現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 「4」ではなく「5」を名乗る真の理由とは? アウディの新たな主力「A5/S5」の全方位的進化ぶりを探る

ここから本文です

「4」ではなく「5」を名乗る真の理由とは? アウディの新たな主力「A5/S5」の全方位的進化ぶりを探る

掲載 更新 1
「4」ではなく「5」を名乗る真の理由とは? アウディの新たな主力「A5/S5」の全方位的進化ぶりを探る

もはやその存在感は「A5」というより「A5.5」

長らくアウディの保守本流であったミドル級セダンは、「A4」から「A5」へリプレイスされた。従来型のA5はクーペ的なキャラクターだったが、A4の実質的な後継という役割も担う新型の持ち味を探ってみた。

BMW新型「M2 CS」は50馬力アップ&30キロ軽量化! 0-100キロ加速ついに4秒切りを果たしたアスリートの驚異のスペックとは

【画像23枚】伝統的アウディの魅力は継承しつつも全方位的に進化した「A5/S5」の詳細を見る

スタイリッシュにして実用性もハイレベル

2007年に登場したA5は、アウディA4をベースとするミッドサイズクーペだった。その後、ソフトトップを備えたカブリオレや、4ドア(厳密には5ドアだが)クーペの“スポーツバック”が追加。A4よりもスタイリッシュなクルマとして人気を集めてきた。2016年に登場した2代目A5もその路線を受け継いだが、最新の3代目で一変し、セダンとステーションワゴンの“アバント”というボディ展開になった。

それと同時に、アウディのラインナップからA4が消滅。これはアウディが少し前から取り組んでいたモデルシリーズの再編計画によるもので、名前の数字が偶数のモデルをBEV(電気自動車)、奇数をICE(内燃機関車)とし、手始めにA4とA5を統合して生まれたのが新型A5である。その際にクーペやカブリオレ、スポーツバックが姿を消し、セダンとアバントが残ったというわけだ。

ただ、この話には続きがあって、アウディは今年に入って、偶数がBEV、奇数がICEという命名法を撤回し、A4とA5だけが混乱に巻き込まれる結果となった。

しかし、そんな不運を吹き飛ばすくらい、新型A5には期待が膨らむ。アウディが新たに開発した縦置きエンジン用プラットフォーム「PPC(プレミアム・プラットフォーム・コンバッション)」を採用する新型A5にはさまざまな新技術が搭載され、さらに一新されたデザインや画期的なコクピットなどにより、すべてが新しいクルマに生まれ変わったからだ。

個人的に注目したいのがセダンのデザイン。旧A4セダンが通常のトランクリッドを備えていたのに対して、新しいA5セダンでは、リアウインドーごとガバッと開くリアハッチを搭載している。サッシュレスドアは採用していないが、旧A5スポーツバックの機能性を受け継いだのは歓迎すべきで、これならA5を名乗るのも納得がいく。

ボリューム感を増したボディも新型A5の特徴のひとつ。旧A4に比べて全長は65~75mm、ホイールベースは70mm拡大しており、上級モデルのA6に迫る存在感だ。A5どころか“A5.5”と言いたいくらいの成長である。

シングルフレームグリルが備わるフロントマスクは、ひと目でアウディとわかるデザインだがグリルとボンネットが離れ、これまで以上にシングルフレームグリルが目立つのが新鮮である。

フラップタイプのドアハンドルは内側に触れるだけでドアが開く仕組みで、室内を覗くと、これまでとはまったく別の世界が広がっていた。大きく弧を描くMMIパノラマディスプレイと、助手席のMMIパッセンジャーディスプレイによって、コクピットは様変わりしていたのだ。

物理スイッチがほとんどないのが最近のトレンドだが、A5ではライト類のスイッチがダッシュボードからドア側に移されたため、運転中に操作しにくいのが気になる。まあ、いまどきのライトはオートのままで事足りることを考えると、騒ぐほどの問題ではないのだが。

運転席から後席に移ると、旧A4よりもホイールベースが伸びたこともあって、足元は広く、膝と前席のあいだには拳2~3個ぶんのスペースを確保。身長168cmの私の場合、パノラマグラスルーフが装着されるセダンでも、頭上には拳1個ほどの余裕がある。

ラゲッジスペースは、セダン、アバントともに奥行きは110cmほどで、シートを倒せば170cm以上に拡大することが可能だ。リアハッチ、またはテールゲートを備えるおかげで、荷物が簡単に出し入れできるのもうれしいポイントとなる。ただしセダンはともかく、アバントであっても、リアの開口部と荷室のフロアのあいだに約10cmの段差があって、大きな荷物を引きずり出す際に妨げとなるのはいただけない。

MHEVプラスの機能は本格ハイブリッド級?

新型A5には、150㎰または204㎰の2L直4直噴ガソリンターボエンジンと、204㎰の2L直噴ディーゼルターボが用意されていて、駆動方式は150㎰のガソリンがFF、他はクワトロと呼ばれる4WDになる。今回試乗したのは204㎰のガソリンエンジンとクワトロを組み合わせたA5 TFSIクワトロSラインのセダンとアバントで、どちらもデュアルクラッチギアボックスの7速Sトロニックが搭載される。

さっそくセダンのステアリングを握りクルマを発進させると、2.0TFSIは低回転からトルク十分で、ターボラグを感じさせない素早い反応を示すから実に扱いやすい。マイルドハイブリッドシステムは非搭載ながらも、可変タービンジオメトリーターボがこの特性に寄与しているのだろう。アクセルペダルを踏み込めば4000rpmから勢いを増し、スポーティな走りもお手のものだ。

オプションのダンピングコントロールサスペンションが搭載された試乗車では、同じくオプションとなる20インチタイヤは重たい印象があるものの、乗り心地は穏やかで、それでいて走行時の挙動は落ち着いており、絶妙なバランスを誇る。ワンディングロードを走らせると、見た目から想像する以上に軽快なハンドリングを示し、コーナーでのアンダーステアも軽微。旧A4/A5同様、縦置きエンジンレイアウトを採用するアウディらしさは、この新A5にも確実に受け継がれていた。

同じパワートレインを積むA5アバントも、走りの印象に変わりはなく、快適さとスポーティさを両立した走りが実に好ましい。

さらにこの日はスポーツモデルのS5アバントも試すことができた。このクルマには、3L V6ガソリンターボエンジンの3.0TFSIが搭載され、7速Sトロニックとクワトロによって367㎰のパワーが解き放たれる。加えて、「MHEVプラス」と呼ばれる新開発のマイルドハイブリッドシステムが搭載されるが、その働きには驚くばかりだった。

たとえば、S5アバントの発進はモーターが担当し、追ってエンジンが始動する。走行中にアクセルペダルを緩めると、条件によってはエンジンが停止したまま惰力走行を行ない、そこから軽くアクセペダルを踏むと、モーターだけで加速を行なうのだ。これまでのマイルドハイブリッドシステムではモーターのみの走行ができなかったが、このMHEVプラスはそれが可能で、“ほぼストロングハイブリッド”と言える内容なのだ。

残念ながら、これがどの程度、燃費向上に貢献するかは今回チェックできなかったが、加速時の素早さや力強さにつながっているのは確か。3.0TFSI自体も排気量が大きいぶん低回転からトルクに溢れ、ほぼフラットなトルク特性により、どこからでも爽快で、勢いのある加速が楽しめる。

さらにこのクルマの印象を良くしているのが、レベルの高い走り。ダンピングコントロールSスポーツサスペンションを標準装着するS5アバントは、バランスド・モードを選ぶかぎりは姿勢変化を抑えた落ち着いた動きを見せながら、乗り心地は実に快適。サスペンションの動きはA5よりもしなやか思えるほどだ。

一方、ワインディングロードでは、ロールを抑えた安定感のあるコーナリングが楽しめる。そのうえ、ハンドリングはアンダーステア知らずで、コーナー途中でアクセルペダルを踏む右足に力をこめると、リアのアウト側のタイヤに押される感覚をともないながらクルマが向きを変えていく。S5アバントには、コーナリング時にリアのアウト側のトルクを増すリヤスポーツディファレンシャルが標準で装着されており、その効果は絶大である。

ひととおり試乗を終え、先代のA4やA5、S5と比べて、あらゆる面で大きな進化が感じ取れた新型A5とS5。アウディのミッドサイズセグメントに、新たな時代の幕開けをもたらすモデルの登場といっていいだろう。

【Specification】アウディA5 TFSIクワトロ150kW
■車両本体価格(税込)=6,810,000円
■全長/全幅/全高=4835/1860/1455mm
■ホイールベース=2895mm
■トレッド(前/後)=1625/1615mm
■車両重量=1800kg
■エンジン型式/種類=DWZ/直4 DOHC 16V+ターボ
■内径×行程=82.5×92.8mm
■圧縮比=12.5
■総排気量=1984cc
■最高出力=204ps(150kw)/4300~6000rpm
■最大トルク=340Nm(34.7kg-m)/2000~4000rpm
■燃料タンク容量= 60L(プレミアム)
■燃費(WLTC)=13.2km/L
■トランスミッション形式=7速DCT
■サスペンション形式=前後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:225/55R17

【Specification】アウディA5アバントTFSIクワトロ150kW
■車両本体価格(税込)=7,060,000円
■全長/全幅/全高=4835/1860/1470mm
■ホイールベース=2895mm
■トレッド(前/後)=1630/1625mm
■車両重量=1820kg
■エンジン型式/種類=DWZ/直4 DOHC 16V+ターボ
■内径×行程=82.5×92.8mm
■圧縮比=12.5
■総排気量=1984cc
■最高出力=204ps(150kW)/4300~6000rpm
■最大トルク=340Nm(34.7kg-m)/2000~4000rpm
■燃料タンク容量=60L(プレミアム)
■燃費(WLTC)=13.1km/L
■トランスミッション形式=7速DCT
■サスペンション形式=前後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:225/55R17

【Specification】アウディS5アバント
■車両本体価格(税込)=10,600,000円
■全長/全幅/全高=4835/1860/1450mm
■ホイールベース=2895mm
■トレッド(前/後)=1625/1615mm
■車両重量=1990kg
■エンジン型式/種類=DWV-4451-ECR/V6 DOHC 24V+ターボ
■内径×行程=84.5×89.0mm
■圧縮比=12.0
■総排気量=2994cc
■最高出力=367ps(270kW)/5500~6300rpm
■最大トルク=550Nm(56.1kg-m)/1700~4000rpm
■燃料タンク容量=60L(プレミアム)
■燃費(WLTC)=13.3km/L
■トランスミッション形式=7速DCT
■サスペンション形式=前後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク/Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:245/40R19

【画像23枚】伝統的アウディの魅力は継承しつつも全方位的に進化した「A5/S5」の詳細を見る

【問い合わせ先】アウディジャパン TEL:0120-598-106

※「ル・ボラン」2025年6月号より転載

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

なぜプジョーは「GTi」を電動化したのか?「e-208」からの“深化”に隠された、ブランドの覚悟と挑戦
なぜプジョーは「GTi」を電動化したのか?「e-208」からの“深化”に隠された、ブランドの覚悟と挑戦
LEVOLANT
最強のオールラウンダーはどれだ? アウディのプレミアムミドル「A5アバント/S5アバント/SQ5」を徹底比較【自動車業界の研究】
最強のオールラウンダーはどれだ? アウディのプレミアムミドル「A5アバント/S5アバント/SQ5」を徹底比較【自動車業界の研究】
LEVOLANT
【徹底レビュー】ヒョンデの新型EV「インスター」は驚異の実電費! 800キロ試乗で洗い出した○と×
【徹底レビュー】ヒョンデの新型EV「インスター」は驚異の実電費! 800キロ試乗で洗い出した○と×
LEVOLANT
BMWをお洒落に乗りこなしたい人におすすめしたい「420i グランクーペ M Sport」の魅力
BMWをお洒落に乗りこなしたい人におすすめしたい「420i グランクーペ M Sport」の魅力
@DIME
強みは信頼性と顧客対応力 誕生 トヨタ・アーバンクルーザー スズキが開発主導の新型EV
強みは信頼性と顧客対応力 誕生 トヨタ・アーバンクルーザー スズキが開発主導の新型EV
AUTOCAR JAPAN
【デザイン解剖】新型「日産リーフ」の「Cd値0.26」の秘密とは? 徹底した「空力至上主義」が生んだ機能美
【デザイン解剖】新型「日産リーフ」の「Cd値0.26」の秘密とは? 徹底した「空力至上主義」が生んだ機能美
LEVOLANT
【10年ひと昔の新車】7代目に進化したフォルクスワーゲン ゴルフは、乗ればその違いは明白だった
【10年ひと昔の新車】7代目に進化したフォルクスワーゲン ゴルフは、乗ればその違いは明白だった
Webモーターマガジン
SUVもメガでいっちゃう? デカイだけじゃない自衛隊も採用するトヨタ メガクルーザーの凄さ!
SUVもメガでいっちゃう? デカイだけじゃない自衛隊も採用するトヨタ メガクルーザーの凄さ!
ベストカーWeb
【電動ワーゲンバスが888.9万円から】フォルクスワーゲンが電動ミニバンの「ID.Buzz」を発表、本日より販売開始!!
【電動ワーゲンバスが888.9万円から】フォルクスワーゲンが電動ミニバンの「ID.Buzz」を発表、本日より販売開始!!
LEVOLANT
BYD「シーライオン7」を乗り比べ! 内燃機関に慣れた人にはAWDよりもRWDのほうがオススメ!? アルファ ロメオらしいラインの理由とは?
BYD「シーライオン7」を乗り比べ! 内燃機関に慣れた人にはAWDよりもRWDのほうがオススメ!? アルファ ロメオらしいラインの理由とは?
Auto Messe Web
プジョー 205GTiが「史上最高のホットハッチ」である10の理由
プジョー 205GTiが「史上最高のホットハッチ」である10の理由
Webモーターマガジン
乗ってわかった、日産「第3世代e-POWER」の真価! 発電エンジン刷新で走りはどう変わった?
乗ってわかった、日産「第3世代e-POWER」の真価! 発電エンジン刷新で走りはどう変わった?
LEVOLANT
日産の“本気”を注入!新型「リーフ」世界初公開 ブランド初採用の新機能に注目!
日産の“本気”を注入!新型「リーフ」世界初公開 ブランド初採用の新機能に注目!
グーネット
【価格は4200万円】アルピーヌ「A110」究極の形「A110Rウルティム」受注開始! レーシング技術とカスタムメイドの融合とは?
【価格は4200万円】アルピーヌ「A110」究極の形「A110Rウルティム」受注開始! レーシング技術とカスタムメイドの融合とは?
LEVOLANT
【スクープ】メルセデスAMG初の独自開発スーパーSUVとなる「GT SUV」は1000馬力オーバーか!?
【スクープ】メルセデスAMG初の独自開発スーパーSUVとなる「GT SUV」は1000馬力オーバーか!?
LEVOLANT
【速報】新型アウディ「Q3」が世界初公開! コンパクトSUVの新たなベンチマークを打ち立てる
【速報】新型アウディ「Q3」が世界初公開! コンパクトSUVの新たなベンチマークを打ち立てる
LEVOLANT
VW新型「ID. Buzz」発表! “3列6人/7人乗り”の「めちゃ広ッ空間」&懐かしい「レトロ風デザイン」採用! 「フラット床面」で車中泊もできそうな「電動ミニバン」発売!
VW新型「ID. Buzz」発表! “3列6人/7人乗り”の「めちゃ広ッ空間」&懐かしい「レトロ風デザイン」採用! 「フラット床面」で車中泊もできそうな「電動ミニバン」発売!
くるまのニュース
オラオラ顔でアウディリングが光る!! 新型Q3はまたまた日本で大ヒットの予感!!!
オラオラ顔でアウディリングが光る!! 新型Q3はまたまた日本で大ヒットの予感!!!
ベストカーWeb

みんなのコメント

1件
  • あいたろしょたろパパ
    純正ナビがMIB2.5から3に変わったとき、アルパインになってめちゃくちゃ改悪されたけど、MIB4はどうなのかな?少しは良くなっていて欲しい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1207 . 5万円 1254 . 8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

238 . 0万円 595 . 0万円

中古車を検索
マセラティ クーペの買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1207 . 5万円 1254 . 8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

238 . 0万円 595 . 0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村