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電動化どころの騒ぎではない!! 日本でクルマが作れなくなる…? 自工会が警鐘を鳴らす危機

 自工会会長の豊田章男氏が、2021年3月11日の記者会見で日本の自動車輸出が直面することになる「LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)」を要因とした危機について熱弁した。

 このLCA問題の直撃を受けた場合、日本の基幹産業である自動車産業だけで、70万人から100万人もの雇用が失われかねないと自工会が試算しており、もし現実のものとなれば致命傷となるとされている。

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 今回は、この危機的状況について、考察・提言をしていきたい。

文/国沢光宏
写真/Adobe Stock、編集部

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■日本で生産したクルマが海外で売れなくなる?? LCAとは何ぞや!?

 自動車工業会の豊田会長が記者会見で「自動車業界550万人のうちの70万から100万の雇用に影響が出てくる」と訴えた。カーボンニュートラルを正しく理解しないと2030年から始まると言われるLCA規制への対応が十分できず、輸出で自動車業界が稼いでいる外貨獲得15兆円が限りなくゼロになるということである。

 同じ場で豊田会長は「クルマがすべてEVになればいいという報道もありますが、そんな単純なものではないことをぜひご理解いただきたいと思います」とも発言。これを受け「豊田会長は電気自動車否定派」だと理解した人もいるようだけれど、前後をよく読むと電気自動車を否定しているワケじゃない。以下、わかりやすく解説したい。

自工会の豊田会長は、これからの日本が国としてLCAへの対応を誤れば、日本の基幹産業である自動車産業が、日本国内で成立しなくなる危機が迫っていることを会見で強調した

 まずLCAだけれど「ライフ・サイクル・アセスメント」の略となる。クルマについていえば、走行中に排出する二酸化炭素だけに留まらず、部品の生産から組み立て、廃車に至るまで自動車の生涯で排出する二酸化炭素の排出量を考えようということ。つまり火力発電の電力使って生産した電気自動車は、LCAで評価すればダメということになる。

 なんで日本の雇用に影響するのだろうか? 前述のとおりヨーロッパは2030年から厳しいLCA規制を取り入れる方向だ。正式に決まったら、クルマをLCAで評価するようになる。そしてLCAが多ければヨーロッパ域内で販売できなくなってしまう。日本の工場は部品を含め基本的に火力発電。電気自動車を作ってもLCAで厳しい。

 参考までに書いておくと、2030年の目標はヨーロッパだと二酸化炭素出さないクリーン電力を60%(原発は含まず)にするとしている。日本と言えばクリーン電力で22~24%という数字を出している。しかも原発の電力を20%程度見込んでおり、稼働できなければその分は火力発電に頼ることに。

 何と! 原発なしだと2030年時点で75%以上が火力発電ということ。LCAを考えたらお話になってない。どんなに燃費のいいクルマを開発しても、日本の工場で作ったら買ってくれない。そんな状況なのに、我が国の環境大臣は「怒られるかもしれないがプラスチックスプーンの無料化をお願いする」などとノンキなことを言ってる。

日本における火力発電の割合は75%を占め、2030年目標でも56%だ。その代替は原発が主力であり、再エネは数%増えるのみ。もし原発が稼働しなければ、今と変わらないことになる(naka@Adobe Stock)

 対応策は2つしかない。日本の電力をカーボンフリーで作るか、自動車の生産をカーボンフリー電力でまかなえる海外工場で行うか、です。豊田自工会会長は「今のままだと海外で作るしかなくなる」と言う。そうなれば前述のとおり日本の工場を閉めることになり、部品産業を含めたたくさんの雇用を失うことになる。

 前述の「クルマがすべてEVになればいいという報道もありますが、そんな単純なものではないことをぜひご理解いただきたいと思います」という豊田会長の発信は、クルマから走行時に出る二酸化炭素だけ減らせばいいという問題じゃなく、もっと大きな観点からカーボンフリーを考えなくてはダメだという意味である。

■日本の高すぎる再生可能エネルギーのコスト!! そこには原発推進の思惑が……

 どうすればいいのか? 自工会の代表である豊田会長からすると、エネルギー問題に口を出すのは越権行為だと考えているのだろう。具体案は提示していないけれど、再生可能エネルギー(太陽光や風力、地熱など)に注力していくしかない。興味深いことに記者会見ではヨーロッパとアメリカ、中国の電力コストを示唆のため提示した。

 これも表を見て頂きたい。火力についていえばヨーロッパと大差ない。けれど太陽光と風力発電のコストが圧倒的に違う。どちらも世界水準の3倍! 太陽光発電など、立地条件として不利になる高緯度のヨーロッパですら1kWhあたり6.8円というコスト。というか日本の15.8円が高すぎるんだと思う。恣意的な数字です。

各国と日本の発電コストの比較表。日本が突出して再エネの発電コスト高い事が一目瞭然だ。資源の少ない日本の電力が火力に頼り、自然エネルギーの活用に消極的である事が、本末転倒な話だ

 日本は原発を推進してきた。したがって原発が最も安い発電コストじゃないとダメなんだろう。政府によれば原発の発電コストは1kWhあたり10.1円。驚くべきことにこのコストの中には廃炉コストはなし、誘致コストなし。はたまた開発を中断している「もんじゅ」という実験炉の維持のため、現在進行形で毎日5000万円分の電力を使っている。

 もちろん福島第一原発の後始末にかかっているコストも含まない……といったエネルギー問題を一度すべて白紙にして新しい日本の未来を考えなければならない時期になっていると思う。幸い我が国は太陽光発電の立地としてヨーロッパよりもよい。現時点で晴天時は昼間の消費電力の30~40%をカバーしている。今の5倍くらいにすればいい。

太陽光だけでなく風力や地熱といった、日本の固有の風土を「資源」として活用し、世界と足並みをそろえなければ、日本の製造業が衰退の危機に瀕している事を認識すべきだ(beeboys@Adobe Stock)

 そのほか、風力も有望だ。日本特有の資源として、原発20基分くらいのポテシャルを持つ地熱もある。余った電力は水素にして貯めておき、夜間や無風状態の時に火力発電用として使えばいい。

 日本だって優秀な官僚は多い。スプーン問題より速度感を持ってエネルギー改革に取り組むべき。でないと、本当に日本から製品の輸出ができなくなります。

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