もはやワゴン系のマストアイテムとなっているスライドドア。今ではさまざまなアイデアも盛り込まれ、装備していることが当たり前のようになっているが、当初はアッと驚くような斬新なものもあった。そんなスライドドアの可能性を広げたパイオニアとは?
文/木内一行、写真/スズキ、ダイハツ、トヨタ、ホンダ、日産、三菱自動車、CarsWp.com
いまやあって当然!! スライドドアの可能性を広げた「先駆車」列伝
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「独創的すぎた両側センターピラーレス」 日産・プレーリー
スペースユーティリティを徹底的に追求したビッグキャビンとショートノーズの構成は、当時としてはかなり先進的なスタイルだった。パッと見は大きく見えるが、全長は約4.2mと今ではコンパクトな部類に入る
居住性と多用途性を追求しながら、クルマの基本性能を十分に兼ね備えたクルマとして1982年に登場した初代プレーリー。
まだミニバンというジャンルが確立されていなかったため日産は「ニューコンセプトカー」と表現していたが、ビッグキャビンや多彩なシートアレンジとともに注目を集めたのが乗用モデルでいち早く採用した両側スライドドアだった。
「ピラーレスフルオープンドア」と呼ばれるそれは、センターピラーレス車体構造とスライドドアを組み合わせた世界初の機構。四角いフォルムを活かした広い居住空間とともに、左右のセンターピラーを無くすことで圧倒的な解放感や高い乗降性も手に入れた。
今から40年以上も前にこんな画期的な構造を採用したプレーリーは、まさに時代を一歩リードした存在だったのだ。
「乗降性を高め、車内移動をラクにする特大の扉」 トヨタ・ポルテ
シンプルなデザインながら、アーチ型のフォルムや大きくラウンドしたフロントマスクなど、特徴的なディテールで個性が際立つエクステリア。大型の助手席スライドドアは全車に電動ワイヤレス機構が備わる
それまでスライドドアというとワンボックスカーやミニバンに採用される装備と考えられていたが、その概念は2004年に登場したポルテで覆されてしまった。
見た目はかわいらしいコンパクトワゴンといったポルテだが、革新的だったのはそのパッケージで、助手席側に大開口の大型スライドドアを採用したのだ。これにより、ひとつのドアから乗員すべてが乗り降りでき、荷物の積み下ろしも可能になった。
また、乗降口の段差をなくした300mmの地上高、大型ミニバン並みの1390mmという室内高により、スムーズな乗り降りとともに室内の移動もできる「ウォークイン・ウォークスルー」を実現。さらに、750mmのロングスライド機構を持つ助手席を採用したことで、豊富なシートアレンジも可能となった。
多様化するニーズに対応するべく生み出された、新たなスタイルといえよう。
「セミトールでも受けたいスライドドアの恩恵」 三菱・eKワゴン
セミトールのボディは初代のイメージを受け継ぎつつ、「シンプル・クリーン・ベーシック」テーマにシャープさとメリハリ感をほど良く演出。ekワゴンは親しみやすさ、ekスポーツは走りを予感させる迫力のスタイリングを演出
スライドドアは時代とともにさまざまなジャンルに普及され、ついにはセミトールワゴンの軽自動車でも採用されるようになった。
2006年に登場した2代目eKワゴンがそれで、左側リアにスライドドアを採用したグレードが登場した。
ボンネット型軽乗用車として初の電動スライドドアは、独自のインナーレール式により限られたサイズのなかで最大限の開口幅を確保。
さらに、スライド全開時でもドアが車体後端より突出しない構造とし、操作力の軽減と半ドアを防止するイージークローザーを装備するなど、安全性や操作性を高める工夫も施されている。
その一方、スライドドアの窓が開かなかったり、室内への張り出しがあるなどのネガがあることも事実。
とはいえ、セミトールスタイルながらスライドドアを採用したeKワゴンが、ユーザーの新たな選択肢になったことは間違いない。
「高い解放感と利便性を生むミラクルオープンドア」 ダイハツ・タント
超コンパクトノーズと超ビッグキャビンを強調したフォルムはタントならでは。標準車はカジュアルでモダンな印象とし、カスタムは迫力と存在感あふれるスタイリングを追求。丸みを持たせたリアクオーターウィンドウが個性的だ
圧倒的な広さと使いやすさをウリに、若いファミリー層を中心に人気を集めるタント。初代は左右すべてのドアがヒンジ式だったが、2代目では左リアにスライドドアを採用する変則的な5ドアとなった。
見どころはこのスライドドアで、ミラクルオープンドアと名付けられたセンターピラーレス構造を採用。90度近くまで開くフロントドアと合わせれば1480mmという圧巻の開口幅を実現するとともに、抜群の開放感と優れた乗降性や積載性を手に入れたのだ。
また、後席だけでなく助手席にもロングスライド機構を採用したことで、豊富なシートアレンジが可能となった。
ちなみに、3代目は両側スライドドアとなったため、左側のみスライドドアはこの2代目だけ。そして、初代プレーリーで採用されたセンターピラーレス構造は、40年以上経った今でも生き続けている。
「老若男女が助かるオートステップを標準装備」 スズキ・エブリイワゴン
極限まで広さや大きさを追求したスタイリングとし、メッキグリルの採用などにより、シャープで上質感のあるフロントマスクを創出。さすがにワンボックススタイルだけあり、写真の標準ルーフでも全高は1815mmある
さまざまな新機構や便利装備が採用されている現代では、スライドドアに付帯する装備もほぼ出尽くした感がある。
電動ステップもそのひとつで、詳しい時期は不明ながら随分前からその存在はあった気がする。ただ、軽自動車という枠のなかでそれを標準装備したのは、2015年に登場した現行エブリイが初めて。
電動オートステップは左側のみでサイズもコンパクトだが、ステップが展開されれば地上高は220mmとなり、乗り降りがいっそうスムーズになるのだ。
標準装備となるのは最上級グレードのみだが、ノア/ヴォクシーのユニバーサルステップはオプションだし、セレナはオーテック扱いの特装車に装着されるだけ。それを考えるとかなり贅沢に感じるだろう。
しかも、両側にオートクローザーだけでなく、指先で開閉できるワンアクションパワースライドドアも標準採用。軽自動車とはいえ、あなどれない充実っぷりだ。
「時代はカードもスライドドアもタッチレス」 ホンダ・オデッセイ
流麗かつ力強いプロポーションで、ボディサイズも堂々としたもの。2020年のマイナーチェンジでは風格あるスタイルはそのままに、厚みのあるボンネットや薄型ヘッドライトでより押し出し感のあるマスクになった
ロールーフミニバンとして長らく活躍してきたオデッセイ。2013年に登場した5代目では大きく方向転換し、シリーズ初の両側スライドドアを採用する上級ミニバンに生まれ変わった。
そのスタイリングは先代よりも全高が100mm以上高くなり、いわゆるフツーのミニバンに。しかし、全高を高くするとともに超低床プラットフォームを採用することで、走りの良さはそのままに広い室内空間を実現したのだ。
そして、2020年のマイナーチェンジではスライドドアに新機構が採用された。それがジェスチャーコントロールだ。
これは、ノブに触れることなく流れる光に手をかざすことで、スライドドアの開閉が行える日本初の機能。テールゲートのハンズフリーと違って手を使うのは、利便性だけでなく品格やカッコ良さも考慮したからだという。
ただ、注目度は高かったものの定着せず2023年に廃止。短命に終わってしまった。
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みんなのコメント
なぜちゃんと調べてから記事にしなかったのか。