TVR復活についてわかっていること
AUTOCARの英国編集部は最近、TVRから電動化計画の発表会(今月後半)への招待状を受け取った。英国のスポーツカーブランドであるTVRは、2024年に電動スポーツカーを発売する計画で、フォーミュラE選手権との提携も発表されている。
【画像】復活に期待したい英国スポーツカーブランド【TVRグリフィスを写真でじっくり見る】 全82枚
経営再建を目指すTVRは、2017年9月に新型車「グリフィス」を公開したが、それ以来、プロジェクト進行の遅れに悩まされてきた。そんな中での電動化計画は、どのように進められるのだろうか。グリフィスの生産もまだ開始されていないことから、プロジェクトの実行可能性について疑問を投げかけずにはいられない。
本稿では、TVRについて現在わかっていることと、今月末の発表会で注目すべき重要なことをまとめている。
グリフィスは「5年前」のモデル
TVRの新時代の先陣を切るグリフィスは、すでに公開から5年が経過している。同時期に発売された他社のモデル(ボルボXC40、BMW M5など)は改良を重ね、近くフルモデルチェンジを控えているものもある。近い時期にはメルセデスAMGのスーパーカー「ワン」も公開されたが、こちらは開発の遅れを乗り越え、ようやく顧客のもとに届けられようとしているところである。
つまり、グリフィスのデザインやテクノロジーはもはや最先端のものではなく、機能性、効率、パフォーマンスにおいて、少なくともカタログ上ではライバルの後塵を拝するはずだ。そして、レクサスLC 500、レクサスRC F、フォード・マスタングなどと並ぶ、数少ない自然吸気V8エンジン搭載モデルであることも忘れてはならない。
グリフィスは、マスタングと同じ5.0L V8エンジン「コヨーテ」を採用しているが、フォードでは2024年にハイブリッド化されると言われている。本拠を置く英国では2030年にエンジン車の新車販売が禁止され、EUでもその可能性が高いため、電動化されていないスポーツカーの賞味期限は大幅に短くなっている。
生産はまだ始まっていない
英ウェールズにあるTVRの工場に関しては、2020年12月、グリフィスの生産ライン立ち上げに向けて既存の建物の大規模改修計画にまもなく着手することが発表された。(当初予定していた生産開始時期は2019年だった)。
当初、ウェールズ政府がTVRの株式を3%保有していたため、EUの規則により、建設業者の選定に長期間を要したことが遅延の原因であった。
改修工事の進捗状況から、今後数週間のうちにリース契約を結ぶと考えられている。この工場では200人を雇用する計画だ。
不透明な資金繰り
グリフィスの生産開始に向けた具体的なアクションの1つとして、今年初め、南米のパートナー企業であるEnsorciaからの「数百万ポンドの投資」という発表が挙げられる。Ensorciaは、「南米でネット・ゼロ・カーボン技術の開発と環境保全型のバッテリー金属生産・加工に専念する企業グループ」と自称している企業だ。
TVRもEnsorciaも、この投資額については明らかにしていないが、生産ラインの準備、電動モデルの開発、ウェールズ政府からの200万ポンドの融資返済に充てられるとしている。
Ensorciaの出資は、グリフィスの生産に着手し、負債を返済するのに十分な額と言われている。しかし、2020年夏頃にダブリン証券取引所に上場して調達しようとしていた必要資金2500万ポンド(約40億円)を集めることができたかどうかは不明だ。ただ、TVRによれば、「初期の資金調達には成功した」という。
最新の記録によると、2021年6月期の決算で、現金8000ポンド(2020年の3万2000ポンドから減少)、1年以内に支払うべき負債および借入金1210万ポンド(2020年の1080万ポンドから増加)となっている。
また、グリフィスの受注時に予約金を受け取っているはずだが、これまで何件の受注があったのか、そして5年にわたる開発期間の中でどれだけキャンセルがあったかについては言及されていない。
TVRは「既存の受注を実現するためには、さらなる投資が必要」であり、「見込みのある複数の投資家と話し合いを続けている」と述べている。
TVRは何を目指しているのか?
TVRは今後、3台のEVの発売を予定している。そのうち1台はグリフィスをベースとするが、パワートレイン、デザイン、発売時期などの詳細は明かしていない。
パートナーであるEnsorciaは、水の浪費を最小限に抑える特許取得済みの塩水抽出プロセスによる「グリーン・リチウムの採掘および処理」を行う企業と説明されており、同社との提携はTVRの電動化に重要な影響を与えると言われている。
2021年6月、Ensorciaはチリのアタカマ地方にある5000エーカーの敷地と、ボリビア国境近くの2万2000エーカーの敷地で、その技術を使ってリチウムを採掘する権利を確保したと発表した。しかし、まだ採掘が始まった形跡はなく、同社と提携している自動車関連企業は今のところTVRのみである。
英国のスポーツカーブランドとして知られるTVRは、持続可能性を重視した製品ラインナップにより販売台数の増加を目指している。
しかし、その先鋒であるグリフィスは「2シーターのスポーツカー」という、比較的狭い市場をターゲットとしたモデルだ。大手の自動車メーカーでさえ、ますます採算が合わなくなっているカテゴリーである。200人という従業員数を考えても、すぐに事業規模が拡大することはないだろう。
現在、TVRは、5年がかりで作り上げたグリフィスに続く新型車の発表を控えている。つまり、計画通りにいけば、グリフィス(V8モデルと電動モデル)はブランドのシンボル的な存在となり、比較的安価なスポーツモデルや市場規模の大きいSUVなどが販売面を支えることになるだろう。
これと同じような構造を持つブランドに、フランスのアルピーヌがある。ただし、アルピーヌは親会社のルノーを後ろ盾としているところが大きな違いである。
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みんなのコメント
あっコッチがオリジナルか