トヨタの若手ラリードライバー育成プログラム『TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム』に参加している勝田貴元が2月13~16日に行われたWRC世界ラリー選手権第2戦スウェーデンにトヨタ・ヤリスWRCで参戦し、総合9位入賞を果たした。
スウェーデンとノルウェーを舞台とするラリー・スウェーデンは雪と氷に覆われた道路を舞台に争われる1戦だが、今年は季節外れの暖かさが続いたことでグラベル(未舗装路)が完全に露出している箇所も残るなど、例年とは異なるコンディションで争われた。
また、この暖冬の影響で走行スケジュールが何度も修正され、最終的にわずか9SSで争われる変則的な構成でもあった。
この影響で、雪道専用に開発されたスタッドタイヤも本来のパフォーマンスを十分に発揮できず、スタッドがなくならないようタイヤをいかにマネジメントするかが勝負を分ける鍵となった。
勝田はラリー・スウェーデン本来のコンディションだった2018年大会で当時のWRC2カテゴリに出走しクラス優勝を飾ったほか、フィンランド国内で行われたスノーイベントにヤリスWRCで参戦、勝利するなど、雪が多いコンディションを得意としている。
しかし、2020年大会は暖冬で例年とは違うコンディションとなったことで、勝田には新たな挑戦となるなか、競技初日に行われた全4SSで着実な走りをみせ、総合9番手を獲得する。
続く競技2日目は早朝に雪が積もったものの、気温が高くなるなど前日とは違うコンディションとなったが、勝田は安定したペースを発揮。この日行われた4SSのなかで最後のステージだったSS16では前年王者オット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)を上回るタイムを記録してみせた。
競技最終日は雨が降るウエットコンディションとなったが、全長21.19kmの最終ステージも堅実な走りで戦い抜き、勝田は総合9位でフィニッシュしてみせた。
勝田は第1戦モンテカルロに続いて、2戦連続のポイント圏内フィニッシュとなり、累計獲得ポイントは8点。ドライバーズランキング9位につけている。
■勝田貴元「多くを学び、多くの改善点がみつかった」。次戦は5月のポルトガル
「いつものスウェーデンと違い、今回は路面に雪や氷が少なく路面コンディションが頻繁に変わる、非常にトリッキーなラリーでした」と勝田。
「デイ1とデイ2でもコンディションは大きく違いましたが、クルマにいいフィーリングを感じることができたので、デイ2ではSSの出走順がトップだったにも関わらず、タイムはかなり向上しました」
「走りを改善することができましたし、トップの選手たちとの差も縮まったと思います。いいチームに恵まれ、素晴らしいドライバーたちと自分の走行データを比較できるので、どこでタイムを失い、どこを改善できるのか知ることが可能です」
「今回も多くを学びましたし、今後に向けて多くの改善点がみつかりました」
プログラムのインストラクターを務めるヤルッコ・ミエッティネンは「スウェーデンでの我々とタカ(勝田貴元)の目標は、スピードを上げ、できる限り速く走ることだった」とコメントしている。
「しかし、今回はコンディションが非常に悪く、ハイスピードで雪に覆われた道を得意とする彼の才能を発揮するのは困難な状況だった。それでも、WRCトップクラスにおけるパフォーマンスは以前よりも向上し、最速ドライバーたちとの差は1kmあたり1秒以下だった」
「今回のイベントを経て、トップレベルで戦うためにタカは今後もハードワークを続けるだろう」
2020年シーズンのWRC開幕2戦に出場した勝田だが、第3~4戦には出場せず。次に挑むラウンドは5月21~24日に行われる第5戦ポルトガルとなる。
勝田は過去3度、このラリー・ポルトガルに出場した経験を持つが、いずれもフォード・フィエスタR5での参戦で、最高峰クラスのヤリスWRCでの参戦は今年が初めてだ。
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