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スーパーカーの概念を一変 ホンダNSX(初代) V6 VTECをミドシップ 英国版中古車ガイド

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スーパーカーの概念を一変 ホンダNSX(初代) V6 VTECをミドシップ 英国版中古車ガイド

既成概念を打ち破ったスーパーカー

自分はスーパーカーとは無関係だ、とお考えの読者も多いと思う。確かに、試乗記などで紹介される高額の最新モデルは、別の世界の乗り物に思えてしまうことも理解はできる。

【画像】スーパーカーの概念を変えた 初代ホンダNSX 2022年で生産を終ええる2代目も 全52枚

実際、現実の道路環境では、ベーシックなフォルクスワーゲン・ゴルフでも、スーパーカーと大きくは違わない時間で目的地へ到着できる。運転する喜びは、手頃なマツダMX-5(ロードスター)でも不足なく得られる。

アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオやテスラ・モデル3 パフォーマンスでも、感動するような動力性能を堪能できる。そのいずれも、価格が法外ということはない。

しかし、そんな人でも初代ホンダNSXなら身近に感じられるのではないだろうか。30年以上前に、われわれの既成概念を打ち破ってくれた、日本生まれのスーパーカーだ。多くの自動車メーカーへ、小さくない影響を与えた傑作だ。

NSX登場以前のスーパーカーは、運転しにくかった。ドライビングポジションは不自然で、トランスミッションは扱いにくく、パワフルなエンジンも気分屋だった。

週末の街なかで、くさび形のシルエットを目にすることができれば、ラッキーと思えた時代だった。だが、そんなクルマでロードサービスの助けを借りずに長距離旅行を終えることができれば、ラッキーな時代でもあった。

ボディもV6 VTECエンジンもアルミ製

アルミ製ボディのNSXが際立っていたポイントは数多い。運転席からの視界に優れ、市街地でも運転が簡単で、一般道でもパワートレインは素直だった。長距離を運転しても、故障を心配する必要もなかった。

所有する喜びだけでなく、現実世界で運転する喜びを与えてくれたスーパーカーだった。そんな初代NSXの発売は、1990年にさかのぼる。

軽いボディの中央に、初期型は高回転型のオールアルミ製3.0L V型6気筒エンジンを搭載。可変バルブタイミング機構、VTECが採用され、鋭いレスポンスを実現していた。自然吸気ながら最高出力280psを発揮し、0-100km/h加速5.5秒の能力を備えていた。

トランスミッションは、滑らかに変速できる5速マニュアルと、4速オートマティックから選択が可能。最高速度は257km/hが主張された。

当初はクーペだけだったが、1995年にタルガルーフのタイプTが登場。1997年には大きなマイナーチェンジを受け、V6エンジンは3.2Lへ拡大。6速MTが組まれるようになっている。

2001年末にはトレードマークの1つだったリトラクタブル・ヘッドライトが廃止され、固定式に。145kg軽量化され、専用のステアリングやサスペンションなどが与えられた、NSX-Rも発売された。多くの改良が加えられながら、2005年まで生産は続いた。

ホンダ・ブランドを強く輝かせたNSX

4速ATのギア比に不満が出たことも事実だが、どのNSXを選んでも、スリリングなドライビング体験は共通している。タルガルーフなら、オープンエアも楽しめる。

技術的にも先進的で、素晴らしい操縦性にその成果が表れていた。特に強固なアルミ製シャシーは、革新的なものだった。サスペンションのウイッシュボーンもアルミ製で、コンロッドにはチタンが用いられるなど、通常のホンダとは一線を画す成り立ちだった。

熟成された、優雅なスーパーカーといえた。多くの競合メーカーに刺激を与え、ホンダというブランドを強く輝かせる存在でもあった。

信頼性に定評のあるホンダだけに、同年代の高性能モデルとは異なり、30年後にオーナーになっても面倒なトラブルに悩まされる可能性は低い。ただし、価値が認められ近年は価格も上昇傾向にある。思い立ったのなら、実行は早い方が良いだろう。

新車時代のAUTOCARの評価は

速くてスタイリッシュ。NSXには欧州のスーパーカーへ挑戦するために必要な、すべてが揃っている。ドライビングポジションに優れ、運転席からの視界も素晴らしい。

トルクが不足気味で、静止加速や中間加速はややもの足りないものの、フェラーリ348より最高速度は上回る。優れたエンジンとレスポンスの良いシャシーが組み合された、刺激的なドライビングマシンだ。しかも安定性も高い。

NSXは、多くの条件でフェラーリを打ち負かすことができる、現実世界のスーパーカーといえるだろう。(1990年12月19日)

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

しっかり整備されてきたかどうか、履歴を見て確かめたい。エンジンオイル漏れは珍しくない。バルブカバー・ガスケットやシール、ソレノイド付近が湿っていないか確かめる。

VTECがカムを切り替える際、異音が出ないか確かめたい。滑らかに動き、エンジンの温度に関わらず通常はノイズを出さない。

タイミングベルトとプーリー、ウォーターポンプは、英国では11万2000km毎の交換が指定されていた。リザーバータンクなどからのクーラント漏れにも注意したい。

トランスミッション

MTのクラッチは約8万km使える。ニュートラルの状態でクラッチペダルを踏み込むと、インプットシャフト・ベアリングからノイズが出ていないか確認できる。

1992年式までのNSXでは、シフトレバーに緩みが出たり、トランスミッションからノイズが生じることがある。走行中にシフトが抜ける場合は、スナップリングやサークリップの劣化かもしれない。可能なら購入は避けたいところだ。

サスペンションとブレーキ

サスペンションは耐久性に優れるが、アルミ製のウイッシュボーンは衝撃に弱い。交換部品も高い。ブッシュやボールジョイント、ベアリングなどは、サーキット走行を重ねると傷みも早い。タイヤが偏摩耗している場合は、アライメントが狂っている証拠。

エンジンスタート時にABSユニットからうなりが聞こえるが、正常ならすぐに収まる。ブレーキディスクは、5万km程は使えるだろう。

ボディ

アルミ製ボディは安く修復できない。フロントバンパーは樹脂製だが、こちらも高価。アルミは加工が難しく、技術が求められる。パテ盛りや部分的な塗装が施されていないか、良く観察したい。

ボディパネルやドアの隙間は、きれいに揃っているのが正解。フロントガラス周辺など、ラバーモールの状態もチェックポイント。可能ならカーペットなどをめくり、ボディの接合部分を観察したい。

電気系統とインテリア

初期のステレオユニットは故障しやすい。社外品への交換は簡単ではないようだ。センターコンソールは樹脂にゴムコーティングされているが、擦れて剥がれてくる。パワーウインドウのレギュレータは故障しがち。ドアハンドルの状態も確かめたい。

エアコンが正常に機能しているか確認する。タルガルーフの場合、取り外せるパネルの状態を確かめる。走行距離が長いほど、シートのサイドサポート部分は磨り減る。

専門家の意見を聞いてみる

ニール・ショー氏:NSXオーナーズクラブ会長

「これまで日本から輸入した2台のタイプRなども含めて、前期から後期まで15台くらいのNSXを所有してきました。現在は、2001年式と2005年式を所有しています」

「NSXのようなクルマは、他にありません。ポルシェとフェラーリも所有していますが、場面を選ばない優れたパッケージングは、NSXならではでしょう」

「これまでで1番のお気に入りは、2004年式のタイプRタイプでしたね。とても速く、サウンドも素晴らしかった。普通のNSXとは、大きく異るクルマでしたよ」

英国ではいくら払うべき?

4万ポンド(約640万円)~4万9999ポンド(約800万円)

主に初期型の4速ATが中心となるが、比較的さまざまなNSXを英国では探せる価格帯。多くがしっかりメンテナンスを受け、大切に乗られてきたようだ。

5万ポンド(約801万円)~6万9999ポンド(約1120万円)

走行距離が短めの、状態の良いNSXを狙える。ディーラーや専門ガレージでの整備記録がしっかり残るかどうか確認したい。可能なら純正状態がベター。内装などが補修済みの例もある。

7万ポンド(約1121万円)以上

走行距離の短い、極上コンディションのNSXを英国では探せる。フェイスリフト後のモデルが増える。多くが丁寧にレストアされるか、純正状態を保っているようだ。

英国で掘り出し物を発見

ホンダNSX(英国仕様) 登録:1991年 走行距離:6万1100km 価格:8万9995ポンド(約1440万円)

オリジナルペイントの艶が残る、走行距離が短い素晴らしい状態のNSX。3オーナー車で、これまで雨の日には乗られていないという。殆どの期間を屋根付きガレージで過ごしてきた。ホンダの正規ディーラーで、都度メンテナンスを受けてきたという。

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