化粧用の手鏡で後方確認の推奨も
text:Kouichi Kobuna(小鮒康一)
【画像】ミラーを小型カメラに デジタルアウターミラー採用の2台【ディテール】 全31枚
どうしても死角が多くなってしまう自動車において、見えづらい部分をカバーするミラー類は非常に重要な役割を果たしている。
最近では一部の車種にカメラとモニターを使用したデジタルアウターミラーも採用されているが、ほとんどの車種でドア部分に装着されたドアミラーが装着されているのはご存知の通りだ。
なお、このミラーなどのことを法令用語では「後写鏡」と呼び、ドアミラーなど車両の外側に備わるものを「車体外後写鏡」と呼んでいる。
そんな安全運転に欠かせない「車体外後写鏡」だが、装着が義務化されたのは1949年のこと。左右への装着が義務付けられたのは1962年と意外と最近の話なのである。
余談ではあるが、世界において後写鏡に初めて言及したのは、当時のイギリスの女性レーシングドライバーであるドロシー・レヴィットが1906年に発行した著書の「The Woman and the Car」の中と言われている。
そこには運転のアドバイスとして化粧用の手鏡を使って時折、後方を確認する方法が書かれていた。
フェンダー→ドアミラー 日本解禁の経緯
義務化された当初は車両のフロントフェンダー部分に装着する「フェンダーミラー」が一般的で、現在のような「ドアミラー」は認可されておらず、装着=違法改造となる時代が長く続いていた。
しかしドアミラーを採用する輸入車に対する非関税障壁であるとの指摘を受け、1970年代後半には輸入車においてドアミラーを解禁、1983年には国産車を含むすべての車両でドアミラーが解禁となった経緯がある。
ただ、すべての輸入車がドアミラーだったかというとそうでもない。
例えば日本でも人気の高いクラシックミニなどはイギリス本国でもフェンダーミラー仕様が販売されていた時期が長く、今でもTEXやルーカスといった英国ブランドのフェンダーミラーをあえて装着する愛好家も少なくない。
とはいえ大多数の車両がドアミラーとなった現在では、もはやフェンダーミラーは過去の存在となる。
旧車を表すアイコンとなりつつあるが、なぜフェンダーミラー車は消滅してしまったのだろうか?
フェンダーミラーのメリット/デメリット
そもそもフロントフェンダーに装着されるフェンダーミラーには、ミラーを見るときの視線移動が少ない点や、ミラーに映る範囲が広くなるためにフェンダー側面からドア側面にかけての視界も確保できるというメリットが存在する(一部のSUVが助手席側フェンダーに補助ミラーを備えるのも同様の理由だ)。
また、形状にもよるが、ドアミラーに比べて車体からのはみ出す量が少なくなるため、狭い道での取り回しに優れる点や、空力特性的にも有利という意見も存在している。
その一方でデメリットとされるのは、ミラーが前方に位置する上にドアミラーよりも鏡面が小さいために、ミラーに写る鏡像が小さくなってしまう点や、常に視界に入る位置にミラーが位置するために、雨の日の夜間などは意図しない反射が目に入って眩しく感じてしまう点などが挙げられる。
しかし最も大きな理由は、フロントフェンダー上にミラーが存在することで、万が一歩行者と接触してしまった際に歩行者により大きなダメージを与えてしまう懸念があるということだ。
そのため歩行者保護の観点から多くの車種からフェンダーミラーの設定がなくなり、現在ではある1車種を除きフェンダーミラー車は絶滅してしまったのである。
唯一のフェンダーミラー車 意外な理由
そもそもドアミラーが認可されてからはフェンダーミラー装着車の台数は日に日に減少しており、ここ数年でフェンダーミラーを装着している車両のほとんどがタクシーという状態が続いていた。
しかし、タクシー用途として使われることが多かった日産セドリック営業車が2009年のマイナーチェンジで衝突時の歩行者頭部への衝撃緩和を理由にフェンダーとボンネットの形状を変更し、フェンダーミラー装着車が廃止となり、トヨタのクラウンコンフォートやコンフォートも同様の理由で2017年をもって販売を終了。
その後継車種として登場したJPNタクシーこそが、唯一現行車としてフェンダーミラーを装着する車両となっている。
もちろんフェンダーミラーは歩行者との衝突時にも突起物とならないように開発されたものが採用されている力の入れようだ。
ではなぜそこまでしてもタクシーにフェンダーミラーを装着したのだろうか?
それは前述したフェンダーミラーのメリットに加え、ドアミラーだと左側のミラーを確認する際にどうしても顔を助手席側に振らなければならず、助手席に乗客を乗せたときに乗客の方をチラチラ見るような動きになってしまうのを防ぐためなのである。
これぞまさに日本流のおもてなしの心が生んだフェンダーミラーの存在価値であり、その想いに応えたトヨタにも称賛を贈りたいところである。
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