自民党・西田昌司は「ひめゆりの塔」発言を謝罪したものの、本質的には謝罪も撤回もしない姿勢が明らかになった。ライターの武田砂鉄は「むちゃくちゃだ」と呆れる。
自民党・西田昌司議員の「ひめゆりの塔」についての発言が問題視された。憲法記念日の5月3日、沖縄県那覇市で開かれたシンポジウムで講演した西田議員が、「沖縄県糸満市のひめゆりの塔の展示内容はひどい。歴史の書き換えだ」「歴史を書き換えられるとこういうことになってしまう。沖縄の地上戦の解釈はかなりむちゃくちゃな教育になっている。自分たちが納得できる歴史を作らないといけない」などと発言した。納得できる歴史を作りたい、との宣言自体が、歴史と向き合う姿勢として決定的に間違っているが、「歴史観」を押し出すために「歴史」を軽視してはいけない。
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「歴史観」ではなく、「ひめゆり平和祈念資料館」の案内文から「歴史」を正確に引用しておく。「ひめゆりの塔は、1945年の沖縄戦で亡くなった沖縄師範学校女子部・沖縄県立第一高等女学校の生徒や教師のための慰霊碑です。沖縄戦の翌年、両校で最も多くの犠牲者を出したガマ(鍾乳洞)の上に建てられました」とのこと。沖縄戦で、ひめゆり学徒隊が136人、ひめゆり学徒隊以外の在校生・教師が91人、亡くなっている。
批判が殺到し、西田議員は謝罪したものの、発言内容についてではなく、あくまでもTPO(時間・場所・場面)を間違えたもので、発言については撤回していない。形だけの謝罪後にアップされた、自身のYouTube動画のサムネイルには「『ひめゆりの塔』発言について 撤回と謝罪 その上で申し上げます 歴史を問い直し 本来の日本に立ち返れ!」とある。「納得できる歴史」=「本来の日本」らしいのだが、彼の言葉を借りるならば「むちゃくちゃ」だ。
沖縄県議会の代表団が、自民党の森山裕幹事長に対して抗議決議を手渡すと、森山幹事長は西田議員の発言について謝罪したが、党として西田議員を処分するわけでもない。参議院選挙の公認を取り消すわけでもない。代表団は西田議員との面会を求めたが、「日程の都合」で会わなかった。その日に突然会いたいと申し出たわけではなく、10日ほど前から、2~3日の枠を設けて面会を求めたそうだが、西田議員はその機会を作らなかった。「本来の日本」が彼の頭にあるならば、その見解をぶつければいいはずだが、議論の場には出てこない。
森山幹事長をはじめ、党としては、彼はもう反省しているので……で終わらせようとしているが、本人が終わらせない。雑誌「正論」2025年7月号に『「ひめゆりの塔」発言訂正の真意 私は事実を語った…』と題した原稿を発表した。「真意」「事実」はコレです、と改めて記したのだ。
早速、原稿を読んでみる。謝罪したのは「『TPO』をわきまえない発言だった」から。そして、「あの講演は、改憲の志を同じくする限られた人数の人々に向けたもので、沖縄県民全員に向け、県民感情を刺激しようなどと考えて行ったものではありませんでした。しかし、なぜかそれが広く報じられてしまった」と言い訳している。だが、今回の発言は極秘の打ち合わせ音声が流出したわけではなく、沖縄の男女共同参画センター「てぃるる」ホールで行われた、参加費無料のシンポジウムである。
ひめゆり平和祈念資料館側からも今回の発言に対して、事実に根ざしていないとの批判が出ているのに、この原稿では「インターネット上などでは、同館を見学するなどした感想として、日本軍にはネガティブに、逆に米軍にはポジティブな印象を受けたといった声も確認できます」と記している。インターネット上にはこんな意見もあると拾い上げて、自分の指摘の正当化を試みる。だったら最初からインターネット上の意見を問えばいいはずだが、再確認すると、彼はひめゆりの塔の展示内容を批判したのだ。
この手の発言を並べておきながら、「今回の私の発言に対する批判の嵐を振り返ると、日本社会に言論封じの〝空気〟があったように感じます」と書き、沖縄のメディアについては、「今回の件でも〝印象操作〟で世論を煽ろうとしたのではないか、との思いは禁じ得ません」とまで書いている。いつの間にか、言論空間で戦っている自分を演出し始める。
そして、こう書く。
「語ることそのものが『触れてはならない禁忌』になるとすれば、それは自由な言論空間にとっても危うい事態ではないでしょうか」
そんなこと誰も言ってない。歴史を正確に語りなさい、不正確な歴史をばら撒くのをやめなさい、それができないのであれば、議員にふさわしくないと言っているだけだ。
西田議員の新著『西田昌司のリターン トゥ ジャパン』を読んでみた。何度も繰り返しているのが、教育勅語は日本人の大事な価値観なのでもう一度取り戻すべき、との主張。教育勅語を教えないからこそ、「日本の価値観」が失われ、「日本人のアイデンティティ・クライシスを生み、大事なことが何かわからなくなってしまった」のだという。そんな大仰に語るより、まずは自身の発言の間違いを認めて、改める。それができないのならば直ちに辞するべきだろう。
武田砂鉄
ライター
1982年生まれ、東京都出身。 出版社勤務を経て、2014年よりライターに。近年では、ラジオパーソナリティーもつとめている。『紋切型社会─言葉で固まる現代を解きほぐす』(朝日出版社、のちに新潮文庫) で第25回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。著書に『べつに怒ってない』(筑摩書房)、『父ではありませんが』(集英社)、『なんかいやな感じ』(講談社)、『テレビ磁石』(光文社)などがある。
文・武田砂鉄
編集・神谷 晃(GQ)
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日本人ではないけど日本名を使う反日芸人が噛みつく顔を見た時には「あぁやっぱり異常者は顔に出るな」と感じた