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かつてのブーム牽引役。国内向け生産中止となったパジェロ【車名の由来Vol.009】

もともとパジェロの名前は、1973年秋の第20回東京モーターショーに出展されたコンセプトカーに使われていた。ショートホイールベースのジープJ52型をベースにレジャー向けのオープンバギータイプとしたモデルだった。当時、流行の兆しを見せていた軽快なレジャー車として提案したもので、ジープが持つ質実剛健で武骨なミリタリーイメージからの脱却を意図したものであった。

パジェロ(PAJERO)は、南米チリ、アルゼンチン南部のパタゴニア地方に生息する野性の猫「パジェロキャット」から名付けられた。体長が約1m(そのうち約3分の1は尾の長さ)、頭は小さく、スマートで小柄、ネコ科だけあって動きが敏しょうだ。強じんな身体には黄色の縞模様が入っている。「パジェロキャット」はスペイン語の名前であり、アルゼンチンの大草原のパンパで暮らすところから別名「パンパスキャット(Pampas Cat)」とも呼ばれる。その生態は神秘のベールに包まれているという。

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ショーカーはデザイナー自身が企画したもので、ネーミングも車両のイメージに合わせて苦心の末、草原を疾駆する“山猫”から命名したという。オフロードを山猫のように俊敏に走る姿が目に浮かぶ。

三菱はジープのライセンス生産を1953年から(98年まで)行っていたが、契約によって原則として輸出できないクルマだった。1970年代中盤以降、本格4WD車はレジャー向けの需要が高まってくると、ライバルに対して基本設計の古さが目立つようになってきた。そこで1978年秋から、自由に輸出ができる民間向けの新型4WD車の検討がスタートした。

基本機能と新時代の4WD車のユーザーニーズをいかにまとめ上げるかが課題となったが、スタイリッシュでコンパクトな乗用車感覚の多目的4WD車のデザインコンセプトカーを製作。1979年秋のモーターショーに出品して様子をうかがうことになった。車名はかつてと同じ系統のショー出展車の“2番目”として「パジェロII」になった。これが評判がよく、市販化のゴーサインが出た。

こうして2回にわたってモーターショーに出展されてきたパジェロの名前は、知名度や好感度などから新世代4WD車に引き継がれた。そして、1982年4月に市販モデルがデビューした。プレスリリースには『野性味と美しさを調和させた全く新しい4WD車の性格を端的に表わすネーミングとして採用した』と書かれている。

新しいレジャーカーという当初の発想は、名前とともに市販車に受け継がれているのだ。ちなみに、輸出にあたっては、スペイン語圏の地域では「モンテロ(Montero=スペイン語で登山者)と呼ぶ。Paja(パハ)はスペイン語で「藁(わら)」、Pajeroは「つまらないことをする人」という意味になる。さらに転じて…これ以上はご想像にお任せします(汗)

〈吉川雅幸著『車名博物館PART1』(八重洲出版)より〉

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