この記事をまとめると
■ジウジアーロがマセラティのためのデザインしたモックアップがブーメランだ
ランボルギーニやロールス・ロイスなんて「一生触れる機会なし」でもなかった! 意外と簡単な庶民がスーパーカーを運転する方法
■マセラティはブーメランをワンオフモデルとして走行できる状態まで開発を継続
■斬新なスタイルのブーメランは世間の目をマセラティに向けさせることに成功させた
ウェッジシェイプを極めた個性的なスタイリング
1960年代から1970年代にかけて、イタリアのカロッツェリアと呼ばれるデザインスタジオは、じつに魅力的でユニークなスタイリングを多くの自動車メーカーに提供した。そのもっとも大胆な例といえるのは、デザインプロトタイプとして製作されたモデルたちで、ここからプロダクションモデルへと移行したものもあれば、またあまりにも斬新なデザインゆえに、自動車のスタイルの方向性を示すのみで、いわゆるプロトタイプのまま歴史のなかに、その名を残すのみとなってしまうも、しかしながら現在においてもその造形に心を踊らされるモデルも存在する。
ベルトーネのカラボ、ピニンファリーナのモデューロ、そしてこれらに刺激された、ここで紹介するイタルデザインのブーメランなどは、その典型的な例といえるのではないだろうか。
フロントに大きく描かれるエンブレムが物語っているように、ブーメランはマセラティのためにイタルデザインによって製作されたモデルだった。デザイナーは、かのジョルジョット・ジウジアーロ。1971年のトリノショーでまずそのモックアップが発表され、デザインプロトタイプとしてならば、ここでその目的は終了するはずだったのだが、マセラティはそれを実際に走行可能なワンオフのモデルへと進化させるために、さらにその開発を継続する。
走行を可能にするためには、ほかの生産車と同様にきちんとしたシャシーやパワーユニットが必要になるが、マセラティはそれをボーラから調達。したがってミッドに搭載されるエンジンは、4.7リッターのV型8気筒となり最高出力も320馬力前後を発揮していた。
斬新なのは外観だけではなくインテリアも独創的
ボディは軽量なアルミニウム製で、ジウジアーロが描いたシルエットは強いウエッジシェイプを特徴とするものだった。ボディパネルとウインドウは、基本的には平面で構成されており、サイドウインドウを二分割し、その中央にウエストラインを走らせるという手法も、当時としてはきわめて斬新な手法だった。
そして、1971年のトリノショーから約1年後、ブーメランは実走可能なワンオフモデルとしてジュネーブショーに再び姿を現し、会場を訪れたゲストはもちろんのこと、世界のカーマニアに大きな衝撃を与えたのだった。
ブーメランのデザインは、インテリアでも実に先進的なフィニッシュを見せていた。特に印象的なのはステアリングホイールまわりのデザインで、メーター類やウインカー、そしていくつかのウォーニングランプは、すべてステアリングホイールのリムの内側にレイアウト。これは高速走行時にもできるだけ視線を移動させないようにという考えから生まれたデザイン。メーターパネルのセンターには大径のタコメーターが備わっている。
外観からも分かるとおり、ブーメランのフロントウインドウは極端に強い傾斜を持つが、アポロ宇宙船のそれから流用されたというシートに身を委ねると、そこにはスーパースポーツとして十分に快適な2シーターのキャビンがあることが分かる。
ブーメランはその後、いくつかのモーターショーに展示され、最終的にスペインのカスタマーに販売された。その後も何人かのオーナーの手をわたるが、1980年代には完全なレストレーションを受け、コンクールデレガンスにも姿を現すようになった。フロントフード上のマセラティとイタルデザインのエンブレムはレストアの過程で失われてしまっているが、そのほかはカラーリングや1990年の「バガテル・コンクールデレガンスでジウジアーロ本人から書き入れられたリヤライセンスプレートの位置にあるオートグラフも含め、オリジナルの状態を保っている。
改めて考えてみれば、この実走可能なブーメランが発表されてから、2022年はちょうど50年にあたる年。現在のマセラティはMC20やグレカーレなどのニューモデルの登場で、過去にないほどの話題に満ちている。ブーメランが世界の目を強く引き寄せ、いまでもその存在を熱く語られるように、現代のマセラティもまた、歴史的な成功を収めてもらいたいものである。
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この時代はランボもフェラーリも足元ペダルが右にオフセットしかも奥。
操作性よりデザイン