最新のトヨタデザインに、最新のプラグインハイブリッドシステムを搭載する新型RAV4を公道初試乗。荒れ気味の路面あり、渋滞ありと評価のステージとしては少しばかりシビアな首都高速道路で、その進化を実感することができた。「稀代の不思議ちゃん」は今や、クラウンやカローラなどとともに「TOYOTA」を世界的に代表するコアモデルのひとつとして、最先端を走っている。(写真:井上雅行)
「都会派」がやっぱり気持ちいい!? 自由なライフスタイルをサポート
振り返れば1994年に登場した初代「RAV4」は、不思議な存在だった。4WDと密接に結びついた「RV(レジャービークル)」と言えば、ランドクルーザーやハイラックス、パジェロといったいわゆるクロスカントリー系オフローダーのことで、これが当時の主流だった。思い返してみれば、「都会派」の「オフローダー」という位置づけはずいぶんと中途半端で曖昧に感じられたものだった。
ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
一方で都会派RVというポジショニングは、「自由で気まま」という新しい価値観をダイレクトに体現するものだった。だからこそ初代RAV4は、ジャンルという垣根を超えていく。アウトドアシーンにもアーバンユースにも似合う機動性と実用性を備え、自分が一番気持ち良くなれるアクティブなライフスタイルを徹底的に楽しみたい、という層に大いに受け入れられたわけだ。
同時に初代RAV4は、若者向けのクルマとして新たなエントリーカーのスタイルを提案していたようにも思える。「スポーツカー=楽しいクルマ」という定石から、もっとシンプルに所有する楽しさ、乗り回す悦びを備えた「スポーティカー」の新しいカタチといったところだろうか。クルマとしてちょうどいい感じの「高性能」が、走り屋系に対するそれとはまた違う憧れ感をくすぐってくれた。
そんないろいろな意味でのエポックメイカーが30年ちょっとの時を経て、第6世代へと進化した。北米を主力市場としてきたこともあってか、どんどん大きく、立派な設えに育ってきたことは間違いない。都会派RVが「SUV」へと再定義される中で、ライバルが次々に現れ、同じトヨタブランドの中でも弟分や兄貴分が増えてきたのだから、上級シフトは当然だ。
それでも新型RAV4は「やっぱりRAV4」だった。近年のトヨタデザインのお作法をしっかり採り入れながら遊び心を忘れないスタイリングしかり、最新世代のPHEV採用による優れた走行性能やレジャーシーンで活躍する給電性能しかり。初代以来の「どこへでも行けそう、なんでもできそう」というバリューは、時代の変化に寄り添いながらしっかりグレードアップされている。
先進性にあふれるデザイン。実用性でもクラス随一
内外装のデザインは、「今どきのトヨタ車」であると同時に、直線を基調とする先進性をわかりやすくアピールするもの。とくにエクステリアは、クラウン エステートを継ぐ流れでまとめられている。エッジの効いたシルエットと、厚みたっぷりのハンマーヘッドマスクのコンビネーションはなかなかの迫力だ。
ボディサイズは全長4600~4645×全幅1855~1880×全高1690mmで、ベースグレード「Z」は先代とほぼ同サイズ、上級モデル「GR SPORT(GRスポーツ)」は先代のAdventureに対してわずかに拡大された。ホイールベースは2690mmで変わらず、基本的に取り回しは良さそうだ。
インテリアも水平基調のラインの積層で構成され、先進性や機能性を強く感じさせている。ドアインナーのほかソフトパッドが配されているので、けっして無機質な印象ではない。
ことさら目を惹くのは、インパネセンターにドーンと構えた12.9インチの大型タッチディスプレイだろう。その隣に12.3インチのTFTカラーメーター、さらにカラーヘッドアップディスプレイも備わるなど、ドライバーが受け取る情報量の豊富さはそうとうなものだ。
ルームミラーはデジタルインナーが標準、シフトはワンアクションで直感的な操作を可能にしたエレクトロシフトマチックを備える。インテリアに関しては総じてアウトドアなテイストが薄めで、都会派の方が勝る。置くだけ充電に加え、トヨタとしては初めて設定された15W/PD対応45Wの充電用USB端子も便利な新装備だ。
スクエアなシルエットのおかげもあってか、荷室空間はやはり広い。デッキボードを下段にセットした際のラゲッジスペース容量は、最大749Lを確保する。2名乗車時の荷室奥行は1806mm、高さも最大933mmとゆとりたっぷりだ。トヨタSUVラインナップのポジショニング的には、今や絶版となったCH-Rのユーザーも乗り換えのターゲット層となりそうだが、この広い荷室はそうとう嬉しいアドバンテージになるはずだ。
新世代PHEVシステムで、兄貴分に勝るパフォーマンスを実現
なんとっても、新型RAV4の真骨頂はその走り。すべてが最新の、第六世代トヨタPHEVテクノロジーを搭載していることにある。エネルギー効率は世界トップレベル、大容量バッテリーの搭載と合わせて、力強い走りと従来のシステムを大きく凌ぐEV航続距離を実現した。
トヨタのPHEVラインナップの頂点に立つクラウンスポーツRS(第五世代PHEVシステム搭載)と比べても、そのアドバンテージは明らかだ。
システム最高出力は329ps(クラウンスポーツ RS比:+23ps)、駆動用のリチウムイオンバッテリーは58Ah(同+7Ah)、WLTCモードEV走行換算距離は約150km(同+約60km)、WLTCモード燃費は22.2km/L(同+2.1km/L)に達する。そうとうな期待感を抱きながら、試乗に臨んでもいいスペックと言えるだろう。
試乗コースは、東京文京区のトヨタ自動車 東京本社を基点に、首都高速5号大黒線の大黒パーキングエリアで試乗車を乗り換えて往復する。往路はRAV4 Zで横羽線を使い、復路はGR SPORTで湾岸線からアプローチしてみた。
交通状況はところどころで渋滞が発生、デフォルトのドライブモードではエンジンがかかることはなく、モーターのみで走ることになった。クラウンスポーツでも感じたことだけれど、トヨタPHEVのEVモードはパワーフィールが絶妙に自然で力強い。
新型RAV4(Z)の場合は車両重量が約30kgほど軽いこともあってか、ことさら自然な加減速感が印象に残った。重量、サイズなどクラウンスポーツの「格上」感はともすれば重厚感を伴うけれど、RAV4の身のこなしはよりしなやかで潔い。といっても「軽々しい」のではなく、ほどよく粘る感触もある。
上屋とフロアまわりの「硬さ」のバランスもいい感じだ。路面状況によっては若干のヒョコヒョコ感が伝わってくるが、乗り心地はおおむね良好。ロードノイズや風切音まで含め、総じて快適性は非常に優れていると言っていい。
単なる「操る楽しさ」ではなく、「最適解」をつきつめたGR SPORT
その印象は、GR SPORTに乗り換えても変わらなかった。というより、乗り味の「丸み」に関してはZに勝るとも劣らないレベルにあることに驚かされた。
求められる減衰力を最適制御する専用設定のサスペンションチューニングやGRパフォーマンスダンパー、剛性アップパーツGRブレースなどの「強化」策は、ともすればハード志向の乗り味を予想させる。だが、意外やそれらがより上質な「しなやかさ」につながっているように思えた。
約20mm拡大されたトレッドなど、さまざまな専用装備はどちらかと言えば、「最適に調律」するための上級アイテム、と考えた方が良いのかもしれない。こと乗り心地の良さに関しては、1本あたり2.2kg軽い専用アルミホイール採用によるバネ下重量の軽さも効いているのだろう。
新型RAV4はさまざまな意味で、トヨタの「電動化」が新しいステージに入ったことを、実感させてくれた。従来のトヨタ ハイブリッドカーユーザーにも、効率を極めた「プラグインハイブリッド」の万能感をぜひ、体験してみて欲しいものだ。
もちろん、電動化モデル初心者にも違和感の少ない乗り換え候補としておススメしたい。RAV4というブランドが時代ごとに提案してきた「折々の自由な気ままさ」が、最先端の電動化技術とともに到達した魅力の粋は、とってもスマートでかなり刺激的だ。
[ アルバム : 新型RAV4 はオリジナルサイトでご覧ください ]
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