2021年、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のDPiクラスに、アクション・エクスプレス・レーシングとのジョイントの下、アリーのスポンサードを得て48号車キャデラックDPi-V.Rをエントリーさせたヘンドリック・モータースポーツ。
NASCARにおける伝説的クルーチーフであり、現在はヘンドリックの競技担当バイス・プレジデントを務めるチャド・クナウスが、ヘンドリック独自プログラムとしてのスポーツカー参戦の可能性などについて語った。
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■「LMDhは魅力的だが、準備に1年は必要」
今季のアリー・キャデラック・レーシング48号車は、NASCARの強豪ヘンドリックでカップ・シリーズを7度制しているジミー・ジョンソン、小林可夢偉、シモン・パジェノーをドライバーに、デイトナ24時間、セブリング12時間、ワトキンス・グレン6時間、そして先週末に行われた最終戦プチ・ル・マン10時間という4つの“ミシュラン・エンデュランス・カップ”戦にエントリー(デイトナではマイク・ロッケンフェラーもドライブ)。最初のレースとなったデイトナでは可夢偉の好走もあり2位表彰台に立つなど、スポット参戦とはいえ存在感を見せつけていた。
ヘンドリックはまた、2023年にはIMSAにおけるキャデラックLMDhプログラムの一翼を担うものと噂されている。
しかしながらクナウスは、来季NASCARカップ・シリーズが“Gen-7”と呼ばれる新型車両へと移行を控える状況下において、少なくとも短期的には、ヘンドリックがIMSAでの独自オペレーションを行うことを否定している。
ジョンソンのクルーチーフとしてカップ・タイトルを7回獲得し、今季のIMSAプログラムにはレース・ストラテジストとして加わっていたクナウスは、ヘンドリックが将来スポーツカーレースへのさらなる関与を検討するかと尋ねられると「確かなことは言えない」と述べた。
「私には分からない」と彼はSportscar365に対し語った。
「来季はすべてのGen-6カーを廃止し、Gen-7カーに移行するという課題に取り組む。それは(スポーツカープログラムに)乗り出す準備ができていることを意味しない」
「LMDhは確かに魅力的だと思うが、どうなるかはまだ分からない。来年(2022年)がどうなるか、まずは見極める必要がある。そのあと、決断を推し進めることができるかもしれない」
「きちんとしたLMDhプログラムをまとめるには、1年間の準備期間が必要だと思う。我々には、まだそのための準備ができていない。少なくとも、私の考えではね」
クナウスは、チップ・ガナッシ・レーシングと並んでキャデラックLMDhをオペレートするアクション・エクスプレスとの長期的な提携の可能性を示唆している。
今季の48号車キャデラックDPi-V.R陣営には、ヘンドリックの“オーバー・ザ・ウォール”クルー(ピット作業要員)も加わっていた。
「将来的に我々がいまとまったく同じ状況(アクション・エクスプレスとのジョイント参戦)になることはない、と言うつもりはない」とクナウス。「それは、まったくもって可能だ」。
「だが、ヘンドリック・モータースポーツとして何かを引き受けて行うという意味では、我々はまだその準備ができているかどうか分からない」
「ただ、アクション・エクスプレスとの関係は非常に楽しいものだ。したがって、今年の4つのレースのように、エンデュランス・カップに再び参戦するようなことは可能だ」
「しかし、我々はまだ(完全なヘンドリック・チームとして)そこに参戦しているわけではない」
来季の48号車の参戦計画はまだ確定していないが、アクション・エクプレスとのジョイントを継続させることにメリットがあるとクナウスは信じている。
「2022年シーズンに向けたいくつかの作業がある」と彼は言う。
「まだ100%固まっているものかどうかは分からない。しかしジミー(・ジョンソン)がIMSAでレースすることを望み、アクション・エクスプレスが私をレース・ストラテジストに再びしたいと考えているのなら、私は間違いなく(彼らを)満足させることができるだろう」
「これは、我々が通常行っているレース(NASCAR)に加え、多くのレースを行うことになる。だが私としては、NASCARから出て、こちら側(スポーツカー)のストラテジストとなり、再びレースを仕切ることができるのは楽しい」
「それは、私にとっては(スポーツカーレースとの)関わりが継続することを意味するように感じる。どんな種類の業界にいても、そこから離れればすぐに痛みを忘れ、そのレーストラックで人々が経験するリアリティというものを簡単に失ってしまうものだ」
「だから、そうなれば、彼らのクルーチーフとしての私と、NASCARとの関係を保つことにもなると思う。ヘンドリックのNASCARのクルーは毎週レースをしているし、私はここでレースに携わることになる。それは良いことだ」
■初めて訪れたル・マンで「1500枚の写真を撮った」クナウス
クナウスは2021年のWEC世界耐久選手権第4戦ル・マン24時間レースを訪れていた。
その経験はクナウスによれば「とてもためになる」ものであり、将来的にはオフィシャルな立場でそこに戻ることが可能であると述べている。
「ル・マンに行き、いろいろと探索できたのは非常にクールだった。私はそこで、ただのファンだった」とクナウス。
「とてもためになった。ル・マンで1500枚の写真を撮った。素晴らしい経験だった」
「ル・マンに行く前の時点で、すでに何人かの関係者と知り合いであったのは良かったし、素晴らしかった」
「(アクション・エクスプレスの31号車でIMSAにエントリーしたフェリペ・)ナッセやピポ(・デラーニ)、その他の何人かと一緒に過ごすことができた。(ユナイテッド・オートスポーツの)ザク・ブラウンとも会うことができた。また、コルベットの人々も素晴らしかったし、彼らとしばらくの時間を過ごすこともできた」
「私はル・マンでの舞台裏がどのようなものかについて、よく分かった。驚異的な体験だったよ。たった1回のイベントの準備に費やされる努力は、気が遠くなるようなものだった。とてもクールだったし、私は本当に楽しんだ」
「WECシリーズの誰もが、両手を広げて私を歓迎してくれた。舞台裏を目にすることができたし、レースコントロールも見ることができた。フラッグスタンドにも立ったし、ピットレーンにも立つことができた。すべてを経験できたんだ!」
「見られなかったものは何もない。私にとっては本当に初めてのル・マンだったんだ。何かを初めてやるつもりなら、こういったことをことした方がいい」
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