小糸製作所の名前はヘッドランプのKOITOとして知名度は高いと思う。でも企業規模やヘッドランプ事業の詳細など、具体的にご存じの方は少ないのではないだろうか。そこで今回、小糸製作所について掘り下げた情報をお伝えしよう。
まず、驚くのは2025年は創業110周年にあたるという老舗。自動車の照明部品、航空機部品、電子装置・部品の製造販売が中心の事業で、国内4ヶ所に生産工場を持っている。従業員は2万4000人規模で、国内のTier1では2023年度売上高9500億円で8位にランクする大企業なのだ。
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その内訳の9割が自動車照明機で、取引は国内が38%、米国32%、アジア16%、中国8%、欧州5%という割合。2025年はトランプ関税が自動車部品にも課税されるため、難題をふっかけられた状況だ。ちなみに国内ではすべてのメーカーとの取引があり、国内シェアは60%で、SUBARU車においては全モデルKOITO製になっている。
さて、意外と知られていないことでは、世界初の技術として、2003年にハンドルを切ると光軸が動く「インテリジェントAFS」を開発している。その翌年にも世界初となる水銀を使わないヘッドランプを開発し、2007年にも世界初のLEDヘッドランプを開発し、量産したのも小糸製作所なのだ。
このように小糸製作所はヘッドランプ分野では世界初の技術をたくさん産み出した企業であり、我々が気づかないところで進化を続けているわけだ。そしてこの先、ヘッドランプはどのような進化をしていくのか。小糸製作所によれば、ドライバーサポート領域、センシング、そしてコミュニケーションといった領域で進化していくという説明だ。
ドライバーサポート領域はわかりやすいが、じつは法規への理解も重要で、保安基準については2000ページほどあり、そのうちランプには400ページほどの保安基準があるという。そして世界は大きく分けて2つの法規があり、ひとつは欧州型のUN規則で、もうひとつは米国のFMVS規則。世界の国は、そのどちらかを採用しているという。
日本はUN規則になっているが、その規則の違いでわかりやすいのは、ハイビームの明るさの違いで、UN規則は2万1500カンデラ以下、FMVSは7万5000カンデラ以下と3倍ほど要求される明るさが違っているのだ。また視認性における配光でもシャープなカットラインになっているUN規則にたいして、FMVSはぼかしたカットラインになっているなどの要求値が異なっている。
さて、ヘッドランプの進化を振り返ると、かつてはハロゲン・ランプでその後HIDになり、そしてLEDへと進化している。年配の人であればその実体験をしているので進化を実感できると思う。ちなみにハロゲンとLEDでは6倍発光効率が異なるということだ。
そして配光ではコーナリングランプ、オートレベリング、ステアリング連動式AFS、AHB、ADB自動配光へと進化している。コーナリングランプはハンドルを切るとフォグランプ、ないしドライビングランプが点灯し進行方向を照らす仕組み。オートレベリングは対向車が眩しくないようにレベルが変わるもの。そしてステアリング連動式オート・ステアリング・システム(AFS)は文字通りハンドル操作に連動して光軸が動くタイプだ。
AHBはオート・ハイビームで、ロービームとの切り替えが自動で行なわれるもので、シャッターを設けることで実現している。そしてADBはアダプティブ・ドライビングビームで前方車両をカメラで検知し、対向車を遮光、他はハイビームで照射するものだ。
じつは2017年に道交法が改正されており、夜間走行ではハイビームを基本とするに変わっているのだ。しかし使えるシーンが少ないため、このADB技術が重要になってくるといいうわけ。
ADB技術は部分的に光源にマスクをする仕組みで、2012年から取り入れており、当時は3分割で行なっていた。そして2017年には上下2段の24分割にできるようになり、2019年には300分割が可能になっている。そして現在は上下左右で分割ができ、かつ細分化できたことで1万6000分割と飛躍的に進化しているのだ。
そのため、対向車へは遮光して眩しさを防ぎ、それ以外はハイビームで照射され、視認性が確保されるというわけだ。これらの技術はセンシング機能の進化との組み合わせによって構築され、より安全なドライバーサポートができるようになったというわけだ。
さて、LEDライトでの困りごこととして、雪が付着してしまう問題がある。ハロゲンやHIDではランプ自体が熱を発していたため、自然と融雪されていたが、LEDは発熱がほぼないので付着してしまう。この問題に対し小糸製作所では、レンズ内面にヒーター線を這わせ融雪している。リヤウインドウの熱線と同じ考え方だ。このヒーター線はテールレンズにも装着でき、メンテナンスフリーで提供されている。
さて、ヘッドランプの進化について、コミュニケーション領域の進化は、具体的には中国車に多く見られる傾向で、国内ではソニーホンダのアフィーラ1に搭載しているものがある。
つまりランプを使ったアニメーションの提案で、歩行者とのコミュニケーションや、例えばドアを開ける警告としてアニメーションを使うといったことを提案している。これはすでに中国のZEEKRやXpeng(シャオペン)、そしてアウディでも採用されている技術だ。
もうひとつはターン路面描画だ。これはウインカーと連動して進行方向の路面にシェブロンマークが映し出されるもので、安心・安全につながる技術して提案しており、中国では法的な審議が行なわれているという。
最後は、小糸製作所ではAD/ADAS向けのLiDAR技術だ。なんでヘッドランプの小糸が?という疑問があるかもしれないが、LiDARはヘッドランプと同様、レンズを使い、レーザーの反射光を受光素子で測定するため、ヘッドランプで培った知見が活かせることから、LiDAR製品を開発しOEに供給しているのだ。
製品としては短距離、中距離、長距離用の3タイプを用意しており、ライバル製品に対して低消費電力、薄型であり、検知距離が長いことやデータの分解能が高い、上下の検知範囲が広いなどをアピールしている。
そしてLiDAR技術を使ったインフラ用「イルミエル」もある。これは交差点での情報をITSを介して車両に情報を伝える技術で、交差点での事故低減に有効なものだ。もちろん、交差点だけでなく合流ポイントや駐車場の満空情報にも使えるなど多くの場所で社会実装すれば利用者へのメリットは大きくなる。
以上が小糸製作所が取り組んでいる進化についてお伝えしてきたが、ヘッドランプのADBの認知度は低く、情報として浸透していない傾向がある。その原因の一つには、メーカーによって呼び名が違うことも浸透しない理由に挙げられるが、こうしたハイビームを基本としたドライブには欠かせない技術であり、製品なので、ぜひ知っておいてほしいものだ。
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