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【休日朝活のススメ】ポルシェを愛する女性と箱根ターンパイク

■休日の朝は早起きして、ドライブのために都心を抜け出す

 そこは日本の古典的な山道、通称「峠」。なめらかで時に大胆なコーナーの数々は緑ゆたかな木々に囲まれていて、登りきると昔から変わらない富士山の絶景が出迎えてくれる。

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 日本人のヤマシタ・キョウコさんは10代の時に地球の反対側のロサンゼルスに引っ越すことになった時、父にふたつのお願いをした。歯列矯正と、クルマの運転免許だ。そこから彼女とクルマ、そしてクルマ文化との恋は始まって、大人になりマーケティングの専門家となっても影響し続けている。いまでも自他ともに認めるカーマニアなのだ。

 ロサンゼルスと東京を往復して育ったヤマシタさんは定期的に日本の首都へ戻ってきて、ここから彼女の夢のドライブが始まる。

「箱根ターンパイクまで約90分かけてドライブする前に、東京で早朝に友だちと会ってコーヒーを飲むのが好きです。これが私の一番お気に入りのドライブ旅行のスタートの仕方ですね。それほど頻繁にはドライブできないので、週末の計画を練るのが楽しいんです」

 箱根ターンパイク(正式名:アネスト岩田ターンパイク箱根)は、日本で最も有名な「峠」のひとつで、今日ではチューニングやドリフト文化の代名詞といえる山道だ。それと同時に、首都圏を脱出して自然に触れたいと思う人々に人気のある観光地でもある。このエリアは温泉が有名で、冠雪した壮大な富士山を眺めながら週末の休みをリラックスして過ごそうと、都会の人たちは箱根までドライブに出かけるのだ。

●日本のミニ・ニュルブルクリンク

 ヤマシタさんは箱根ターンパイクの魅力をこう語る。

「道そのものは短くて、約14kmほどなのですが、民間の有料道路なのでそれほど混まないです。週末になるとクルマやバイクの愛好家が集まってくるけれど、それでもひどく混雑することはないですよ。双方向の道だけど、多くの人が日本のミニ・ニュルブルクリンクと呼んでいますよ」

 東京の南西およそ100kmに位置する箱根ターンパイクは整備が行き届いていて、標高差1000m以上の山道には定期的に休憩所が配置され、山頂の展望台ではカフェテリアで軽食やコーヒーをとってから旅を続けることができる。大自然に囲まれて富士山を眺めることができる景勝地なのだ。それだけでなく、日本の自動車・バイクメディアのロケ地でもあり、新製品を導入する前のメーカーやサプライヤーもここでテストをおこなう、まさに聖地といえる。

■ポルシェをドライブすることは、「禅」に通じる

 ヤマシタさんは続ける。

「超ツイスティでもないし高速コースでもないけれど、とてもなめらかで、長くて大胆なコーナーに満ちています。アルプスの峠道ほど厳しいものではなく、十分にチャレンジングでありつつ、もう少しリラックスして走れると思います。ブラインドコーナーがいくつもあり、途中には高架橋のセクションもあるので、山を登りながら高さを実感することもできます」

 箱根ターンパイクの料金は、東京から小田原厚木道路を経て小田原側から入ると片道730円。同じゲートから帰ると往復1460円となる。また、路面が凍結する真冬の一時期を除いて年中無休だが、営業時間は早朝の5:30から22:30までとなっている。

 ヤマシタさんが勧めるのは、春か秋にドライブすることだ。

「いくのにベストな季節は、桜の花が咲き始める春。これは日本を象徴するイメージのひとつですね。でも秋も、驚くほど多彩な色があって、どこでも美しい紅葉を楽しめますよ」

●987ケイマンSから始まったヤマシタさんのポルシェ歴

 ヤマシタさん自身の愛車は現在カリフォルニアにあり、今回のドライブのお供となった最新型718ケイマンは、彼女が最初にポルシェに夢中になった頃のことを思い出させてくれたようだ。

「ロサンゼルスには『997型911ターボ』と、1988年の『930型911カレラ3.2』があって、どちらもマニュアルです。それらは私にとって特別なクルマで、それぞれ別々の理由で愛しています。

 でも、私のポルシェ歴は『987型ケイマンS』から始まったんですよ。自分にとって最初のミッドシップカーで、初めてサーキットにいったクルマでもあります。それはもう何度も何度もね。

 当時サンフランシスコに住んでいたので、ソノマ・レースウェイ、ラグナセカ、サンダーヒルにいきました。そのクルマは4年ほど持っていて、手放すのは本当につらかったです! あのミッドエンジン車ならではのドライブフィールが好きだったので、箱根ターンパイクのような道では私の好みはこの718ケイマンですね。再び6気筒を積んだ『718スパイダー』も良いかもしれません」

 箱根ターンパイクの片道は30分もかからないが、もし同じ道を引き返したくないと思った場合は、有料道路の反対側のゲート(片道150円)から出て、様々な代替ルートを選ぶことができる。芦ノ湖スカイラインや箱根スカイライン、ジグザグな静岡県道401号線(御殿場箱根線)などがあるし、節約したければ箱根新道から小田原へ下ることもできる。

「私はいつも南へ40-50km移動して、伊豆半島までいきます」とヤマシタさんは語る。「早咲きで有名な“河津桜”が川沿いに咲き乱れるエリアがあります。時間があればそこまでドライブして南下し、週末の残りをそこで過ごします」

 ヤマシタさんにとってドライブは、刺激を与えてくれるだけでなく、リラックスさせてくれることが本質的な要素だという。ドライブ旅行にお気に入りのサウンドトラックはあるか聞いてみたところ、興味深い答えが返ってきた。

「音楽は大好きなのですが、クルマを運転することは私にとって一種のセラピーなんです。以前は私も音楽をかけずにはいられないドライバーでしたが、今は、前の道に集中して風景を楽しむようになりました。

 日本に帰ってきて東京の雑踏から離れる機会があると、ドライブは私にとって、まさに“禅”なんです。エンジン音がアドレナリンを放出して、その瞬間に存在していることのバランスと流れが好きなんですよ」

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