宿泊客の4割占める訪日需要
2025年4月21日、日本経済新聞が報じた調査結果が業界関係者の関心を集めている。全国5都市のホテル価格がゴールデンウィーク(GW)初日に前年比16%上昇し、特に大阪では35%もの上昇が見られた。
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注目すべきは、4月26日の宿泊予約のうち、
「約4割」
がインバウンドによるものだったという点だ。この現象は単なる季節的な繁忙期の表れか、それとも都市観光の構造が大きく変化しつつある兆候なのか。
かつてGWは、日本人の国内旅行需要が最も高まる時期とされてきた。しかし、2025年は様相が違う。日経の報道によれば、全国主要5都市のホテルで、GW初日の予約のうち36%をインバウンドが占めているという。前年の11%と比較すると3倍強の急増だ。
背景には、
・円安
・ビザ要件の緩和
・SNSを中心とした旅行先の情報拡散
がある。日本が高コストパフォーマンス、安心安全な旅先として、グローバルな旅人たちに定着しつつあるということだ。
都市部のホテルが埋まる構造が、日本人よりもインバウンドによって形成されている。宿泊空間という都市資源が“誰に使われているか”という点で、大きな変化が起きている。
市場調査大手のインテージによれば、2025年のGWにおける日本人の旅行予算は平均2万9237円。ホテルの平均客室単価が1万9269円とすると、泊まれるのはわずか1.52泊分にすぎない。前年の1.65泊分よりもさらに縮小している(同紙)。
この差は小さな数字に見えるかもしれないが、旅行にかけられる
「時間と選択肢」
の幅を確実に狭めている。予算の制約が強まり、日本人旅行者は高単価な都市ホテルを敬遠し、カプセルホテルやゲストハウスなどへと移行する動きが加速している。
宿泊空間の国際化圧力
ホテル業界がインバウンド重視にかじを切るのは、ある意味では自然なことだ。宿泊単価を上げても予約が入る市場が存在するなら、そちらに焦点を移すのは収益追求の上で理にかなっている。
同紙によれば、実際、東京のあるビジネスホテルでは、2025年のGW初日に客室単価を約4万2000円に設定したという。これは従来のビジネス需要を想定した価格帯を大きく逸脱しており、観光消費力に軸足を移した大胆な価格設定といえる。ただし、価格の高さゆえに予約の動きが鈍いという声もある。インバウンドを見据えた強気の設定が、想定された需要の厚みに届かず空室を生んでいるケースもあるのだ。
価格を上げることで収益を最大化しようとする一方で、国内市場からの乖離もまた進行中だ。宿泊コストの上昇は、日本人旅行者にとって選択肢の狭小化を意味し、ホテルが本来担っていた日常的なアクセス可能性が損なわれつつある。都市のホテルは、誰にとっての利用可能な空間であるべきか。その問いが価格設定を通じて浮かび上がる。今、ホテルという供給インフラは
「誰の滞在を優先するか」
という構造的選択に直面している。短期的な収益性の高い顧客を重視する判断は理解できるが、それが中長期的に地域の観光構造や都市住民の移動・滞在行動にどのような影響を及ぼすのかという視点は、必ずしも十分に語られていない。
供給側がどの市場を優先するかという視点を明確に持ち始めた今、都市の宿泊空間は単なる商業施設ではなく、国際競争と地域接続のあいだで揺れる戦略資源として再定義されつつある。国境を越えた需要と、足元の生活圏とのせめぎ合いのなかで、ホテルという空間が果たすべき役割は、いままさに問われている。
祝日制度と観光軸のずれ
このような価格動向が、単なるGW特需で終わるとは限らない。実は、日本の祝日制度とインバウンド需要とのタイミングが、年々重なりつつある。
本来、祝日は日本人のためのカレンダー上の制度だ。しかし、そのタイミングにあえて訪れるインバウンドが急増しているということは、日本の観光インフラが国内優先から国際汎用へと移行しつつある証拠かもしれない。
ピークタイムの定義が、日本人の行動計画に基づくものではなくなりつつあるという構造的な変化が、そこにはある。日本人が休む日ではなく、インバウンドが訪れる日が、観光業にとっての最重要スロットとなりつつある。この時間軸の転換は、観光関連の価格設計や人員配置だけでなく、都市のサービス提供体制そのものを再編成させていく可能性をはらんでいる。
現在のホテル価格に対する評価は、立場によって大きく異なる。国内旅行者にとっては手の届かない存在になりつつあるかもしれない。一方でインバウンドにとっては、手頃で安心な宿として映っている可能性が高い。この価格帯を許容する顧客層の存在が、業界全体の価値基準を塗り替えつつある。
このギャップは、日本の観光業がどこを向いているのか、あるいはどこへ向かうべきなのかを、静かに問うものだ。価格とは単なる数字ではなく、価値の指標であり、優先順位の可視化でもある。祝日制度の設計思想と、現実の需要構造との間にズレが生じるいま、問われているのは誰の休日を基準に都市を動かすのかという、きわめて根源的な選択なのかもしれない。
都市観光を揺るがす「16%」の示唆
日経が報じた「GW初日の価格16%上昇」「予約の4割がインバウンド」という事実は、都市観光の転換点としての性質を帯びている。宿泊空間は国境を超えた需要に反応し、旅行者の構成も変化している。
とりわけ注目すべきは、こうした変化が単なる需要の一時的な偏りではなく、制度と空間の両面に影響を及ぼし始めている点だ。都市の宿泊施設は、従来の国内旅行者を中心に据えた設計から、訪日客を前提とした空間運用へと軸足を移しつつある。これにともない、宿泊料金や予約システム、サービスの提供言語や時間帯といった運用のディテールも、明確に異なる論理に基づき再構成されつつある。
今後、旅行のあり方そのものが再定義される可能性もある。「どこへ行くか」「何に泊まるか」だけではなく、「なぜ旅に出るのか」という問いそのものが変わるかもしれない。都市に点在するホテルは、もはや一様な宿泊装置ではない。それぞれが異なる来訪者像を想定し、異なる価値体系のなかで運用される戦略拠点となっている。
一方で、日本の祝日制度は、戦後の産業構造や国民生活を支える装置として設計された内向きの時間軸だ。しかし現在、そのタイミングが
「訪れる側 = 外部の旅行者」
にとっても最適化されているという現象は、制度と現実の接続点がずれ始めている兆候でもある。祝日は国民の休日であると同時に、観光経済にとっての戦略的資源でもあり、複数の文脈で意味づけられるようになっている。
供給側が見据えるのは短期の収益か、中長期の接続性か。その問いに対する答えは、この連休の過ごし方のなかにある。観光は単なる消費行動ではなく、空間の使われ方と制度の運用主体を可視化する鏡でもあるのだ。
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みんなのコメント
今インバウンドの恩恵を受けているのはごく僅かな人。ほとんどの人が我慢を強いられているのは理不尽。
1泊素泊まりで5万円でも彼らには高くない。
日本が貧乏になったと実感する。