大切なのだ。そこで雨の日の危険についていくつか挙げよう。
まず高速道路では、車線内の真んなかを走ることを心がけよう。道路は凸状になっているので、端は水が溜まりやすいのだ。
走行車線なら左側、追い越し車線なら右側に注意が必要。追い越し車線は右側に大きな水たまりができやすく、ハンドルをとられやすいので、3車線なら中央車線が安全ということになる。
また目視して水溜まりになっているところを通過する時は、それまでよりも少し速度を落として通過するようにしよう。
通過する直前や通過中に、驚いて急ブレーキ(普通のブレーキも)を踏むことは厳禁。タイヤの前後荷重バランスというやつが崩れて、不安定になりやすいのだ。
追い越し車線は、右側に水たまりができやすい。東名高速では、厚木ICから御殿場ICの区間で、中央分離帯付近に水がたまりやすい
豪雨で一番怖いのがこの水たまり。レースでの話をすると、富士スピードウェイに300Rとよばれる緩い右コーナーがある。高速道路にもよくあるタイプのカーブだ。
ヘアピンを立ち上がり、4速から5速全開で駆け抜ける緩い右コーナー。このコーナー、大雨が降るとコースサイドにたまった雨水が流れ出し、川となる。そこを速いスピードで駆け抜けるので、一瞬「アクアプレーニング」という現象が起きる。
「アクアプレーニング」は、タイヤが水を排出しきれず、水の上に浮いてしまう現象。当然タイヤグリップはゼロ。
300Rの場合は右コーナーで、ステアリングを右に切っているため、最初左フロントタイヤがグリップを失い横滑り。そのあと左リヤタイヤがグリップを失い、最悪の場合スピンしてコントロールを失う。
当然そのあとはクラッシュするリスクも高くなる。300Rは、頑張ってアクセルを踏んで速く抜けられればラップタイムも速くなり、ライバルに差がつけられる。だが、コントロールを失うリスクも高くなる。
いかにタイヤ性能と雨の量を読み切れるか? がキーとなるのだ。もうおわかりいただけるだろうか?
一般道でそんなリスクを冒す必要がないことを。
もしアクアプレーニングが起こってしまった時は、ステアリングをしっかり握っておき、不必要に動かさないことが重要だ。
■雨の運転では冷静さが肝心
そして、一番怖いのはトラックと競ってしまうことだ。トラックは乗用車の何倍も重量があるので、タイヤにかかる面圧が高い。言い換えれば、ダウンフォース(自動車が地面に押さえつけられる向きに発生するマイナスの揚力)だ。
だから大雨のなかでも、タイヤがしっかり路面を捉えて走れるのだ。普段は自分のほうが機動性に富み、速いと思い込んでいても、大雨が降ると立場は逆転することを肝に銘じておいてほしい。
それとトラックなど、背の高いクルマの後ろにつくことをできるだけは避けてもらいたい。その先がどのようになっているかを把握しにくいからだ。
大型トラックの後ろは、その先の状況が見えにくい。また、ダブルタイヤから跳ね上げられる水しぶきで、視界も大幅に悪化するので、後ろにつくことは避けてもらいたい
■定期的なクルマの点検も忘れずに
タイヤの空気圧をしっかり点検しておくことが重要なのは常識。タイヤの残り溝の確認も常識だ。
で、冬からずっとスタッドレスタイヤを履いている人は注意が必要。大雨、弱いですよ、スタッドレス。
それと、路面温度が高い雨の日は制動距離が長くなるので、車間距離注意もらいたい。
タイヤの空気圧は、定期的に指定空気圧に調整してもらいたい。減りすぎると、雨の日のリスクが上がるだけでなく、パンクしやすくなったり、燃費も悪化する
クルマのほうでできることは、とにかく視界をよくするためにフロントだけでなく、窓ガラス前面に撥水処理をしておきましょう。
そして必ずライトを点灯。他車に自分の存在をわかりやすくしておくことも忘れないでもらいたい。
このほかにも、油膜がついていると内窓が曇りやすいので定期的にキレイにすることや、ワイパーのゴムを定期的に交換し、視界をしっかり確保するなど、基本的なポイントにも注意をしてもらいたい。
秋の行楽シーズンのドライブなどを、安全に楽しんでもらえればと思う。
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